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基本事項

MSC認証プログラムに参加することは、漁業者にとって重大なステップであり、よって大きな恩恵も期待できます。認証がどういったものかを最初にしっかりと把握しておくことで、審査プロセスに対する疑問点の解消、正確な理解に通じます。認証プロセスの初期段階での漁業者からの質問として以下のようなものが挙げられます。

認証とは?

認証プロセスの概要

対象になる漁業は?

審査は何に基づいて行われるのか?

誰が審査されるのか?

審査における「漁業」とは?

審査に際してしなければならないことは?

審査にかかる費用は?

審査にかかる期間は?

それぞれの役割

認証とは?

MSCプログラムでは、持続可能な漁業のための原則と基準に合致すれば、持続可能で適切に管理された漁業として認証されます。公平性の維持のため、MSCのプログラムは、第三者による認証となっています。これによって、公正な審査結果を確実なものとできるのです。

•    第一者:ある組織や製品、サービスが自ら設定した規格を満たしているという認証です。

•    第二者:産業団体などの同業組織が定めた規格を満たしているという認証です。

•    第三者(’認証’):独立した審査の結果、その組織や製品、サービスが利害関係のない専門家によって定められた規格を満たしているという認証です。規格を満たしている証明として認証登録証が発行されます。

漁業の場合、国連食糧農業機関(FAO)では、水産物の取扱業者の信頼を維持するため、第三者の認証によるエコラベル制度を推奨しています。

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認証プロセスの概要

認証プロセスはいくつかの段階に分かれており、漁業者が選定する独立した認証機関によって実施されます。持続可能な漁業のためのMSC環境規格に則り、漁業を認証するためには、認証機関は、ASI (Accreditation Services International)によって認定されなければなりません。認定されたすべての認証機関は、認証機関のリストに記載されています。認証機関が決定すれば、審査プロセスの開始となります。

予備審査:認証機関が、非公開の報告書で、その漁業が本審査に進むにあたり十分であるかどうかを示します。本審査に進むに際し、何が必要になるのかについての指針が示されることもあります。

準備:漁業は同業者や公的機関、バイヤーと連絡をとったり、助成金の申請、プロジェクト責任者や運営グループの任命を行い、さらにはステークホルダーに審査プロセスへの参加を呼びかけるなどして本審査に向けた準備を行います。

本審査:MSC規格に合致しているかを確定するため、7段階にわたるプロセスが実施されます。審査を行うのは、任命された認証機関とその専門家からなる審査チームです。審査にあたり、認証機関はステークホルダーとの協議を行い、評価指標の設定や、それに基づく漁業の採点、更には、現状を改善する必要がある場合にはその方法を特定し、外部専門家による査読を経て、漁業がMSC規格を満たしているかどうかの最終決定を行います。漁業者をはじめとする各方面からのハイレベルな情報の提供が求められる徹底したプロセスです。

認証取得後:認証された漁業は年次監査の手配を行うとともに、水産物のトレーサビリティ―のためのMSC CoC認証を考慮した、認証取得による便益を最大限に活かすための計画を立てる必要があります。

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対象になる漁業は?

MSCの漁業認証は任意申請です。つまり、漁業者の求めに応じてのみ審査が行われます。漁業に通知することなく、あるいはその意志に反して審査が行われることはありません。内水面、海面を問わず、天然の水産資源を漁獲する漁業はMSC認証取得のための審査を受けることができます。現在のところ養殖は対象外です。

MSCでは、漁業の規模や範囲、生態系、地理的分布、技術レベルにかかわらず、全ての漁業が平等に認証プログラムに参加できるよう努めています。非常に小規模なものから大規模なものまで、ありとあらゆる漁業がこれまでに認証申請をしています。認証プログラムに現在参加している漁業の中には次のようなタイプも含まれています。
•  単独及び複数の魚種を対象としている漁業
•    内水面及び海面漁業
•    沿岸及び沖合漁業
•    遠洋および底魚漁業

MSCでは、発展途上国の漁業が参加しやすいよう、特別に考案されたプログラムも用意しています。

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審査は何に基づいて行われるのか?

MSCの持続可能な漁業のための原則と基準 は、世界各国のステークホルダーとの国際的協議を経て策定されたものです。「持続可能な漁業のための原則と基準」と呼ばれているもので、国連食糧農業機関(FAO)の「責任ある漁業のための行動規範」をはじめとする国際保護規定に基づいています。

MSC規格の3つの原則とは:

1. 対象魚種資源の維持

2. 生態系の維持

3. 有効な漁業管理システム

更に、この3つの原則をサポートする23の基準があり、認証機関が漁業を審査する際に使用します。MSCでは、審査プロセスについて認証機関のガイドとなる漁業認証方法を作成しています。審査にあたって、認証機関がしなければならないこと、特にどういった情報が求められ、いつステークホルダーと協議を行うべきかが説明されています。2008年7月には、MSCの原則と基準の解釈についての詳細なガイダンスである漁業審査方法も作成されました

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誰が審査されるのか?

「漁業クライアント」は、当該漁業の審査を正式に申請した個人、組織、あるいはグループ組織を指します。これまで、政府機関、水産業関連組合、地元の漁業管理当局などもクライアントとなっています。

条件付きで認証が下りた場合、その条件を履行する最終責任は漁業クライアントにあります。条件が履行されない場合には、認証の保留、あるいは取消につながることもあるので、クライアントは漁業の管理にある程度影響力を持っているとともに、プロジェクト管理能力に長け、付与される条件の管理と実行に自信を持てなければなりません。

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審査における「漁業」とは?

認証審査を申請する漁業は、通常、漁業の地理的範囲、対象魚種資源、使用漁具・漁法、そして認証に責任を有する管理グループや組織、の4つを参照して定義されます。認証の対象範囲をはっきりさせる目的で、これ以外の要素についても言及される場合があります。これらを総合したものが「認証単位」で、これについては、認証プロセスを開始するにあたり、認証機関のアドバイスを受けながらクライアントが決めます。漁業全体が含まれることもあれば、特定の漁船だけの場合もあり、魚種の数も一つであったり、複数であったりします。認証単位には、漁業が使用している漁具や漁法も含まれます。

MSCのエコラベルを表示できるのは「認証単位」に記されている魚種のみです。ですので、クライアントとなる漁業は、何を審査対象としたいのか、認証に至った場合、取得するのは何(誰)になるのか、MSCラベルを表示したい製品は何なのかを先ず検討することが大切です。

審査の途中で認証単位を変更した場合、審査に大幅な遅れが生じます。審査の最終段階で認証単位に含まれていない魚種を加えることはできません。審査プロセスの開始時に、認証単位をはっきりさせることが肝要です。

クライアントは、認証単位に含まれる漁船についても明確にしなければなりません。認証登録証を使用できるのは認証単位に含まれる漁船だけです。後日、「認証共有」の手続きにより、他の漁船がクライアントグループに加わることもできますが、漁具の種類、対象魚種資源、地理的範囲、漁業管理等、認証単位に含まれるすべての条件を満たしている漁船に限られます。

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審査に際してしなければならないことは?

漁業が持続可能であるかどうかを審査するプロセスは複雑です。加えて堅牢で信憑性のあるものでなければなりません。審査にかかる費用のほかに、自らのスタッフや、監督機関、公的機関、ステークホルダーが要する時間も念頭に置かねばなりません。審査の初期段階でこうしたグループとの関係を構築することで、審査における協力を要請しやすくなります。

審査プロセスの管理を開始時からしっかり行うことが重要です。本審査に入る前に、何が求められるのかを十分に把握し、準備をしておくことで審査にかかる時間とコストを軽減できるということが、これまでに認証を取得した漁業のケースからわかります。また、プロジェクトマネージャーを任命しておくことを強く推奨します。

条件が付された場合、持続可能性と現状の改善に向けた取り組みを実践する強い決意も求められます。漁業に関する調査や、管理方策の実施に必要な費用の負担が生じることもあります。

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審査にかかる費用は?

審査および認証にかかる費用は、クライアントと認証機関との話し合いによって決まります。MSCが審査や認証によって報酬を受け取ることは一切ありません。審査費用の決定にも関わることもありません。MSCの収益は、小売業者、レストラン、水産物加工業者がMSCラベルの表示をするために支払うエコラベル使用料のみです。

認証審査プロセスで費用が発生するのは主に次の3つにおいてです。
・    予備審査
・    本審査
・    年次監査

認証機関がクライアントに請求する費用は、通常対外秘とされ、審査プロセスの各段階でどの程度費用がかかるかによって、多くはケースバイケースで決まります。審査費用への助成金制度がありますので、ご参照下さい。

審査にかかる費用は、漁業形態の複雑さ、入手可能な情報、そしてステークホルダーの関わり具合により大きく異なります。事例を見ると、25,000米ドルから500,000米ドルとかなりの幅があります。審査に向けて準備をしっかりすることにより、時間と経費を削減することができます。

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審査にかかる期間は?

審査にかかる時間と経費を削減するためには、とにかく準備をしっかりし、プロジェクトを適切に管理することです。必要な情報を前もって用意しておくことで、円滑な審査が可能となります。

これまでの審査でかかった日数は平均14ヶ月間ですが、かなりの幅があります。準備度合い、時間枠、漁業の内容や複雑さによってある程度決まってきますし、漁業に関する重要な情報やデータの所有者がどれくらい審査に協力してくれるかによって審査期間が大幅に変わってきます

認証機関が利用できるリソースや審査チームのメンバーの専念の度合によっても、認証プロセスにかかる時間はかなり差が生じます。認証機関を選ぶ際に、時間枠をどのように考えているのかを直接確認しましょう。

これまでのクライアントは、認証機関に対し過去の審査で要した期間を詳しく尋ね、契約を通じて短期間での審査遂行の確約を得るよう勧めています。

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それぞれの役割

MSCは審査において用いられる規格を定め、漁業審査方法を策定し、MSC規格や審査方法の解釈に関する技術的なアドバイスを提供します。

Accreditation Services International (ASI) はMSC規格に則った審査を行う第三者の認証機関を独自に認定し、認証機関が審査方法を順守しているかどうかを監視します。認証機関への苦情がある場合、先ずはこのASIにコンタクトを取ります。

認証機関は、審査を行うためにASIの認定を受けています。審査チームの責任者であり、認証登録証を発行し、認証有効期間において、年次監査を行います。

審査チームは認証機関によって任命され、MSC規格に基づいて漁業を審査します。クライアント漁業や関係者からの情報に基づき、定められた基準に照らし合わせて漁業を採点するのであって、MSC規格に則っているかどうかを判断するために独自のデータを得ようとしたり、調査を行う義務はありません。

漁業クライアントは:
・    正式な契約を交わすことのできる法人でなければなりません。
・    漁業に関するデータや情報への制限のないアクセスを、審査チームに保証しなければなりません。
・    漁業に関する情報は有利なものも不利なものも全て、審査チームに公開しなければなりません。
・    認証機関が全てのステークホルダーについて確実に把握できるようにしなければなりません。

ステークホルダーは:
・    MSC規格との関連において、漁業の実態や現状についての課題や懸念を審査チームに指摘します。
・    なぜそうした立場をとるのか、客観的証拠も含め、その理由となる確かな実質的根拠を審査チームに伝え、支援します。
・    関係者の代表としてその利益や立場を説明することができます。

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