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事前準備

持続可能な漁業のためのMSC環境規格に基づいた審査を迅速かつ効率的に行うためには、準備をしっかりとすることが重要です。認証機関と正式な取り決めや契約を交わす前に、どうすれば審査を円滑に進めていくことができるかを検討することが、認証審査に要する日数や費用の軽減につながります。過去のクライアントの事例から以下について検討することを推奨します。

プロセス管理

情報の準備

ステークホルダーの参加促進

認証機関の選択

契約内容の決定

 

プロセス管理

審査プロセスと認証取得後の管理においては、細かなことや時間的な管理に注意を払う必要が生じます。審査プロセスを支援・監視し、プロジェクトマネージャーとして、また、認証機関と審査チームとの連絡窓口としての役割を担う担当者を任命すると良いでしょう。漁業を審査する責任は認証機関にありますが、期限内に必要な情報を提供し、やるべきことを行うなど、クライアントとしての義務を果たすために、クライアント側でも責任者を決めておくべきです。

審査プロセスと認証後の要件が予定通りに且つ効率的に管理されるよう、少人数からなる運営グループを設置しても良いかもしれません。業界(漁業や加工業)や、漁業の管理者、研究機関、ステークホルダーの代表から成る構成でも良いですし、クライアント組織内部のプロジェクト管理チームでも構いません。

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情報の準備

漁業審査は、専門家による情報分析に基づきます。こうした情報には、口頭によるものから詳細な科学的報告書まで、様々な形態があります。こうした情報なくして、審査チームは漁業を十分に評価することができません。情報が十分でなかった場合、漁業の実状を正確に反映していない得点、条件付与、最終決定につながるかもしれません。

過去の審査における遅延の要因として、重要な情報の入手が困難であったことが挙げられます。情報が提供されない、あるいは審査チームにとって解読に非常に時間のかかる形で情報が提供される、といったことが遅れの原因となっています。審査プロセスの開始段階から、以下のことが非常に重要になります。

•    認証機関は、必要となる情報が何かを明確に示す。

•    どういった情報が不足しているかを把握し、それを入手する。

•    第1回の現地視察に間に合うよう、全ての情報を審査チームに提供する。

審査開始前に情報を用意することで審査にかかる時間と経費を節約することができます。情報が既にあり提供できるのであれば、認証機関にお金を払って情報収集してもらう必要はないのです。

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ステークホルダーの参加促進

審査を成功に導くためには、早い段階から全てのステークホルダーからの情報提供や関与を呼びかけることが重要です。認証機関は、包括的で透明性のある審査プロセスを確立するためにかなりの労力を費やします。漁業側も、ステークホルダーとの間に開かれた、良い関係を作ることが非常に重要です。そうすることで漁業審査におけるステークホルダーの支持を得るとともに、漁業の状況に関する合意を築くことができます。

MSCでは、審査要件を満たすためにどのようにしてステークホルダーとの協議を行うべきか、詳しい手引きを認証機関のために用意しています。漁業クライアントは、コストや時間を最小限に抑えるために、関係する全てのステークホルダーについて、可能な限りの情報を認証機関に提供することが重要です。

次のようなステークホルダーにコンタクトを取り、審査について話し合うことを勧めます。

•     政府の管理機関(クライアントに該当しない場合) — 殆どの漁業は政府の定める法に則り管理されています。よって、関連する政府管理機関のスタッフや意志決定者の支持や協力を得ることが大切です。漁業管理の改善を図るために、政府機関と水産業とが協力しなければならない場合は尚更です。また、政府機関は、審査の実施において認証機関が必要とする情報の多くを有しています。

•    環境保護団体 — 漁業のプロフィールや評判を向上させる上で、特に世間一般に対し、環境保護団体は影響力のある協力者となり得ます。保護団体と信頼関係を築くことにより、審査も円滑に進み、漁業にとってもプラスになります。審査の開始時からこうしたグループに関わってもらうと良いでしょう。

•    業界団体 — 認証を取得することは、競争力を高めるのに有利ですが、他の漁業者を締め出すのではなく、協同する方がより有益です。同じ漁業から複数のグループが審査に関わることで、費用の分担、生産性の向上、質・量についての特定の規格を有することによる市場開拓など、様々な利点があります。MSCでは認証取得を希望する全ての漁業者に公平で平等なアクセスを推進しています。認証プロセスに参加せずにその恩恵だけを得ようとするいわゆる「ただ乗り行為」や、審査にかかる費用をそれ相応に負担することで認証を共有したいという近隣の漁業者を締め出す「門番」のような行為は回避すべきです。

•    地域やその他の漁業部門 — 遊漁、先住民漁業、生存漁業では、審査対象となっている魚種資源を捕獲することもあり、また、審査対象の漁区が地域にとって重要である場合もあります。こうしたグループの代表に認証プロセスを理解してもらい、審査に参加してもらうことで、審査に対する支持を得るとともに、漁業管理の改善によって漁業全体として恩恵を享受できるようになるのです。

•     水揚げ後の流通加工部門 — 水揚げ後の流通加工業者がMSCラベルを表示するためには、認証漁業の製品を扱うCoC認証を取得していなければなりません。CoC認証により、MSCラベルの付いた製品は、MSC規格に則り認証された漁業が供給源であることをバイヤーに保証することができるのです。クライアントが認証取得の意志を伝えることで、顧客のMSCプログラムへの参加と、製品へのMSCラベルの表示につながります。

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認証機関の選択

MSCプロセスは単純な監査ではありません。審査を受ける恩恵を最大限に享受するには、認証機関についてよく調べ、サービスと価格が一番ニーズにあったところを選ぶことです。

MSCの要件の順守

MSC漁業認証を行う認証機関はASIによって認定されています。つまり、MSCが定める規格と方法に則り漁業を審査・認証する能力があることがASIによって確認されているのです。漁業審査ができるのはASIの認定を受けた機関だけです。MSCの要件の順守を確実にするため、すべての認証機関は定期的な監視を受けています。

漁業クライアントと認証機関の間での取り決めは商業契約です。認証プロセスに伴うMSCへの金銭の授受は一切なく、クライアントと認証機関との契約にMSCが関与することもありません。

複数の認証機関から見積りを取り、質問する

認証審査の費用は一律ではありません。複数の認証機関から見積りを取ってから契約を交わすべきです。また、見積りの内容や理由について、認証機関に確認することも重要です。

認証機関には、各審査段階毎の見積りと適切な時間配分を出してもらうことが大切です。漁業の複雑性について一番詳しいのはクライアントですから、そうした側面が見積に盛り込まれているかを確認しなければなりません。審査の過程で、見積り額と差異が生じてしまう可能性のある要素については認証機関と一緒に検討しても良いでしょう。

見積りに含まれるべき漁業審査プロセスの主な段階について簡単に説明した審査の各段階のページがあります。より詳しい情報についてはこの認証取得に向けてのセクション全体ををご参照ください。

認証をすでに取得した、あるいは審査中の漁業クライアントも貴重な情報源です。審査プロセスについての率直な意見や、個々の認証機関に関する意見の提供が可能です。本ウェブサイトには各漁業クライアントの連絡先が載っていますので、ご参照ください。内容的に似た漁業を探すには漁業を探す(Track a fishery - 英文)のページをご覧ください。

出費に見合った価値

出費に見合うだけの働きをしてくれるかどうか、また、必要なサービスが提供できる認証機関かどうかを確認する最終的な責任はクライアントにあります。一番安い見積りが必ずしも最良ではないということを銘記ください。漁業についての理解が不十分なために安いということも考えられます。そのために、後の段階で問題が発生し、スケジュールが遅れたり、想定外の出費につながることもあり得ます。

見積を出した認証機関に連絡をとり、内容について確認して下さい。

認証機関の選択

見積りの評価に際してのポイントがいくつかあります。認証機関が次の要件を満たしているかどうか確認してください。

•    契約とプロジェクトをしっかりと管理できる

•    審査を主導する適任者を選出できる

•    MSCの規格や認証方法、及びクライアントの漁業に対する知識が豊富である

•    機密を保持することができる

•    ステークホルダーとの有益な協議を実施した証拠を提示できる

•    審査の完了について、クライアントの時間的要求に合致した現実的なスケジュールを設定できる

•    認証単位を含め、漁業の対象範囲や操業域を特定することができる

•    審査プロセスにおいて、どのような情報が必要かを明確に示すことができる

•    漁業の活動によって生じる主な問題点を分析することができる

クライアント独自のニーズを満たすことができる適切な認証機関を探し出すことが、確固たる審査の基盤となります。

一つの認証機関にすべての業務を任せるかどうか

クライアントは、予備審査や本審査、認証後の査察及び監査をすべて同じ認証機関に依頼する必要はありません。しかしながら、審査を円滑に進めるためには、当該漁業に関する知識が必要であることから、同じ認証機関を使うことによるメリットはあります。審査の各段階で異なる認証機関を使う場合、漁業の把握にそれだけ時間がかかるかことも念頭におくべきです。

認証機関を変えることによって、費用が更にかさむ可能性があります。新しい認証機関の見積りには、前の認証機関による業務を引き継ぐために必要となる経費も含まれていることを確認してください。新たな認証機関が業務を引き継ぐ前に、元の認証機関とクライアントとの間の知的財産を巡る契約上の問題解決が必要な場合もあるかもしれません。

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契約内容の決定

認証機関が決まったら、審査の期間に関する契約を交わすこととなります。認証機関のためのMSC認定マニュアルには、認証機関とクライアントとが交わす契約に特定の規定を盛り込むことを求める記載があります。これにはそれぞれの権利や責任、そして審査の全体的な時間枠が含まれます。しかし、追加的な内容や、契約の形態についてはMSCによって特定はされておらず、あくまでもクライアントと認証機関との間の機密です。

一つの契約書に予備審査、本審査、認証取得後の査察や監査業務を盛り込んで欲しいというクライアントもいれば、各段階毎に契約を交わしたいというクライアントもいます。どちらが良いかはクライアント側の事情によって異なります。

業界団体や加工業者、バイヤーなど、関わりのある第三者の役割、また特に、審査のタイミングや進捗状況への関心についても考慮にいれるべきです。また、審査チームが現地視察を行う際の労働衛生や安全面についても検討すべきです。

誤解や不当な遅延を防ぐために、様々な書類(評価ツリーやドラフト報告書の草案など)の作成・提出時期や、審査プロセスの各段階のスケジュールを契約に明記することも一案です。

他の多くのサービス契約と同じく、クライアントと認証機関との間で、プロジェクトの各段階完了時の業務遂行に基づく支払いで同意することになるかもしれません。認証機関が審査を完了するために必要となる、クライアント側の義務についても明記するべきです。

最後に、審査プロセスによって生じる知的財産の所有権が誰にあるかが契約書に明記されていることを確認しましょう。認証機関の機密情報以外、すべての知的所有権はクライントにあるというのがMSCの見解です。契約書にこのことが明記されていれば、もし審査の段階によって異なる認証機関を指定した場合でも、出費を要した審査プロセスにおける情報や結果をそのまま後任の機関に移行することができます。

認証機関はクライントにサービスを提供しているものの、MSC規格に則った審査を行うために契約した独立した組織です。認証機関の役割は、漁業の認証取得というクライアントの利益のためのものではなく、客観的で、科学的根拠のある独立した審査を行うことです。クライントと認証機関との関係はあくまでもビジネスです。

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