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2015年度MSC年次報告書を発表

~1,000万トンのMSC認証の水産物で、持続可能な水産サプライチェーンがさらに充実~

海洋管理協議会(MSC)は、市場への働きかけやMSC認証漁業の増加、サプライチェーン構築の進捗状況などを掲載した2015年度の年次報告書を発表しました。この報告書では、海から食卓までの道程をより持続可能なものにするために取り組む組織や人々が紹介されています。
MSC認証漁業による漁獲量は前年度よりも6%増加し、MSC認証のサプライチェーンも16%の伸びを示しました。2015年4月から2016年3月までの間にMSC CoC認証を取得している加工業者、レストラン、ケータリング事業者は2,879から3,334に増え、認証現場の数は世界82カ国で37,121にまで及んでいます。また、世界で20,000製品以上がMSCの「海のエコラベル」をつけて販売されており、MSCの世界基準を満たす持続可能な漁業の現場までさかのぼれるようになっています。

MSCの最高責任者ルパート・ハウズは次のように述べています。「MSC認証水産物およびエコラベル製品の急増は、追跡可能かつ持続可能な水産物に対する需要の伸びを示すものです。より多くの小売企業やブランドがMSC「海のエコラベル」を通して、自らの持続可能性への取り組みを消費者に伝えようとしており、そうした先駆的な取り組みが、海から食卓までの道のりにおいて連鎖反応を引き起こします。MSC認証漁業から消費者に至るまでの1人1人が、豊かな海をこれからも維持していくための大切な役割を担っているのです。」

拡大する市場

報告書では、世界有数の小売企業の取り組みの一部が紹介されています。ドイツのリドルがMSC「海のエコラベル」付き製品の調達を大幅に拡大したことをはじめ、セインズベリー、カルフール、ミグロス、コールス、イオンの取り組みも紹介しています。2016年のMSC消費者調査の結果から、持続可能性が消費者が水産物を購入する際の重要な決め手となっていること、そして海を守るために持続可能な水産物を購入する意志があること、が明らかになりました。
MSC最高責任者ルパート・ハウズは結果について次のように述べました。「MSCの提供するメカニズムが多様な人々を駆り立て、それによって海洋保全に向けた実質的で永続的な改善が起こっています。多くのパートナーの尽力により、現在そして将来を見据えた海洋保全への動きに拍車がかかっています。」

海洋への影響

MSC認証漁業の水揚げ量は2015年度には930万トンを超え、天然魚の総水揚げ量の10%近くを占めるまでになりました。MSCのデータによると、北東太平洋の天然漁獲物の83%(260万トン)、北東大西洋の天然漁獲物の40%(300万トン)がMSC認証のものです。2016年3月31日の時点で、286の漁業がMSC認証を取得しています。

2015年度には新たに38の漁業が認証を取得しました。色々な意味で初めてとなる快挙を成し遂げた漁業もあります。スペイン、アストゥリアスの漁業組合は、タコ漁業として初のMSC認証を取得し、中国の聯成遠洋漁業有限公司は、中国初のマグロ漁業としてMSC認証を取得しました。カナダ初となった大西洋マダラ資源の認証も記念すべき成果でした。3Ps管理区画内のマダラ漁業の認証はカナダのマダラ漁業の歴史に新たな1ページを刻むことになるでしょう。

2015年にはアラスカのスケトウダラ漁業が再認証を取得し、3回目のMSC認証を果した世界で10番目の漁業となりました。他にもアフリカのヘイク漁業、北極海のオキアミ漁業、ノルウェーの北東北極海マダラとハドック漁業が再認証を取得しました。MSC認証漁業は、混獲の減少や海洋環境の科学的な理解の促進など、世界の海に対して有益な効果を目に見える形でもたらしています。MSCのデータによると、94%の認証漁業が、認証を維持するために少なくとも一点の改善を義務付けられています。

MSC最高責任者のハウズは次のようにコメントしました。「MSCのミッションを実現するためには、途上国および小規模漁業によるMSCプログラムへのアクセス性を高めることも不可欠です。新たなツールや取り組みに加え、MSC国際漁業サステナビリティ基金を通して、より多くの漁業が環境改善に向けた一歩を踏み出せるよう支援しています。」

カツオ・マグロ類は世界的に需要の高い水産資源

報告書は、カツオ・マグロ類の資源保護に向けた大きな動きについても取りあげています。カツオ漁に対し、漁獲管理方策を導入するというインド洋まぐろ類委員会の決定は、世界のカツオ・マグロ漁業にとって画期的なものでした。これは、カツオ一本釣り漁業として、インド洋初のMSC認証を取得したモルジブからの提案でした。これを機に、他のカツオ・マグロ類資源の管理についても更なる協働が期待されています。
MSC認証のカツオ・マグロ漁業の水揚げ量は、世界のカツオ・マグロ類の総水揚げ量の16%を占めるまでになりましたが、認証カツオ・マグロに対する需要はますます増加してきています。これを受けて、ジョン・ウェスト・オーストラリアが、サプライチェーンの全面見直しを行った結果、世界最大規模のMSC「海のエコラベル」付きツナ缶がオーストラリア市場で出回ることになりました。現在、ジョン・ウェストのツナ缶の原料の97%がPNAのMSC認証カツオ・マグロ漁業から調達されるまでになりました。また今年認証されたPNAキハダマグロ漁業の水揚げ量は、PNA水域内で漁獲されるキハダマグロの半分を占めています。

年次報告書のPDF英語版はオンラインでご覧いただけます。日本版は10月下旬に発表予定です。