プレスリリース

MSCが、海中に廃棄された漁具への取り組みや 絶滅危惧種の保護を目的とする海洋プロジェクトを助成

5月 28, 2020

~海洋環境や水産物の供給を守るために取り組む漁業及び研究プロジェクトに対し、 65万英ポンド超の助成金を授与~

MSC(海洋管理協議会)の海洋管理基金(Ocean Stewardship Fund)は、世界の15の漁業と研究プロジェクトに対して、それぞれ最大5万英ポンドを授与するものです。基金が助成金を授与するのは初となりますが、その対象はロンドン動物学協会、WWF南アフリカ、バードライフ南アフリカ、そしてアメリカ、ヨーロッパ、アジア、アフリカの漁業等です。

MSC認証とエコラベルのプログラムは、持続可能な漁業に向けた取り組みに報いることによって、漁業の改善を促進しています。MSCは多くのパートナーのリーダーシップを通じて、過剰漁獲の撲滅や、持続可能な漁業の拡大に取り組んでいます。

2020年度の海洋管理基金は、漁業が絶滅危惧種に与える影響の軽減や、海中に廃棄された漁具、いわゆる「ゴーストギア」への取り組みに焦点を当てています。

海洋管理基金の初めての助成対象となるのは、ETP種(絶滅危惧種・保護種)への漁業の影響を軽減するための7つの研究プロジェクトです。収集された生態学データは、世界で最も脆弱な生息域や種の理解を深めるために役立てられます。

例えば、カナダのウィンザー大学が実施するプロジェクトは、世界の脊椎動物で最も長寿なニシオンデンザメ(Greenland shark)の保護対策を研究。他にも絶滅危惧種の移動を追跡するスマートフォンアプリの試験的運用、海鳥との接触を軽減する電子モニタリング機器の実証実験、ゴーストギアからサンゴ礁を保護するプロジェクト等に助成金が授与されます。

持続可能性において異なる段階にある8つの漁業にも助成金が授与されます。開発途上国の漁業を中心とした、持続可能性に向けた取り組みを始めたばかりの漁業から、既にMSC漁業認証を取得している漁業までが含まれます。

助成対象漁業のうちの6つは、オランダの郵便番号宝くじの資金提供を受けた、インドネシア、メキシコ、南アフリカの漁業の改善を支援するプロジェクト、”Fish for Good”の対象漁業でもあります。将来的には、MSC漁業認証の取得に向け取り組むより多くの漁業が、海洋管理基金の助成を申請できるようにすることが予定されています。


MSCの最高責任者、ルパート・ハウズは次のように述べています。
「世界は今、新型コロナウイルスの感染拡大による健康と経済への影響を受け、非常事態に直面しています。世界の食料安全保障を維持、強化することがいかに必要不可欠で、緊急に対応すべきことであるかが、これほどまでに明白になったことはありません。
世界の漁業は、食料安全保障において重要な役割を担っています。現在の逼迫した状況に直面しているにもかかわらず、漁業者や小売事業者は持続可能な水産物を消費者に継続して届けるために大変な尽力をされています。
海洋管理基金の初となる助成金受賞者の皆様にお祝い申し上げます。本基金が少しでも漁業の改善促進に役立つことを願っています。各プロジェクトから得た学びは、漁業の広い範囲で応用されるようになるでしょう。この知見が海洋環境の回復、及び食料安全保障の維持に向けた大規模な取り組みをさらに強化していくことを願っています。」


海洋管理基金は、持続可能な漁業に向けた取り組みを加速することを目的とし、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の目標14「海の豊かさを守ろう」の実現に寄与しています。


注記:
  • MSC漁業認証の取得に向けた持続可能な漁業への取り組みは、MSCへの移行プログラムの試行を通じ、独立した第三者によって検証されます。
  • 既にMSC認証を取得している2つの漁業に対しては、2回目以降の認証更新審査にかかる費用を支援するために助成金が授与されます。これはMSCの認証制度及び持続可能性に対して真摯に取り組んでいる漁業を報奨するものです。


2020年度海洋管理基金の受賞者

1. 海鳥の混獲を軽減する革新的な方法
バードライフ南アフリカ及び南アフリカのヘイクトロール船団に49,949英ポンド

鳥除けの設置や、構造変更、海鳥の混獲をモニタリングする電子装置の設置等、個別の状況に合わせて開発する海鳥混獲軽減計画です。

2. グリーンランドの深海底分布図作成
ロンドン動物学協会(ZSL)及びグリーンランドのカラスガレイ及びホッコクアカエビ漁業に49,788英ポンド

気候変動によって漁業資源が北方へと移動し、漁業者は新たな海洋環境に適応しなければならなくなりました。本研究は、西グリーンランド周辺の深海に位置する脆弱な海洋生態系について、より多くの生態学データを収集することを目的としています。

3. 保護種を特定するスマートフォンアプリ
VisNed及び合同底魚漁業に50,000英ポンド

漁業の動きを追跡する既存のアプリ、Mofiを使用して、ETP種(絶滅危惧種・保護種)に関するデータの記録、画像アップロード、多言語対応を行う予定です。

4. 世界最長寿の脊椎動物、ニシオンデンザメを混獲から救う
カナダのウィンザー大学及びカラスガレイ漁業に50,000英ポンド

北半球で混獲されることの多いニシオンデンザメをタグ付けすることによる死亡率の数値化、混獲削減に向けた漁業慣行の検討、最良の取り扱い方法や安全にリリースする方法の開発を目的とした研究です。

5.ガンギエイの海上リリースは生存率増加につながるか
南洋事業財団(FEMA)及びSARPCメロ(マジェランアイナメ)漁業に27,000英ポンド

軟骨魚類(サメ、エイ、ギンザメ類)の混獲は、漁業にとって依然として大きな問題となっています。本研究は、ガンギエイの生態及び個体群の大きさに関する知識を向上させ、海上リリースが生存の促進に有意義かどうかを理解することを目的としています。

6.先駆的なパートナーシップにより漁業の技能を向上
英国南部沿海漁業保護局、ドーセット・ワイルドライフ・トラスト、プール湾ハマグリ及びザルガイ漁業に21,056英ポンド

漁業者と環境保護団体が協働して進めるこのプロジェクトの目的は、魚種を識別する漁業者のスキル向上及び操業時の魚種、生息域との接触記録を提出することによってETP種(絶滅危惧種・保護種)への影響を削減することです。

7. マグロ・カツオ類漁業の持続可能性向上
エチェバスター船団SLU及びエチェバスター社のカツオまき網漁業に49,980英ポンド

海に廃棄され漂流している人工集魚装置(FAD)、いわゆるゴーストギアは海洋生態系に被害を及ぼす危険性があります。その影響をより詳しく調査するために、クロトガリザメにタグ付けし、モニタリングを行います。基金の一部は、漂流しているFADを捕えるセーシェルでの取り組み、FAD Watch Initiativeの支援に充てられます。

8. グローバルな視点での持続可能性をめざすメキシコのロブスター漁業
プロナトゥラ・ノロエステ及びメキシコ西海岸のレッドロブスター漁業に50,000英ポンド

レッドロブスター漁業のMSC認証漁業への移行を支援するために、漁獲管理方策の策定、餌として使用される魚種への影響の測定、シャークフィニング(サメのヒレを取り、残りの部位を海に廃棄する行為)に関する調査、絶滅危惧種への影響といった多くの要求事項への適合に向けた取り組みに充てられます。

9. メキシコ北西部のアカウニ資源の状態
プロナトゥラ・ノロエステ及び太平洋アカウニ漁業に50,000英ポンド

アカウニ漁業のMSC認証漁業への移行を支援するために、資源評価のモデリングとモニタリングの向上、生息域の回復措置の実施、タスクの実施及び能力向上のための作業委員会の設立に充てられます。

10. 天然のイガイ漁業の持続可能性を強化
WWF南アフリカ及び垂下式イガイ漁業に49,993英ポンド

垂下式イガイ漁業のMSC認証漁業への移行を支援するために、ETP種(絶滅危惧種・保護種)の管理方策の策定、リスクモニタリング及び生態系への影響を最小限に抑えるための付着生物管理方策の開発に充てられます。

11. インドネシア沿岸地域の生活及びマグロ・カツオ類漁業の将来を守る
国際一本釣り基金(IPNLF)及びケンダリの一本釣りカツオ・キハダマグロ漁業に49,980英ポンド

一本釣り漁業のMSC認証漁業への移行支援に充てられます。支援の内容は、インドネシアのマグロ・カツオ類サプライチェーンの透明性の向上、適切に管理された漁業によって沿岸地域が生活の恩恵を受けることで市場での需要を伸ばし、持続可能なマグロ漁業へのアクセスを向上させることです。

12. 伝統的漁法を持続可能なものにする
国際一本釣り基金(IPNLF)及びケンダリの手釣りキハダマグロ漁業に50,000英ポンド

一本釣りマグロ漁業のMSC認証漁業への移行を促すために、インドネシアが示した目標及び取り組みを支援します。本プロジェクトは、マグロ漁業の成功事例を推進し、国及び地域の持続可能な管理措置の向上を支援することを目的としています。

13. 南アフリカのビンナガマグロ資源の維持
WWF南アフリカ及び一本釣りビンナガマグロ漁業に50,000英ポンド

一本釣りビンナガマグロ漁業のMSC認証漁業への移行を支援するために、明確な漁獲制御ルール、つまり資源状態に対応した管理方策を策定すると共に、漁業者に対して魚種を識別する研修の実施、海上での漁獲データを収集するシステムの開発、絶滅危惧種への影響を最小限に抑える方策の策定に充てられます。

持続可能な漁業への長期的取り組みを報奨

14. 太平洋のヘイク中層トロール漁業
クライアントグループのメンバー:太平洋ホワイティング保護協会(アメリカ)とヘイク漁業組合(カナダ)

15. カナダのスコシア大陸棚でのホンホッコクアカエビトロール漁業
クライアントグループのメンバー:シーフード生産者連合株式会社、島しょ漁業協同組合株式会社(ACPI)及びノースサイド加工株式会社

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