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MSCが低次栄養段階種の漁業に対する審査ガイダンスの強化へ

科学専門家のワーキンググループにより、MSCの漁業認証審査方法(Fisheries Assessment Methodology ‐*以下FAM)への見直しが勧告されたことを受け、低次栄養段階種の漁業における持続可能な資源レベルと漁獲計画に対する詳細なガイダンスが、新しくMSCにより設定されることになりました。 

これは低次栄養段階種漁業の持続可能な管理に対する世界的な最優良手法をより良く理解することを目指し、MSC役員会により2009年6月に結成されたワーキンググループの、一年もの長きにわたる調査の結果もたらされたものです。ワーキンググループの調査は、生態系ダイナミックスの理解が充分な発達を遂げている、5つの異なった地域の生態系モデルを用いることを核として行われました。 

これらのモデルは、低次栄養段階種漁業に対する様々な漁獲方策により、対象種の資源量と依存捕食者に与える影響を評価するために適用されました。またこれらの漁業がFAMに照らしどのように審査されるか、さらに現行の認証機関のためのガイダンスの適切さも評価されました。

モデルを用いた調査の結果、低次栄養段階種に対するFAMのガイダンスは、適切な対象種資源レベルの特定に関して、特に強化されるべきであるというものでした。

例えばある状況では、生態系への影響を最小限に留めるため、予防的な対象種資源レベルは初期バイオマス量の75%、種によってはそれ以上であるべきと示唆されています。 

MSCの副CEOであるクリス・ニンはこの結果を歓迎し、次のように述べています

「現行の認証審査方法では既に、低次栄養段階種が生態系で重要な役割を持ち、依存種を適正レベルに保つための一定の資源量が必要であることは認識されていました。現段階では低次栄養段階種の漁業は、海洋でのより高レベルのバイオマスが通常見られるレベル以上に残されていくよう、保守的な漁獲計画を採る必要があります。 

これらの結果は、MSCが重要な漁業の持続可能な管理を目指すにあたり、海洋資源をどのレベルで保持するべきか、より明確に示すことを可能にするでしょう。また実際に、低次栄養段階種漁業の審査プロセスにおいて、標準的な基準が設定されることになるでしょう。MSCがこの革新的な調査の要請に応えることができ、モデリング作業に対する資金面その他の支援が可能であったことを嬉しく思います。

またワーキンググループと、各方面からの専門家および関係者の皆様からの、この調査に対するご協力に私からも御礼申し上げます。皆様のご協力は将来にわたり、これらの資源の管理と審査において実務上大きな影響をもたらすことでしょう」 

変更の草案は向こう6カ月(2010年の7月から12月)にわたって作成され、MSCの役員と技術諮問委員会(Technical Advisory Board–TAB)に正式に採択される前に、パブリック・コンサルテーションのために発行されます。

詳細、またはコンサルテーションへの参加については、以下にご連絡をお願いいたします。Dan Hoggarth  [email protected] 

以上 

(注釈) 

1.       低次栄養段階種の漁業:「飼料漁業」などの呼び方もあり、MSCでは通常小型で、より大きな種に捕食される資源をこのように表現しています。捕食され飼料となる種の殆どは低次栄養段階種に属しますが、その全てが飼料魚であるとは限りません。

MSCの低次栄養段階種のワーキンググループは、MSCの役員会と、TABのDr Euan Dunn,  Kees Lankester,  Dr Keith Sainsbury 、 Dr Tony Smith. がメンバーとなっています。詳細は、2009年9月30日付のプレスリリースをご覧ください。

2.       MSCの漁業認証審査方法(Fisheries Assessment Methodology‐FAM) は、持続可能な漁業に対する環境規格の実施要件を詳細に述べたもので、MSC漁業認証審査はこれに沿って行われます。FAMの最新版は、2009年7月31日に発効となった第2版で、データの限られた漁業を審査する場合の枠組みである、リスクを想定した審査枠組み(Risk-Based Framework ‐RBF)が盛り込まれています。FAMについての詳細は、[email protected] にご連絡ください。