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MSC国際漁業サステナビリティ基金受給決定

海洋管理協議会 (MSC) は、開発途上国の小規模漁業の持続可能性を達成するための5つのプロジェクトに20万ポンド以上の資金を授与することを発表しました。今回の授与は、開発途上国の小規模漁業がMSC規準に達することが困難であるという認識のもと、2015年に設立されたMSC国際漁業サステナビリティ基金の一部を利用しています。

今年は合計43件の応募があり、うち5つが選ばれました。選出されたプロジェクトは、中国でのザリガニ漁業、セネガルでのタコ漁業、チリでのカニ漁業、インドネシアでの小型浮魚漁業、インドでのカツオとその餌になる小型魚の漁業で、さまざまな分野を網羅しています。

今回の授与対象団体は、中国水産流通加工協会 (CAPPMA)、ECOS研究センターとアンクド市カニ漁業協同組合、英国水産海洋科学センター(Cefas)、WWFインド、西アフリカ水産政策ネットワーク (REPAO)です。

授与に寄せて、MSC科学・規準ディレクターのデイビッド・アグニューは次のように述べています。「今年度の提案書の内容に非常に感銘を受け、応募数が増えていることを喜ばしく思います。小規模漁業や開発途上国の漁業が直面する課題に対処するこれらのプロジェクトは、世界の水産業界の持続可能性には不可欠です。昨年の資金援助の対象となったプロジェクトによる成果もすでに表れており、今年の受賞者の今後をとても楽しみにしています。」

受賞プロジェクト情報

中国水産流通加工協会(CAPPMA) - 中国

中国は世界中のザリガニの3分の2を生産しています。中国水産流通加工協会 (CAPPMA) とIKEAを含む各パートナーは、江蘇省、湖北省、長江の生態系で操業するザリガニ漁業に関する試験的なプロジェクトとして、小規模漁業のMSCプログラム参加促進を協働で行い、持続可能なザリガニをグローバル市場に提供します。

CAPPMAの会長である崔和氏は次のように述べています。
「CAPPMAは、中国の水産協会として、地元のステークホルダーと協働して、ザリガニ産業の持続可能な発展を促進し、典型的な小規模漁業である中国のザリガニ漁業を改善し、そしてIKEAとMSC中国事務所の助力を得て、小規模漁業者の生計、海の生態系と社会的影響の調和を実証していきます。」

ECOSリサーチセンターとアンクド市カニ漁業協同組合 – チリ

チリには、およそ141種を対象とした、たくさんの多様な伝統漁業があります。ECOSリサーチセンターとアンクド市カニ漁業協同組合に対し、国際漁業サステナビリティ基金援助が授与されるのは2度目で、チリのロスラゴスで行われているストーンクラブ伝統漁業の持続可能性のための改善行動計画を策定し、実施する予定です。このパイロットプロジェクトは、チリの他の伝統的な漁業が、持続可能性とMSC認証に向けて取り組むための枠組みを提供します。

ECOSリサーチセンターのミゲル・エスピンドーラ氏は次のように述べています。
「このプロジェクトの発展に伴い、漁業の改善に体系的に取り組むための支援ネットワークを構築することで、持続可能な取り組みが世界的に認知されることを願っています。さらに、これらの努力が伝統漁業の関係者のビジネスが改善されることを願っています。」

英国水産海洋科学センター(Cefas) - インドネシア

インドネシアは世界最大のカツオ・マグロ類漁業国です。英国水産海洋科学センター (Cefas) は、IPNLF(国際竿釣り基金)などのパートナーと協働し、水産科学のキャパシティを向上させ、地域の一本釣りカツオ・マグロ類漁業に餌魚を提供するインドネシアの小規模遠洋漁業の資源評価を実施します。

Cefasのピエラ・カルピ氏は次のように述べています。
「このプロジェクトの主な目標は、持続可能性、意識の向上、知識の伝達です。今回のプロジェクトは、地元の漁業の水産物の品質を向上し、小型浮魚資源の持続可能な開発を保証し、科学界が水産資源管理の長期的視野に立ったプログラムを立案するために役立つ、特別な機会です。」

WWF - インド

インドの水産物輸出は過去最高を記録していますが、MSC認証漁業は1つしかありません。WWFインドは、収入源・食糧源として漁業に依存するインドのラクシャディープ諸島で、餌魚とカツオ・マグロ類漁業の持続可能性を確保するための漁業管理と行動計画を作成する予定です。

WWFインドのビノッド・マリヤールツ氏は次のように述べています。
「一本釣りカツオ漁業は、北西インド洋では数少ない持続可能な漁業実践の1つで、ラクシャディープ諸島の漁業者の主要な収入源です。MSCからの資金が、予備審査プロセス中に指摘された課題解決のための手段となり、この地域の漁業が将来、MSC認証を取得する際の一助となることを強く期待します。」

西アフリカ水産政策ネットワーク(REPAO) - セネガル

セネガルは、タコ漁業の持続可能性と管理を改善するために長い期間を費やしてきました。西アフリカ水産政策ネットワーク (REPAO) は、海洋漁業総局と協働し、セネガルの伝統的・商業的タコ漁業の持続可能な管理目標を基に、予備審査を実施し、MSC認証取得に向けた行動計画を立てる予定です。

REPAOのパパ・ゴラ氏は次のように述べています。
「MSCからこの国際漁業サステナビリティ基金の恩恵を受ける提案が受け入れられたと通知があった時、私たちは喜びと興奮を感じました。私たちが伝統的な漁業による水産品の認証に向けて行動を開始して以来、ちょうど10年になります!私たちは、持続可能でない水産品の市場シェアは減少していくと考えております。ですからこれは重要な挑戦です。伝統的な漁業によるものでない認証水産品は、セネガルをはじめとする開発途上国産の水産品の市場へのアクセスを脅かすでしょう。今回の資金は、セネガルでのタコ漁業による水産品がMSC認証取得を可能にする素晴らしい機会です。」