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アイスランドの小型漁船による伝統的ランプフィッシュ漁業がMSC認証を取得

アイスランドのランプフィッシュ漁業が持続可能で良く管理された漁業としてMSC認証を取得しました。ランプフィッシュ漁業としては初のMSC認証取得となるこの漁業は、330隻の小型漁船で操業しています。

ランプフィッシュ漁業は、アイスランドの排他的経済水域において長年にわたって行われてきました。ランプフィッシュはメスの方が大きく、雌雄はサイズと色によって簡単に区別することができます。網目サイズが大きな刺網を使うこの漁業ではメスの魚卵を主な対象としており、卵は高級キャビアとしてヨーロッパの国々に輸出されています。また中国市場においても、昔ながらの食材として、オスより漁獲量の多いメスのランプフィッシュの需要が伸びてきています。

安定した資源

アイスランドとノルウェーの間に分布するランプフィッシュは、北大西洋に生息する3種のランプフィッシュの中のひとつです。他の魚種の資源は困難に直面することもありましたが、アイスランドのランプフィッシュ資源は1990年以降比較的安定しています。

このランプフィッシュ漁業では、漁業ライセンス及び網に関する規制、3か月限定の漁期、漁船と網目サイズの制限をはじめとする様々な管理が行われています。

繊細な生態系

アイスランドの海、特に深海には多様なデリケートな生態系が広がっています。漁業は主に岩の多い浅瀬で行われるため、この漁業で使われる固定刺網は生態系との接触を最小限に抑えるように工夫されています。

この漁業による混獲魚種は主としてMSC認証のタラ(学名:Gadus morhua)で、漁獲全体の5%となっています。アイスランドでは混獲投棄が禁止されているため、混獲されたものは全て水揚げされます。

世界初

クライアントであるヴィクニル・G・ヨウンスソン社(Vignir G. Jónsson hf.)は、1970年の創業で、当初は家族経営でしたが、現在では、水産会社HBグランディの子会社となっています。ヴィクニルの本社及び主要加工場はアクラネースにあり、およそ40名のスタッフが働いていますが、アイスランドの東海岸でも事業が行われています。ヴィクニルのCEO、エイリクール・ヴィグニスソン氏は次のようにコメントしました。「審査が無事に終了したことを嬉しく思います。昨年、多くのNGOによるトラフィックライト・システム(信号機の青色、黄色、赤色で製品を判定するシステム)では、北大西洋の全てのランプフィッシュ漁業が赤信号とされてしまいました。これは大変残念なことでしたが、今回認証を取得したことによって、アイスランドのランプフィッシュ漁業による製品が青信号となることに貢献できるものと思います。私たちの製品が真に持続可能な漁業によるものであると海外のバイヤーに示すことができるのは大変重要なことなのです」。

北大西洋のMSCマネージャー、ギスリ・ギスラソンは次のように述べました。「ランプフィッシュの魚卵はヨーロッパの市場にとって重要な製品ですが、ランプフィッシュ漁業によるMSC認証の取得は今回が世界で初めてとなります。この漁業は、アイスランドで唯一、小型漁船のみで行われる伝統的漁業です。海洋環境を保護し、将来もランプフィッシュ資源を安定させるためには、関係当局と小型漁船組合の間での密接な協力関係が大変重要となります。MSC認証は、このランプフィッシュの魚卵が持続可能な漁業によるものであることを世界の消費者に保証するものです。今回の認証取得により、他のランプフィッシュ漁業がMSC認証プログラムに参加するインセンティブとなるものと期待しています」。