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アラスカのカレイ類漁業がMSCの認証を取得

アラスカのカレイ類漁業が、持続可能で適切に管理された漁業に対するMSC認証を、独立した認証機関の審査を経て取得しました。これらの漁業による水産物にはMSCのエコラベル表示が可能になります。申請者はベスト・ユース・コーポラティブ(the Best Use Cooperative (BUC))で、アラスカ湾(the Gulf of Alaska (GOA))、ベーリング海およびアリューシャン列島(the Bering Sea and Aleutian Islands (BSAI))の指定区域内における主要なカレイ類漁業を対象とするものです。

 ベーリング海およびアリューシャン列島水域のトロール船が漁獲する認証対象魚種は以下の通りです:

コガネガレイ(Pleuronectes asper, またはLimanda aspera)、

ウマガレイ(シロガレイ)(Hippoglossoides elassodon)

アラスカアブラガレイ(Atheresthes stomias),

ツノガレイ(Pleuronectes quadrituberculatus)、

ノーザンアサバガレイ(Lepidopsetta polyxystra)

 

アラスカ湾水域のトロール船が漁獲する認証対象魚種は以下の通りです:

ウマガレイ(シロガレイ)(Hippoglossoides elassodon)、

アラスカアブラガレイ(Atheresthes stomias)、

ヒレグロ(Glyptocephalus zachirus)、

ノーザンアサバガレイ(Lepidopsetta polyxystra)、

アサバガレイ(黄色種)(L. bilineata).

これらの漁業に対する保全管理は20年以上もの間、北太平洋漁業管理協議会(NPFMC- North Pacific Fishery Management Council)によって行われており、BSAI(ベーリング海およびアリューシャン列島水域)における近年の漁獲実績は200,000- 250,000トンで、これは科学専門家により設定された年間漁獲制限量の20-25%にあたります。

NPFMCと海洋漁業サービス局(National Marine Fisheries Service- NMSF)は、BSAI水域におけるこれらの魚種の漁獲競争を終わらせるための新たなインセンティブを打ち出しました。2008年初頭、BSAI水域のカレイ類漁業者と加工業者は会社組織を作り、組織内でカレイ類の漁獲割当量と混獲上限値を配分することが可能でした。個々の漁船と組織が、それぞれ直接にこれらの上限値に対し責任を持つようになってからは、新たに認証された漁業による混獲率は大幅に減少しています。

カレイ類は海底近くまたは海底で生息していることから、これらの漁業は浮魚トロール以外のトロール船により行われていますが、海底への接触は9割方抑えられています。これを実現するため、BUCはNMFSの科学者達と共に調査を実施し、ベーリング海のカレイ類向け改良型漁具(“Bering Sea flatfish gear”)を共同で開発しました。この改良漁具は、網に設置された糸巻き状の器具(ボビン)により網を海底面に直接接触させずにカレイ類を漁獲するものです。この漁具によりカニやepifaunaと呼ばれる海底表性生物など、海底に生息する種への影響を著しく少なくできるという調査結果が、NMFSにより示されています。

BUCの科学プロジェクト・ディレクターであるジョン・ゴーヴィンは、「アラスカのカレイ類漁業は過去15年間で混獲、廃棄、他種の生息環境への影響といった問題の対応に向け、大きな進化を遂げてきました。これは漁業者、船主、漁業関係専門の科学者達が、環境問題に対処し、マグナソン-スティーブンス漁業資源保存管理法の持続可能性に対する基準を満たすため、漁獲量の管理や漁法に先進的な改良を加えるなど、多大な努力を重ねた続けた成果なのです。我々の努力が実り、MSCの厳格な規格を満たしていると認められたことを非常に嬉しく思います」と述べています。

MSCアメリカの地域ディレクターのケリー・コーフリンは、「アラスカのカレイ類漁業は、自主的に水産資源の持続可能性と生態系保護に取組んできました。MSCの認証取得は市場での優位性をBUCにもたらすばかりでなく、その革新的な姿勢は他の漁業に刺激を与えるものとなるでしょう。BUCの認証取得と、保護の必要な漁業区域への配慮を喜ばしく思っています。またこの認証は、NPFMCと米国海洋大気庁(NOAA)の海洋漁業サービス局(NMFS)による管理がいかに効果的であるかを示すものでもあります」と述べています。

以上

Best Use Cooperativeについて

BUCは7つの企業を16隻のトロール・加工船から成り、アラスカ湾・ベーリング海とアリューシャン列島水域でカレイ類を漁獲しています。ベーリング海およびアリューシャン列島水域の加盟企業は フィッシャーマンズ・ファイネスト社、カスカード・フィッシング社、オーシャン・ピース社、オハラ・コーポレーション、ジュビリー・フィッシャリーズ、TRフィッシャリーズ、Iquique US 、ユナイテッド・ステート・シーフードなどです。

アラスカ湾については、その約30隻のうち、カレイ類漁業に携わっている加盟企業の殆どがアラスカ・ドラガーズ協会およびアラスカカレイ類データバンクのメンバーとなっています。

*団体名などの表記はご参考としてのものです

*魚種名は一般名称であり、学名についてはラテン名をご参照下さい