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コタンタンとジャージーのロブスター漁業、持続可能な識別ブレスレットを発表

2011年の6月にMSC認証を取得した英仏ロブスター漁業のロブスターに識別用の「ブレスレット」が付けられることになりました。MSCの青いエコラベルが入ったこのブレスレットは、環境と自然資源に配慮した漁業によるロブスターの証しです。漁船から食卓まで、はっきりと目に見える形での持続可能なトレーサビリティが実現したのです。

史上初

生きたまま販売される水産物で、水揚げから消費者の手に届くまでMSCのエコラベルが付けられることは世界でもこれが初めての例です。さらに、Normandie Fraîcheur Mer (NFM)の規格によって、MSCエコラベルのついたコタンタンとジャージーのロブスターには、極めて高い鮮度が保証されます。

この青いエコラベルが付けられるヨーロピアン・ロブスター(Homarus gammarus)は、バス=ノルマンディー地域圏およびジャージーの100隻あまりの漁船団によるエビかご漁によって捕獲されています。それぞれ8m~12mの大きさの漁船に1名~3名が乗船しています。これらの漁船が漁業域全体で年間およそ370トンを捕獲しています。漁業域はコタンタン半島北部までのグランヴィル湾、ジャージーの領海、さらには、シェゼー、マンキエ諸島、エクレウ諸島などの高い評判の漁業域も含まれています。

厳格な管理

この漁業は、漁業ライセンス、捕獲サイズ、割当て規制、カゴのマーキングなどをはじめとする様々な管理方策によって厳しく管理されています。フランスにおいては、フランス国立海洋開発研究所(IFREMER)、ブランヴィルシュルメールのSea and Coast Synergy Technical Centre (海洋沿岸シナジー技術センター、SMEL)、バス=ノルマンディー漁業地域委員会(CRPM-BN) (1 )らが協力して科学的なモニタリングを行なっています。またジャージーでは、Fisheries and Marine Resources Environment and Planning Department(漁業海洋資源環境計画局)による科学的なモニタリングが行なわれています。

 目に見える証

管理とモニタリングにおける一連の努力が実を結び、2011年6月、バス=ノルマンディーとジャージーの漁業者たちによる英仏ロブスター漁業はMSC認証を取得することができました。そして今日、この漁業者たちは彼らの熱意をはっきりと目に見える形にすることを発表しました。この持続可能な漁業によるロブスターにはMSCエコラベルの入った識別用のブレスレットが付けられるのです。

「持続可能な漁業というのは確かにすばらしいことですが、私たちはみなさんにそのことを知ってもらわなければならないのです。」と漁業地域委員会のプログラムコーディネーター、ヴェロニク・ルグラン氏は言います。「MSC認証を取得した後、私たちの取り組みを最終消費者を含めた業界全体に知ってもらうためにはどのようにすればいいのかについて考えてきました。そしてそのためにはMSCエコラベルを推進していくことが必要だと考えたのです」。

MSCフランスのマネージャー、エドゥアール・ル・バールは「このブレスレットはコタンタンとジャージーの漁業者たち、そしてMSCエコラベルを目に見える形にしてくれるものです。」と述べました。既にそれが標準となっているドイツやスカンジナビアの国々と肩を並べるほどではないとはいえ、フランスでは非常に速いペースでこの認証について知られるようになってきています。「このロブスターの優れた品質とMSCの持続可能な漁業認証を表すラベルが組み合わされることによって、フランス国内はもちろん、海外においてもロブスターの販売が有利になることでしょう」。

市場開拓と意識の向上

最終的な目標はコタンタンとジャージーのロブスターの新しい市場を開拓すること、そして海洋環境に配慮した小規模で伝統的なこの沿岸漁業の認知度を高めることです。「もっと私たちについて消費者から知ってもらう必要があります。そのためにこのブレスレットが役に立つのです。それは顧客との対話へのきっかけとなるものなのです。」グランヴィル在住で漁船Iris de Suseの船長、ウィリアム・トーマス氏は言います。そして彼は、20年以上にわたって賢明な資源管理に取り組んできたバス=ノルマンディーの漁業者たちに対する国の諸機関からのサポートを期待しています。この点について彼は、昨今の漁業方針についての動向を良い兆候だと捉えています。たとえばブリュッセルで決定された農業方針がその例です。「欧州議会議員たちは、欧州連合各国に対して、環境基準に準じた地元の漁業を優遇する権限を与えることになりそうです」。これは紛れもなく英仏ロブスター漁業のケースです。また、ウィリアム・トーマス氏はこの認証によって、漁業者たちの努力に応じて彼らが受け取る収入にもそれが反映されるようになることが望ましいと考えています。

高い鮮度と持続可能な将来

同じくグランヴィル在住の船長で、この漁業の管理を担う漁業地域委員会の「甲殻類部門」の委員長、エリック・ルグリネル氏は、顧客の中にも興味を持ってくれる人たちが増えてきていると感じています。「MSC認証のおかげで私たちの漁業に対する認識が高まってきています。実のところ、店のメニューにこの認証製品を載せたいという料理店にも納品することになっているんですよ。」そして彼は次の点を強調しました。MSC認証と今回の新しいブレスレットによって、これまで長年維持してきた品質管理がおろそかになるようなことはなく、むしろその逆であるということ。確かに世界的な傾向である持続可能な漁業は、その評判も良くなります。「MSCのロゴは私たちの漁業の持続可能性を証明してくれます。どのようなロブスターの獲り方をしているかを説明してくれるものなのです。そしてコタンタンとジャージーのロブスターのさらなる強みは、その品質と鮮度にあります。これらはNormandie Fraîcheur Mer (NFM)の規格によって管理されています。ブレスレットにはNFMのロゴこそ入っていませんが、この規格はこれまでにも増して効力を持っています。ですから、消費者にとっては、極めて鮮度の高いロブスターということになりますね」。

Normandie Fraîcheur Merのディレクター、アルノー・マネ氏もこの二つの取り組みの補完性について認めています。「MSCエコラベルのついたブレスレットをロブスターにつける作業をする漁業者たちは、NFMの規格も順守していますから、彼らの販売するロブスターが、非常に鮮度がよく健全な、品質の高いものであることは間違いありません」。

コタンタンとジャージーの漁業者たちにとって持続可能性とは、品質と切り離して考えることのできないものなのです。

(1)  バス=ノルマンディー漁業地域委員会(CRPM-BN)は水産業のグループで、バス=ノルマンディー地域のすべての漁業者が所属しています。その主な役割は漁業活動の調整、沿岸資源の持続可能な管理を行ない、漁業者たちの利益を守ることです。指針、魚種、空間および共生の管理がCRPM-BNの基本理念です。

 (2)    Normandie Fraîcheur Mer (NFM)は バス=ノルマンディーの漁業者、競り、水産物卸業者らによるグループです。地域の水産製品に付加価値を付けることをその目的として掲げています。NFM は300名を超えるボランティアを擁しており、助言、サポート、研修などを通して水産製品の品質とトレーサビリティの向上に取り組んでいます。また、品質規定、規格の実施およびモニタリング、そして公式の品質証の取得にも取り組んでいます。