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ナンキョクオキアミ漁業がMSC認証を取得

ノルウェーのオリンピック・シーフード社のナンキョクオキアミ漁業が海洋管理協議会(MSC)の規準を満たし、漁業認証を取得しました。第三者による厳格な審査に合格したこの漁業によるオキアミには今後MSCのエコラベルを表示することができるようになります。この漁業によるオキアミは主にオメガ3サプリメント用に使用されていますが、高まる魚油製品への需要と共に、持続可能な方法で漁獲されるオメガ3の重要性も増加しています。

持続可能なオキアミ漁業

オキアミは小さな甲殻類で、クジラ、アザラシ、ペンギン等の餌となっており、南極海の生態系において欠かすことのできないものです。そのため、科学と調査に裏付けされた持続可能な方法でオキアミが漁獲されることが非常に重要となります。

MSC認証を取得したことにより、オリンピック・シーフード社のナンキョクオキアミ漁業は、南極海特有の生態系と生物を保護するために、最も高い環境持続可能性規準に則して操業を行っているということが実証されました。この漁業の管理については、南極海洋生物の保護を目的として1982年に設立された「南極の海洋生物資源の保存に関する委員会(CCAMLR)」が厳密な規制を行っています。

食物連鎖への影響を最小限に留める

CCAMLRは、オキアミの漁獲可能量を設定する、公海漁業を管理する組織の中で、最も厳格な予防措置を行う組織として広く認識されています。この漁業の海域(CCAMLR 48海区)においてオキアミの漁獲可能量はオキアミ総個体群(推定6千2百万トン)の1%(62万トン)だけです。現在、オリンピック・シーフードの漁獲量は、CCAMLRの設定した漁獲可能量である62万トンのうちの3%(1万5千トン)です。一方で、捕食されるオキアミの量は少なくとも年間2千万トン(オキアミ総生物量の32%)と推定されています。漁業がひとつの区域に集中することを防ぐために移行規準(トリガーレベル)が設定されています。こうした低い比率から、食物連鎖におけるオキアミの捕食者やその他の生物に対して漁業が及ぼす影響は最小限に抑えられています。

累積する生態系への影響も考慮

持続可能な漁業のための世界で最も厳密な規準に合格したオキアミ (学名:Euphasia superba) 漁業は、この漁業で世界で2例目となります。オリンピック・シーフードの審査においては、漁業域のオキアミ資源に対して影響を及ぼすことの無いよう、他の漁業活動による累積影響の面での持続可能性についても検討されました。

MSCは、優れた管理を実践するこの漁業のMSCプログラムへの参加を歓迎します。MSCのヨーロッパ地域ディレクター、カミエル・デリッヒは次のようにコメントしました。「今回で2例目となるオキアミ漁業のMSCプログラムへの参加を大変うれしく思います。今回の認証は、オリンピック・シーフード社の漁業が、操業を行う南極海への影響を最小限に抑えた環境に配慮したものであることを実証するものです。CCAMLRの優れた管理により、オキアミ資源はほぼ本来の状態を維持し、その利用も非常に低いレベルに抑えられています」。

混獲の防止

この漁業のトロール網の入り口には網目の細かいパネルが取り付けられており、大きな魚が入り込むのを防いでいます。また、アシカなどの海洋哺乳類が網に絡まってしまうことの無いように、網の入口を閉じる装置も装備されています。結果として、対象魚種以外の混獲はごく少量であり、この漁業とETP種(絶滅危惧種・保護種)の間における影響や関連性は見られません。

持続可能なサプリメントの需要の拡大

オキアミはオメガ3サプリメント製品の高品質な原料となるものですが、オリンピック・シーフード社のほとんどのオキアミは魚粉または機能性食品に使用されます。オメガ3サプリメントの需要が拡大する中で、この持続可能な製品の市場への参入をMSCは歓迎します。

MSCのカミエル・デリッヒは加えて次のように述べました。「消費者が常にオメガ3サプリメントとその原料となっている海の生物とを関連づけて考えている訳ではありませんが、この認証によって、消費者の認識が高まり、他のオメガ3産業における持続可能性が問われてくることになるでしょう。これは、環境活動の改善のために必要なことであり、歓迎すべきことです。この点においてオリンピック・シーフード社が先駆者であることは間違いありません」。

MSCエコラベルは、このオキアミ製品が持続可能な漁業によるものであることを消費者に保証するものです。オリンピック・シーフード社にとって、MSC規準審査を受けることは、より持続可能な将来のためにも重要なステップであったといいます。

オリンピック・シーフード社 社長のビョルナール・クレイヴェン氏は次のようにコメントしました。「南極海での私たちの努力が認められたことをたいへん嬉しく思います。我が社では設立当初から、南極海における優れた環境管理と責任ある漁業を推進してまいりました。環境に配慮した持続可能なオキアミ資源管理は我が社の成功のために不可欠なものです。先進的な漁法によってこの生態系を保護することは我が社の義務だと考えています。私たちは技術、知識を備え、最新の漁船を使用しており、持続可能な漁業における先駆者として十分な設備と資質を備えているといます」。