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ポルトガルのイワシ漁業、MSC認証回復を目指す意思表示

漁業の代表、ポルトガル政府、缶詰協会と調査機関であるIpimarから成るイワシ委員会が、MSC認証の一時中断を回復するための第一歩を踏み出しました。イワシ委員会は、Anopcerco(Portuguese Association of Purse Seine Producers:ポルトガル巻き網生産者協会)と協力し、政府からの支援を受け、様々な方策を取ることを既に決定しています。

認証の回復のためには2つの条件をクリアする必要があります。第一に、2012年4月12日までに効果的な是正措置のための行動計画を提出すること。そして第二に、資源量の減少が反転することです。

進行中の行動計画と強力な方策の是正措置の実行
海洋担当大臣は2月1日、「今年の前期に行われる資源評価の結果に関わらず、資源状態の不確実性に対処するために、漁業の管理および規制措置を2012年内に採用する」とした指示(報告書No. 1520/2012)を承認しました。
イワシ委員会は行動計画に対する真剣な取り組みを見せており、既に一連の措置が政府から承認されています。

採用された措置の中には、1月1日から3月31日まで、イワシの最大水揚げ量を9千トンとすることなどが含まれ、生産者団体に通知されています。同時に、それぞれの漁業域(北、中央、南)における操業を45日間禁止する措置も承認されました。農水産環境公共事業省(Ministry of Agriculture, Sea, Environment and Physical Planning)が管理する国有会社であるDocapescaが、規定の順守を毎月モニタリングします。この水揚げ量の大幅な削減と操業の禁止は、漁師たちの短期収入に大きな影響を及ぼしますが、Anopcercoおよびの生産者団体は、MSC認証を保持すること、そして健全な資源による長期的利益を鑑みて、この決定を支持しています。

資源回復の確実性
行動計画についてはすでに顕著な前進を見せていますが、資源状態の確実性が得られるまでは、認証の一時停止がいつ回復されるかどうかは決定できません。

2012年2月17日に海洋探査国際委員会(ICES)が資源状態の評価を行なったものの、この分析はデータと資源評価方法の定義の見直しに主眼を置いたもので、資源状態の全体像は前回の審査時(2011年7月)のものから変わっていません。しかしながら、この評価において、最低生物量レベル(Blim)は特定されました。これは、持続可能な漁獲率のために必要な長期的再生産能力ですが、2011年春のデータによると、資源はそのレベルを下回っています。行動計画においては、主に漁獲削減によって資源を回復させる措置を提示することが求められます。
2012年の7月には新たな資源評価が行なわれますが、年頭に行なわれたこれらの措置によってイワシ資源の状況がどのように変化したかについてのさらなる情報を得ることができます。

認証の一時中断スケジュール
中断の原因について十全な対処が成されるまで認証が回復されることはありません。今回のケースでは、一時停止後90日間の期限は2012年の4月12日です。。この期限までに行動計画を提出し認証機関による承認を受けなければなりません。行動計画が承認されれば、措置を実行しますが、認証中断の状態は続きます。行動計画が承認されない場合、認証は取り消されることになります。

認証の回復について
認証機関が資源の改善の証拠を確認できれば、認証はすぐに回復されます。2012年7月、もしくはその後2013年7月に予定されているICESの審査によってこうした証拠が得られることになるかもしれません。しかし証拠が得られない場合には、認証の中断は2015年1月の認証有効期限まで続くことになります。


ポルトガル政府による支援
海洋担当大臣である、マニュエル・ピント・アブリュ氏は、次のようにコメントしています。「持続可能な生物・非生物資源の利用は、ポルトガル政府の海洋政策の理念です。特に漁業における持続可能性は、科学的資源評価と調和のとれた環境保護に基づいた漁獲方策によってもたらせるべきです。最新の基準に基づいた認証は、漁業活動の独立した質の管理とモニタリングを確実にするために大変重要な役割を果たします。そのため、ポルトガル政府は、ANOPCERCOのイワシ漁業に対するMSC認証を評価し、認証を継続するために現在行われている様々な努力を支援しています。」

漁業の意思表示
Anopcercoの代表である、フンベルト・ジョージ氏は、「生産者団体と、水産物業界は、現在のポルトガルイワシ漁業に対するMSC認証の状況を打開すべく、一丸となって努力します。持続可能基準、環境的・社会的、経済的なレベルに基づく管理手法は、問題の解決のために、効率的なやり方で策定中です。」 と話しています。

MSCからのコメント
スペイン、ポルトガルのカントリーマネージャー、ローラ・ロドリゲスは次のようにコメントしています。「私どものイベリアのオフィスでは、このプロセスを注意深く見守っています。この中断が今後どのように展開していくのかを確実に予測することはできませんが、認証を保持しようとする高い意欲と関係者たちの決意が、MSCのプログラムがいかに漁業者、加工業者、関係当局、そして科学者たちを一致団結させひとつの方向に向かわせられるのかを如実に表していると思います。この資源状況についてのより良い情報が早期に得られ、認証の中断を乗り越えられることを望んでいます」。