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モルディブの一本釣りカツオ漁業がMSC認証を取得

本日、モルディブの一本釣りカツオ漁業が海洋管理協議会(MSC)の認証を取得しました。これは、独立した認証機関がMSCの厳格な環境基準に対して行った審査の結果によるものです。MSCのクライアントであるモルディブ水産加工輸出協会(MSPEA)が供給するカツオ(学名:Katsuwonus pelamis)は、世界的に認知されたMSCのエコラベルを付けた販売が可能となりました。需要の高いMSCの海のエコラベルは、その製品が持続可能な供給源にまで遡ることが可能であることを消費者に保証します。

環境に優しい漁業

インド洋地域のマグロ類管理は、インド洋まぐろ類委員会(IOTC)に管轄にされています。モルディブはIOTCの科学に関する作業委員会に積極的に参加しており、2011年7月に正式会員となりました。モルディブの排他的経済水域(EEZ)の漁業管理はモルディブの漁業法(No. 5/1987)に基づいており、漁業農業省が監督省庁になっています。

一本釣り漁業は100年に渡りモルディブで行われてきており、極めて選択的で海洋環境に優しい漁業の例としてしばしば挙げられます。2009年7月にMSC認証の審査に入って以来、モルディブは予防的アプローチおよびマグロ資源の管理基準点の設定に関する決議案を提案・推奨し、IOTCにおける予防的アプローチに関する決議12/01および主要IOTC管理魚種に対する暫定目標・限界管理基準点に関する勧告12/14の採択に重要な役割を果たしました。

「この漁業への認証は、持続可能性に焦点をあてて改善された管理体制の恩恵を示す良い例となります。最近、モルディブの主導によりIOTCの加盟国より予防手段が正式に採択されたことは、インド洋のマグロ類の管理強化について明らかな一歩となりました。これは、IOTC加盟国が残りの課題について引き続き積極的に行動を起こすよい刺激になります。」と、IOTC事務総長のアレハンドロ・アンガヌッツィ氏はコメントしました。

さらにモルディブは、2010年7月よりサメ漁業および輸出の禁止令を導入し、リオ+20では持続可能な漁業のみを操業させ、5年後にはモルディブ全土が生物圏の保存地域になると発表しました。「モルディブの人々は、1000年以上続く、一匹一匹釣り上げる持続可能な漁業であるカツオの一本釣りを誇りに思っています。モルディブ人は、自ら信じていた自国の漁業の持続可能性について、オープンで透明性の高い審査の結果、ついに世界が認めるようになったことをありがたく思い喜んでいます。モルディブは、関係各位、MSC、認証機関に感謝します」とモルディブ共和国の漁業農業大臣フセイン・ラシード・ハッサン博士は述べています。

世界の小売の協力をサポート

モルディブの経済は、歴史的に漁業とその他の水産品に依存しており、現在漁業は観光業に続き2番目に重要な産業と位置付けられています。漁業およびその関連業務には国の労働人口の3割が従事しており、国内総生産の15%以上になっています。また近年ではモルディブのカツオ漁獲量は一本釣りで約9万トンにものぼります。漁獲された水産品は輸出用として缶詰か袋詰めにされ、主としてヨーロッパに輸出されます。ヨーロッパの多くの小売企業と外食産業は、持続可能な漁業と流通経路が明確な水産品を調達することで、大きな貢献をしています。この戦略的に重要な欧州市場でのMSCのエコラベルへの需要の増大と消費者間の認知向上に伴い、この漁業は、認証の取得により著しく恩恵を被ることになると予測されています。

今回の象徴的な漁業認証の重要性を反映して、MSCの最高責任者ルパート・ハウズは次のように述べています。「MSCの持続可能基準に対する審査は、非常に厳密なプロセスによるものです。MSPEA、モルディブ政府、一本釣り漁業者に対し、今回の素晴らしい審査結果と、モルディブの重要産業の持続可能性を証明するためにMSCのプログラムを選んでいただいたことについて私より祝辞を捧げたいと思います。また今回の審査は、MSCの国際プログラムが開発途上国に対しても適用可能で妥当なものであることを表しており、他の開発途上国の漁業が審査を受ける契機になることを期待しています。モルディブのカツオ一本釣り漁業の、市場での成功を祈ります。」

審査と認証について

MSCの基準に対する審査は、独立した第三者認証機関であるインターテック・ムーディー・マリン(Intertek Moody Marine)によって行われました。漁業に対する採点の過程では、審査チームはインド洋のカツオの全資源の状態と管理、またモルディブの漁業による潜在的な生態系への影響を考慮しました。審査は、カツオの資源量が健全で、漁業は一貫して、生息環境と非対象魚種に対してごく限られた影響しか与えず、良好な管理原則に従っていると結論づけました。

審査に際してWWFなどの関係者の貴重な参加が得られ、認証機関はこのモルディブの漁業が、すべての面において世界の最優良事例となるべく更なる管理の活動について多くの条件を付しました。広義には、この条件は、将来に向けたより効率的な漁業管理のために必要となる情報に関する改善を求めるものです。WWF持続可能な漁業プログラムのダニエル・サダバイ氏(国際漁業プログラム・マグロ保全担当)は「WWFは、モルディブがインド洋のマグロ類における持続可能な管理の推進を率先して行っていること、またIORCへの熱心な参加を通じてカツオ漁業の改善に尽力していることを誇りに思います。この漁業への認証は、インド洋の商業漁業が経済と環境の持続可能性を目指すことを促します。私達はモルディブ政府や漁業関係者とさらに協働し、今後の課題に取り組んでくことに期待しています」と述べました。

このモルディブの漁業者は、制限基準値、漁獲制限規範の進展のため、IOTCとの協働しています。また、漁船の違反行為、資源量、餌魚管理に関するよりよい情報収集、絶滅危惧IB種、絶滅危惧種・危急種および保護種の保護についても、IOTCと取り組んでいます。

今回の認証は5年間有効ですが、この間、管理行動計画の進捗状況は追跡され、年次監査の際に一般に公開されます。

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