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ロス海のメロ延縄漁業MSC認証取得

ロス海の南極メロ(Dissostichus mawsoni )の延縄漁業が、第三者認証機関による厳格な審査の結果、持続可能で適切に管理された漁業として、MSC認証を取得しました。今後その漁獲物に、持続可能な漁業から供給された水産物の証であるMSCの青いエコラベルを付けることができます。MSC認証を受けた漁業からの製品だけが、MSCエコラベルを表示する資格を有します。

この漁業は南極海に位置するロス海の生態系の中で操業しています。すべての漁業活動は、南極の海洋生物資源の保存に関する委員会(Commission for the Conservation of Antarctic Marine Living Resources : CCAMLR)により監視されており、この地域で操業するすべての漁船は、CCAMLRおよび各船舶が所属する国の規定に従わなくてはなりません。管理のルールとその実施は、予防的で生態系に基づく原則を遵守しています。漁獲レベルとその他の保全方策は、CCAMLRによって同意されており、これは、CCAMLRの科学委員会と各漁船に乗り込んで監視する認定オブザーバーのアドバイスに基づいています。

予防的漁獲レベルによる漁業インパクトの低減

この漁業は1996年の開始以来、先駆的管理が行われています。この漁業においては、生態的データが各漁船によって収集され、保全や予防的TAC(漁獲許可量)が設定されます。TACは、毎年調整され、長年にわたり3000トン前後となっています。TACの満了は、各漁期の氷の状態によって左右され、ある漁場では氷が一年中張ったまま、漁業活動を妨げます。2007/08年は、TACの80%が実際に漁獲されました。今回認証を取得した漁業に属する漁船は、通常、ロス海で獲れるメロの3分の1から半分の漁獲を占めています。資源評価は毎年行われ、現在の資源量は、元々の資源量の80%と推定されており、目標水準である50%を大きく上回っています。

認証に付随する更なる管理行動

審査チームは、認証の授与にあたり、当初、6つの必要改善点を提示しました。

対象種の生態の科学的理解の向上

標識放流プログラムを拡大し、資源評価に使用するデータの増強

ロス海の海底生態系の理解の向上

種間の相互作用の理解の向上

エイなどの混獲の可能性のある種への影響の不確かさの軽減

 

さらに、この漁業には、漁業閉鎖エリアの設定が必要な時は、閉鎖エリアの選定の適切なプロセスを促進し、協力することも条件として挙げられています。さらに、この認証に出された異議申し立ての内容に対する独立裁定人の判断に基づいた、国内外の漁業管理の枠組みに関する2つの条件が追加されています。

厳格な認証審査プロセス

この漁業の認証取得を歓迎しているMSC副最高責任者であるクリス・ニンは、以下のようにコメントしています。「この漁業の管理は予防的で生態系に基づく原則に則って行われています。漁具に対する厳格な漁獲制限、毎年の資源評価、海鳥の混獲を避けるための操業・漁具に対する監視の義務化は、この認証によって認知され、評価された、この漁業の管理手法の実践的な所産のいくつかに過ぎません。認証取得に伴い、この漁業はロス海における漁業の影響をより理解するための方策を導入しようとしています。」

「MSC制度の強みの一つは、そのピアレビューと関係者の参加によって、違った角度からの議論が、審査チームの分析に付加される機会を与えることにあります。今回の認証は、異議申し立てを通して、関係者の積極的な参加と、提示された理由と証拠の再検討から、多くの恩恵を受けています。この審査プロセスでは、審査結果の幾度もの修正と訂正が行われましたが、MSCは、厳正な最終判断を導き出すために、また、この漁業のこれからの行動の決定に、多大な貢献を寄せてくださいました、南極南大洋連合(ASOC:Antarctic and Southern Ocean Coalition)、WWF、そして、すべての参加組織と個人にお礼申し上げます。」

以上

*団体名などの表記はご参考としてのものです