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世界で初めてアブラツノザメ漁業がMSC認証を取得

カナダ、ブリティッシュコロンビアのアブラツノザメ(Squalus suckleyi)漁業が、MSC漁業認証を取得しました。第三者による科学的な審査を担当したのは、ムーディー・マリン社です。

独立した科学審査チームは、対象魚種資源が持続的であり、漁業の環境への負荷が最小限に抑えられ、さらに効率的な漁業の管理手法が実施されていることにより、持続可能で適切に管理された漁業のためのMSCの規準に適合していると結論付けました。この漁業の申請者は、ブリティッシュコロンビア・ツノザメ延縄漁業協会で、ツノザメ漁船の90パーセント以上と、ツノザメを市場に提供する製品に加工する全ての加工者を代表している組織です。

20年以上にわたる昔からの漁獲レベルと安定した資源量

このアブラツノザメ漁業は、カナダ漁業海洋省(DFO)による予防的フレームワーク内で管理されています。カナダDFOは、年間合計許可漁獲量を長期的な平均漁獲量に基づき設定しています。この20年間の漁獲量は、年間およそ3,000トンで、年間に許可されている漁獲量未満です。2009年のレビューでは、アブラツノザメの資源量は安定しており、現在の漁獲量では資源が危険なレベルに減少する危険はほぼないと報告されました。2011年には、カナダDFOは、より予防的な手段としてさらに低い許可量を設定しています。

少ない混獲と最小限の生態系への影響

審査チームは、この漁業で使用されている底延縄は、漁獲の90パーセント以上が対象とする種に絞られていると結論づけました。

本漁業では、ETP種(絶滅の恐れのある種、保護種)などさまざまな他の種をとらえることもありますが、その数が非常に少なく、高い生存率です。全ての漁獲を記録する船上に備え付けられたカメラと漁船の船長によるログブックおよび独立監査人によるシステムの監査を組み合わせた高水準のモニタリングシステムによって漁獲物が監視されています。

さらに本漁業で使用される底延縄が海底へもたらす影響は比較的少なく、この漁業が沿岸の生態系に重大な影響をもたらす恐れはほぼないと評価されました。

科学的な理解の改善手段

さらに、審査チームは、いくつかの改善の必要性を指摘しました。その結果、漁業が行われる2つのエリアのそれぞれにおいて、認証期間の5年内に、同じ3つの改善行動の完遂が要求されています。それらは、1.分析的な資源評価の開発と実施、管理主体による承認、2.包括的なサメ(sixgill shark)管理計画における成功実証、3.研究計画の確立および実施と報告管理の更新、です。

ブリティッシュコロンビア・ツノザメ延縄漁業協会のマイク・レンウィック氏は、漁業者と加工業者は、MSC認証取得という大きなマイルストーンを達成できたことを大変喜んでいると話しています。レンウィック氏は、多くの要件を達成する必要のあるMSC認証取得に向けた堅牢で透明性のあるプロセスにおいて、ご協力いただいた多くの関係者に心より感謝を述べています。そして、審査と認証が、この比較的小規模でありながら重要な漁業に経済的な改善をもたらすことを期待しています。

MSCのアメリカ地域ディレクターのケリー・コフリンは、「世界的に、多くのサメの仲間は過剰な漁獲に対して影響を受けやすいのです。ブリティッシュコロンビアのアブラツノザメ漁業は、MSCの厳格で科学的な基準の審査を通じ、この漁業が持続可能な方法で実施され管理されていることを示したサメ漁業として最初のケースです。この認証がアブラツノザメを漁獲する他の漁業者に良い影響をもたらしてほしいと思います」と述べました。

MSC認証はブリティッシュコロンビアのアブラツノザメ延縄漁業にのみ適用

このブリティッシュコロンビアのアブラツノザメ漁業は、資源量、海域、漁具により定義されており、MSC認証は、ブリティッシュコロンビア・ツノザメ延縄漁業協会によって申請審査された2つの定められた漁業区画にのみ適用されます。現在、登録された24隻の漁船がこの漁業に参加しています。2009/2010年には、このツノザメ延縄漁の漁船は、ブリティッシュコロンビア州のアブラツノザメの92パーセントを水揚げしました。ほかの8パーセントは、トロール漁による漁獲(認証の範囲でないためMSC認証漁業ではありません)および他のブリティッシュコロンビア延縄漁業による混獲です。

本認証漁業は、北太平洋の2つの漁業資源を対象にしており、世界の他の多くの海に見られる近い種の一般のアブラツノザメ(Squalus acanthias)とは区別されます。この漁業は、カナダのブリティッシュコロンビア州の沿岸で行われ、2009/10 年の延縄漁によるアブラツノザメの漁獲高は、3,147トンでした。

本認証漁業のアブラツノザメは、そのまま水揚げされ、切り身および冷凍加工品としてヨーロッパおよびアジアの市場に輸出されます。食用に使われた残りは、農業用の有機肥料に加工されたり、軟骨がサプリメントに使用されたりしています。