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北大西洋のブルーホワイティング漁業が認証を取得

北東大西洋のブルーホワイティング(学名: Micromesistious poutassaou)の総水揚げ量の3分の2を占める、デンマーク、オランダ、アイルランド、スコットランドおよびフランスの漁業者が共同でMSC認証を取得しました。この認証グループを構成するのは遠洋冷凍トロール漁船協会(蘭、英、デンマーク、仏)、デンマーク遠洋生産者団体、キリーベッグス漁業者団体有限会社(アイルランド)、スコットランド遠洋持続可能グループ有限会社(英)、サン・マロ漁業会社(仏)の5つの団体です。

認証審査のプロセスにおいてメンバー間の調整を行い、グループの代表を務めた遠洋冷凍トロール漁船協会(Pelagic Freezer Trawler Association: PFA)のジェラルド・ヴァン・バルスフォールト氏は次のように述べました。「5つの漁業団体が共同で北東大西洋ブルーホワイティングのMSC認証を取得できたことを大変うれしく思っています。これは、EUの遠洋漁業船団が長年にわたって共同で持続可能な漁業管理および選択的漁業に取り組んで来たことがあらためて認められたことに他なりません」。

選択性に優れた漁法

72の漁船からなる船団が対象とする種はブルーホワイティングです。魚種選択性に優れた中層トロール漁業を行っており、船団による平均総漁獲量の99%以上をブルーホワイティングが占めています。

船長たちはブルーホワイティングが生息する水深、水域において音響測深器を使いブルーホワイティングの群れを探します。魚群を発見した時点で網を下し、ソナーで魚群の大きさと泳ぐ方向を確認しながら漁獲を開始します。産卵期には集団を形成する傾向があるため、網を曳く時間は大変短く、通常10分から20分程度です。このため、混獲も最小限に抑えられています。共同で認証を取得した漁業のうちの4つはスリミ(フィッシュ・スティック)やフィッシュ・パイの中身など、主に食用としてブルーホワイティングを販売しています。DPPOでは魚粉向けとしてもブルーホワイティングを供給しています。アフリカと中国の市場では食用ブルーホワイティングの需要が伸びを見せています。

資源量は増加中

ブルーホワイティングは体長25cmほどのタラに似た魚です。水深150~3000メートルの水域に生息していますが、一番多く確認されているのは水深300~400メートルで、北東大西洋全域に分布しています。資源量は2011年以降、着実に増加してきています。

ブルーホワイティング漁業は1970年代後半に発展を遂げ、その漁場は漁業者の経験と科学的な調査によって明らかにされています。今回のMSC認証に含まれる漁船による水揚げ量は、2013年には73,000トンでした。EU北部において同年に認められた漁獲可能量は116,032トンでした。今後、北部で水揚げされるブルーホワイティングの大半はMSC認証漁業によって占められるものと期待されています。

MSCヨーロッパ・ディレクターのカミエル・デリッヒは「ブルーホワイティング漁業が今回MSC認証を取得したことは実に素晴しいことです。これは、複数の漁業団体がお互いの利益のために共同で認証を目指した成功例です」とし、また次のようにも述べています。「本船団の水揚げ量の大半はスリミ加工などの食用として販売されますが、かなりの量が魚粉やフィッシュオイルの生産にも使用されます。最近は、魚粉やフィッシュオイル生産者の間でも持続可能な原材料を求める傾向があるため、食用以外の用途に使用される水産物を獲っている漁業もまたMSC認証の取得に関心を示すようになってきており、今回のブルーホワイティング漁業の認証は正にこの動きに合致するものです。漁業者たちが協力しあってMSCプログラムに取り組むことにより、今後もブルーホワイティングの資源が確実に守られ、漁業が増々発展していくものと期待されます。ブルーホワイティング漁業が認証を取得されたことは大変喜ばしいことであり、彼らの持続可能性に向けた取り組みを歓迎します」。

MSC認証の有効期間は5年間です。今回の審査は独立認証機関であるMEサーティフィケーション社の審査員によって行われました。