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北海マダラがMSC漁業認証取得

10年以上にわたって、北海マダラ資源は崩壊の危機にありましたが、このたびスコットランドとイギリスの船団が認証を取得したことにより、消費者のみなさまは良心の呵責なく、買い物や食事を楽しむことができるようになりました。認証を取得したのはスコットランド漁業持続可能性認定グループ(SFSAG)の所属船です。

スーパーマーケット、水産メーカー、水産業界団体「シー・フィッシュ」の支援のもと、漁業団体の連合による莫大な労力のおかげで、北海のマダラはMSCの厳格な規準に対する独立した審査を通過しました。このニュースは、北海のマダラがMSC「海のエコラベル」を付けてスーパーやレストランで販売できるようになったことを意味しますが、これは北海マダラが持続可能で完全に追跡可能であることを示しています。MSC水産物を販売するためには厳格なトレーサビリティーの要件を満たす必要があります。

混乱の終焉

1年間に約70,000トンも食べられるほど、マダラは英国で最も人気のある魚種の1つですが、英国の市場調査会社YouGov社がMSCのために行った調査によると、英国の成人の35%が、マダラが「持続可能かどうかわからない」「食べるべきかどうかわからない」と答えています。

調査対象者の28%は、「マダラ資源が持続可能ではないので、できるかぎり食べないようにするべきだ」と回答しました。逆に「マダラは豊富であり、サステナブルな選択肢だ」という意見を持つ人も、28%いました。

MSC北東大西洋地域担当プログラム・ディレクターであるトビー・ミドルトンは次のように述べました。
「この度の認証は、マダラに関する混乱の終わりを示しています。MSC『海のエコラベル』付きのマダラをみつけたら、それは持続可能な漁業で獲られたものであることがわかります。『海のエコラベル』付きの魚を選ぶことによって、将来にわたって長い間、水産資源を保護する一助となるのです。」

北海マダラ資源回復までの長い道のり

この発表は、業界にとって極めて大きな功績といえます。北海のマダラ資源は1970年代には270,000トンに達し、北海のマダラは広く販売され、親しまれていました。しかし、その資源量は2006年にわずか44,000トンに減少しています。それ以来、この業界はスコットランド政府やEU漁業評議会と協力して、水産資源の健全化を図るために「マダラ回復計画」に同意し、これを実施してきました。

この計画においては、漁業者が合意した保全措置と、各漁船に与えられた操業可能日数とが結びつけられました。同計画は、2009年にマダラの漁獲量を25%削減し、続いてさらに年間10%削減することを目指しました。これに対応して、スコットランドの漁業は大きな産卵場の禁漁と、「産卵集群」が発見された場合にはその海域を即時禁漁にすることで魚群を保護するシステムを導入しました。また、新しい漁網の試験的導入や、漁船に設置されたCCTVカメラを用いた遠隔電子モニタリングシステムの開発を行いました。

SFSAGの会長、マイク・パーク氏は次のようにコメントしました。
「これは漁業部門のめざましい進歩であり、力を合わせて行動した証です。何年にもわたる北海マダラ資源回復にむけた取り組みにより、この漁業が、責任ある漁業であり、持続可能で安定した水産資源を提供する信頼できる漁業であることを示してきました。消費者のみなさまは地元で獲られたマダラを、安心して食べることができます。」

トビー・ミドルトンは次のように続けています。
「これは大きな成果であり、MSCが目指すものの完璧な実例でもあります。複数の産業をまたがる協力と努力のおかげで、最も象徴的な魚の1つが崩壊の危機を脱することができました。漁具の改善、漁獲制限、より良い漁業管理、これらのすべてのステップは、深刻な減少に陥った魚種を回復させるために集結されました。そして、これからは、買い物や食事を楽しむ消費者のみなさまの役割が発揮されます。MSC認証の持続可能な北海のマダラを選ぶことで、私たちは、このよく食卓にのぼる魚を保護し、再び危機に瀕しないようにすることができます。」

この認証は、マダラ資源を持続可能なレベルに回復させるための、漁業、加工業者、NGOによる多大な努力の結果です。

シー・フィッシュの最高責任者であるマーカス・コールマン氏は次のように述べました。
「これは業界と消費者の両方にとって素晴らしいニュースであり、シー・フィッシュは北海のマダラがMSC認証を取得したことを喜ばしく思います。収益性が高く、持続可能で、社会的に責任ある水産業を支援することが私たちの使命であり、今回の認証は前向きな成果のために、産業と科学が協力しあえることを示す輝かしい例となります。」

「MSCは、持続可能な漁業および流通加工におけるトレーサビリティの規準を設定しています。これらの規準を満たす水産物にはMSC『海のエコラベル』が付けられますが、これは消費者に対して、その魚が持続可能な方法で漁獲され、完全に追跡可能であることを保証しています。この認証は、北海マダラの評判を高めるだけではありません。イギリスの消費者が利用できる持続可能な魚の選択肢の幅が広がり、より多くの魚をより頻繁に食べてもらうことができるようになるのです。」

審査を支援したアイスランディック・シーチル社の技術兼CSRディレクターであるナイジェル・エドワーズ氏は、次のように付け加えています。
「アイスランディック・シーチルは、この審査を支援してきたことを誇りに思います。また、北海のマダラという美味しくて象徴的な魚の長期的な持続可能性を実現するために力を合わせてきた漁業者、科学者、漁業管理者のみなさまが当然の称賛を受けたことを、うれしく思っています。私自身は、1990年代から、MSC、Tescoなどの小売業者、水産加工業者、そして漁業者や科学者と協力して、仕事をしてきました。『持続可能な北海』という共通のビジョンが、ようやく実現しました。北海のマダラは、アイスランドやバレンツ海の他の持続可能なMSCマダラ漁業に仲間入りしました。これにより、私たちはマダラの未来に、本当に自信を持つことができるようになったのです。」

漁業、小売業者、水産メーカー、レストランにおいて、MSC「海のエコラベル」付きの水産物を選択すれば、それが持続可能な漁法で獲れた追跡可能な水産物であることが保証されます。また、将来の世代のために私たちの海の生き物を守っていくことにつながります。