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南オーストラリアの漁業が国際的な持続可能な漁業の認証を取得

海洋管理協議会(MSC)が南オーストラリアの湖とクーロンの漁業を持続可能な漁業と認定

南オーストラリアの湖とクーロンの漁業は、海洋管理協議会の、持続可能で優れて管理された漁業のための基準認証を取得した28 番目の漁業である。独立の認証機関、Scientific Certification Systems (SCS)が、この漁業の操業をすべて綿密に審査した末、認証が決定した。

湖とクーロンの漁業は、南オーストラリアのマレー川の河口、クーロン地域の湖や浜辺で操業している。従事する漁師の多くは、認証申請者であるSouthern FishermensAssociation のメンバーである。

MSC 基準を満たすとして、ゴールデンパーチ(キャロップ)、ピピ(グールワザルガイ)、ムロウェイ、イエローアイマレットの4 つの魚が認証を取得した。これらの魚は、アデレード、メルボルン、シドニーのオーストラリア国内市場に提供され、ピピに関しては輸出市場も伸びている。

MSC の持続可能漁業のリストにクーロンの漁業が加えられたのは、オーストラリア国内においても世界的にも有益なことである。154 年にわたって行われてきたクーロンの漁業は、ラムサール湿地[1]国立公園をその本拠としている。手作業を重視するクーロンの漁業で
は、混獲を避けるために手動の漁具が用いられる。湖とクーロンの漁師は生態系と緊密に関わっており、クーロン地域の環境保全を、地域社会に代わって責任を持って管理、維持し、さらには増進させることを自らの務めだと見なしている。

湖とクーロンの漁業が認証を取得しようという決定は、クーロン地域社会で高まる持続可能な漁業への期待に応えてのことであった。

今回の認証は、オーストラリアにおけるMSC の普及と発展を一層推し進めるものとなる。独立した第三者認証によってその漁業の持続可能性を示し、漁業活動に対する一般からの支持を得ようという漁業界の努力を支える上で、重要な役割を果たすものだ。

同種のエコラベリング団体としては唯一国際的に認識されているMSC は、よく管理された漁業を、厳格で独立した認証制度によって推進する、非営利の国際機関である。水産物を購入するにあたって消費者は、MSC の持続可能な青いエコラベル製品を選ぶことで、環境にやさしい選択ができる。

MSC のアジア太平洋地域ディレクターDuncan Leadbitter は、この認証を歓迎して次のように述べた。「オーストラリアのMSC ラベル製品の幅が大きく広がることになります。持続可能な水産物を求める消費者は、鮮魚として販売される6 種の国内製品に加えて、高級料理、サラダ、子供用の食事など、多彩な用途に適した6 種の輸入製品から選ぶことができるようになるのです」

Southern Fishermen’s Association [2]の会長Garry Hera-Singh 氏は言う。
「海洋管理協議会の認証を取得することは、Southern Fishermen’s Association の、経済的、環境的、そして社会的な目標への取り組みの一環でした。独立した第三者によってこの漁業の持続可能性が保証されることは、湖とクーロンの漁業が責任を持って資源を管理していることを、南オーストラリアの人たちに理解してもらうために不可欠です。MSC認証はオーストラリアの漁業の未来を切り開いてくれるものだと信じています」

認証を受けた持続可能な水産物への高まる需要に対応して、認証取得漁業のネットワークが世界で急速な広まりを見せている。湖とクーロンの漁業は、今回の認証取得によって、この漁業ネットワークに加わることになる。これらの漁業の生産量は、10 トンから150万トンとさまざまであるが、これはMSC のシステムがあらゆる規模の漁業に適応することを示すものである。

WWF オーストラリアとWWF アメリカが、認定の全過程において、湖とクーロンの漁業をサポートした。

WWF 持続可能水産物計画の副ディレクターMeredith Lopuch 氏は次のように語った。「湖とクーロンの混合漁業は、オーストラリアで認証取得した最初の地域社会型漁業です。WWF は、Southern Fishermen’s Association の今回の成果に触発され、この地域の他の漁業が、MSC 認証に申請して持続可能な漁法への取り組みを示してくれることを期待しています。そしてSouthern Fishermen’s Association の大きな功績を称えます」

世界の10 億人を超える人々の主要タンパク源は魚である。1960 年から1996 年までに、世界の食用漁獲物生産高は2 千700 万トンから9 千100 万トンに増加した。魚種資源の状況に対する関心の高まりと、持続可能な漁法の推進手段としての認証の価値が、海洋管理協議会のオーストラリア進出の背景である。オーストラリアの政治家、科学者、食品産業メディア、食育者、著名なシェフなどが、MSC の活動への支持を表明している。

以上

注釈:

[1] 国際的に重要な、湿地に関するラムサール条約は、植物、動物、生態系を保護するための条約です。

[2] Southern Fishermen’s Association (SFA):SFA は、湖とクーロン地域で操業する営利漁業の大多数の利益を代表するボランティア団体です。