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水産物ラベルに対する消費者の信頼度、調査によって明らかに

16,000人を超える水産物消費者を対象にしたMSCの最新の調査の結果から、その半数を上回る(55%)消費者が水産物のパッケージ表示について疑問を抱いていることが分かりました。

調査対象となった21か国において、回答者の65%が水産物を信頼できる漁業まで追跡できるかを知りたいと考えており、10人中6人までが(63%)、エコラベルを信頼できる情報元と考えていることが分かりました(注1)。

DNA検査によるトレーサビリティ検証

この調査結果は、本日発表されたMSCラベル製品のDNA検査の結果によるものです。2015年、MSCは世界16カ国からランダムに抽出した257のMSCラベル製品のサンプルのDNA検査をthe Wildlife DNA Forensics unit at Science and Advice for Scottish Agriculture (SASA)に依頼しました。テストではパッケージに表示されている魚種が中身と一致しているかが検証されました。その結果、MSCラベル製品の99.6%以上が正しく表示されていることがわかりました(注2)。
MSCのCEO、ルパート・ハウズはこの結果について次のように述べました。「最近の学術調査では、世界の水産物のおよそ30%はそのラベルに誤表示があるとされています(注3)。MSCのDNA検査の結果は非常に素晴らしいものだと言えるでしょう。青いエコラベルのついたMSC水産物製品は元の持続可能な漁業までたどることができます。そして、MSCのCoC(加工流通過程管理)に対するしっかりとした要求事項によってラベルの信頼性を確実なものとしているのです」。

MSCが委託する直近のDNA検査は5回目の検査となります。前回の結果でも誤表示があったのはごく僅かという結果でした。MSCのDNA検査プログラムとその結果については最新の報告書Ocean to plate: how DNA testing helps to ensure traceable sustainable seafood.に記載されています。

消費者と企業への保証

ハウズは加えて次のように述べました。「ヨーロッパの馬肉スキャンダルのような食に関する不安によって多くの消費者はパッケージの記載について警戒するようになりました。食品の偽装によって、信頼できる漁業者や取引業者の取り組みが損なわれ、サプライチェーンにおける信頼できるトレーサビリティの必要性が広く認識されることになりました。MSCのCoCプログラムは、水産物の消費者と企業に安心を提供する手段として最も広く認められ利用されているプログラムのひとつなのです」。

MSCラベル水産物は世界100ヵ国以上の国々の38,000を超える場所で操業を行う組織によって加工、販売が行われています。MSC認証水産物を取り扱う漁業者、加工業者、小売業者、料理人は、水産物が確実に追跡可能であり、正しいラベル表示が成されるよう、厳しい要求事項を順守しなければなりません。MSCのCoC規準は、企業が販売する製品の完全性を確保するために、IKEA,マクドナルド、Iglo、Lidlなど国際的な水産物サプライヤー、ブランド、小売業においても導入されています。

豊かな海のために欠かせないトレーサビリティ

WWFのSmart Fishing Initiativeのリーダー、アルフレッド・シャム氏は、次のようにコメントしました。「持続可能な水産物を優先的に購入することで、消費者は責任ある漁業と、海の資源を守ろうとする漁業者らの努力に報いることができるのです。消費者から元の持続可能な漁業までたどることができる追跡可能なサプライチェーンこそが、消費者が購入する水産物を信頼し安心するために重要なのです。トレーサビリティを確実にするためのMSCの要求事項は、豊かな海洋資源と生態系を守るために欠かせないものなのです」。

すべてのMSC水産物は、独立した第三者機関により、持続可能な漁業のためのMSC規準に照らして認証された漁業による水産物です。MSC規準は、最も信頼できる厳格な持続可能な認証として広く世界で認められています。

MSC認証製品を扱う組織を審査する独立認証機関アコーラ・マリンのディレクター、マーチン・ジル氏は次のように述べました。「Acouraでは100を超える企業についてMSCのCoC認証を行っていますが、私たちの考えでは、食品業界のトレーサビリティ規準においてMSC規準は間違いなく最も堅牢な規準です。私たちのクライアントはこの規準に合致するためにたいへんな努力をして業務の改善に努めています。時にそれは簡単なことではありませんが、認証取得を達成した時にはビジネスにおいても企業の評判においても大きな恩恵を受けることができます。MSC認証はそれほどサプライヤーが誇りに思うことができるものなのです。このDNA検査の結果は、MSCのトレーサビリティ改善のための努力を証明するだけでなく、組織としてMSCが掲げる目的と目標を成し遂げるための彼らの取り組みを反映していると思います」。

現在、世界およそ100ヵ国で20,000点を超えるMSCラベル製品が販売されています。

(了)

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注1: 調査結果は独立のリサーチと証拠に基づく調査会社GlobeScanによるものです。サンプルのサイズは16,876名の消費者で、過去2ヶ月の間に彼ら自身もしくは家族の誰かが水産物を購入したという人たちです。回答は、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、カナダ、中国、デンマーク、フランス、フィンランド、ドイツ、イタリア、日本、オランダ、ノルウェー、ポーランド、シンガポール、南アフリカ、スペイン、スウェーデン、スイス、イギリス、アメリカ合衆国の21か国の代表サンプルによるものです。調査は2016年の1月~2月の期間にオンラインで行われました。数値は各国で均等に重み付けされ、調査が行われた国々の全ての消費者を表すものです。

注2: 99.6%の製品が正しく表示されており、誤表示は0.4%でした。257サンプルの内、誤表示とされたものの一つは4回の検査を行っても結果が出なかったものです。もう一つのサンプルは、ラベルにサザン・ロック・ソールと表示されていたもので、中身にノーザン・ロック・ソールが含まれていました。両魚種は非常に近い種であり、いずれもMSC認証の魚種でした。これについては徹底した調査が行われ、サプライチェーンの文書の中にエラーが見つかりました。現在は再発防止のための措置が取られています。

注3 Pardo, Jimenez and Perez-Villarreal (2016)では、水産物ラベリングに関する51の文書を比較し、平均して30%のミスラベルがあるとしています。