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淡水性ウォールアイとノーザン・パイクが新たに認証水産品の仲間入り

~持続可能な淡水漁業として西半球初の認証漁業が誕生~

カナダのマニトバ州に位置するウォーターヘン湖のウォールアイとノーザン・パイク商業刺し網漁業が、海洋管理協議会(MSC)のグローバルな規準に則った持続可能で適切に管理されている漁業として、淡水漁業として西半球初のMSC認証を取得しました。独立した第三者認証機関であるインターテック・フィシャリーズ・サーティフィケーション(IFC)による審査を経て、認証漁業の仲間入りを果たした本漁業の水産物には今後、MSCの青いエコラベルを表示することができるようになります。                                                               

ウォーターヘン湖のウォールアイとノーザン・パイク刺し網漁業について

マニトバ州中部の通称「インターレイク」地方にあるウォーターヘン湖で1931年より操業している刺し網漁業の漁期は11月初旬から3月下旬までです。個人が商業漁業を行うためにはウォーターヘン湖漁業組合に加入しなければならず、現在の組合員数は22人です。今回の認証は、ウォーターヘン湖漁業組合を代表して、マニトバ州政府の水産保護管理部(Manitoba Conservation and Water Stewardship Fisheries Branch)が申請したものです。当局は、マニトバ州の商業漁業の管理モデルとして認証を位置づけており、マニトバ州の漁業に認証の取得を積極的に進めてきました。その一環として今回の認証審査に踏み切ったということです。

マニトバ州水産保護管理大臣のゴード・マッキントッシュ氏は次のように述べました。「我々は(漁業)組合の責任ある資源管理への取り組みに大変満足しています。認証を取得したことで、マニトバ州が環境だけでなくビジネスにも適した持続可能な漁業を大切に育んで来たことを世界に示すことができます」。

マニトバ州政府の認証への取り組みに不可欠であったのがウォーターヘン湖漁業組合の強い指導力と認証への意気込みでした。その動きを一貫して支持してきたのがカナダ先住民族、スコーナン・ファーストネーションズの族長キャメロン・キャチャウエイ氏です。

「我々スコーナン・ファースト・ネーションズの使命は、これからの世代のために、自然のままの魚と野生生物および環境を保護することだと信じています。我々の先祖がそうしてくれたように、我々も子孫のために健康で持続可能な資源を残し、これからもずっと湖での漁によって生計を立てられるようにしたいという思いでいっぱいです。そのために、漁業認証への取り組みを100%支持したのです。」

ウォーターヘン湖の商業漁業者は水産保護管理局と共同で進めてきたウォーターヘン湖漁業管理計画の策定と実施に加え、資源モニタリングの一環として業績評価指数や漁獲量規制を設け、非対象魚種や廃棄される混獲種の総量をモニターするための商業漁業日誌を付け、産卵・育成期の生息域を保護するためにウォーターヘン湖の周囲に自主的閉鎖水域を設け、そして紛失した漁具の回収プログラムも実施しました。

ウォーターヘン湖漁業組合会長のローン・フタラ氏は次のようにコメントしています。「ウォーターヘン湖の漁業がMSC認証を取得したことにより、持続可能なウォールアイとパイクの資源量が十分にあることが実証されました。これは、マニトバ州自然資源局、マニトバ州漁業局、マニトバ州政府をはじめ、持続可能な漁業に熱心に取り組んできたスコーナン、マラードおよびロックリッジといった周辺地域の漁業者など、多くの団体の努力の賜物だと思います。認証を取得したことにより、国際市場での売上げを伸ばす機会を得ることができました。これは、ウォーターヘン湖、マニトバ州、そしてカナダにとって大変大きな成果です」。

2013年の商業ウォールアイ漁業の総漁獲許容量(TAC)は36,300キロでした。ノーザン・パイクにはTACが設けられていませんが、年間漁獲高はほぼウォールアイと同等で、ここ5年間の平均は26,740キロでした。ウォールアイ・フィレの主な市場は生鮮品、冷凍品を扱うアメリカ中西部およびカナダの食品サービスと小売市場です。ノーザン・パイクは、フランスを中心としたEUにおいて、冷凍フィレとして主に出回っています。

西半球初のMSC認証淡水魚業としての画期的な業績

デヴィッド・スズキ財団の研究主幹、スコット・ウォレス博士はこの漁業を賞賛して次のように述べました。「マニトバの湖はカナダの持続可能な資源にとって重要です。ウォーターヘン湖漁業は天然淡水系のMSC認証水産物をカナダで初めて提供するという正にパイオニア的存在です。これが他の淡水漁業へ認証を促すことになるものと期待しています」。

MSCアメリカの漁業アウトリーチ・マネージャーであるジェイ・ルガーは次のようにコメントしました。「北米および西半球における初のMSC淡水湖漁業認証を取得されたマニトバ州政府およびウォーターヘン漁業組合の皆さんにMSCよりお祝い申し上げます。マニトバの漁業に認証を広めようという政府の取り組みと努力を強く後押しする画期的な業績です。MSCおよび世界の市場は、より多くのマニトバ州の漁業の認証取得を歓迎しています。今回の業績がその起爆剤となることを期待しています」。