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西オーストラリア州のアワビ漁業が世界初のMSC認証を取得

本日、西オーストラリア州のアワビ漁業がMSC漁業認証を取得しました。世界中で人気の高いウスヒラアワビ (学名:Haliotis laevigata)、ビクトリアアワビ (学名:Haliotis conicopora) 、オーストラリアトコブシ(学名:Haliotis roei) が認証されたのは、研究者と漁業の協働のたまものであり、独立した第三者認証機関のSCSグローバル・サービスの1年にわたる審査の結果、世界初のMSC認証アワビ漁業が誕生しました。

MSCオセアニア地域担当プログラム・ディレクターのアン・ガブリエルは次のようにコメントしました。
「アワビ漁業として世界初のMSC認証を取得された西オーストラリア州のアワビ漁業に心からお祝い申し上げます。オーストラリア内外の消費者の方々は、独立した第三者によって持続可能と認められた美味しいアワビを安心して堪能できることになりました。」

ガブリエルは加えて次のように述べました。「西オーストラリア州漁業省と協働し、支援を得たことによって、この漁業のアワビはMSC『海のエコラベル』を付けて出荷できるようになりました。環境に優しい持続可能な漁業として認められたことにより、新しい市場の開拓、市場の安定化、商品の差別化、高い認知度、そしてトレーサビリティの改善といったMSC認証の恩恵を享受することになるでしょう。」

オーストラリアや日本、中国、東南アジアにおけるアワビの市場価値は数百万豪ドルにものぼります。認証された漁業の水揚げ量の約半分は、主に中国に輸出されます。認証取得を祝う行事として、そして認証プロセスに対する理解を深めてもらうために、MSCはヒルトン・シンガポールの総料理長ヴィジャヤカン・シャンムガム氏を漁業の現場に招待し、新たに誕生した認証アワビを使った国際色豊かな料理を披露していただきました。

アジアのホテルとして初めてMSCおよびASCのCoC認証を取得したヒルトン・シンガポールの総料理長であるヴィジャヤカン・シャンムガム氏は次のようにコメントしました。
「海洋の健全性、そして世界的な水産物の供給に対し、誰もが高い関心を示すようになりました。私のようなシェフも例外ではありません。ヒルトンは持続可能な水産物の調達をグローバル公約に掲げています。そうしたガイドラインに従い、私は常に持続可能な水産物を探し求めています。持続可能な水産物は多いに越したことはありません。西オーストラリア州のアワビ漁業がよい前例となって、より多くの漁業が持続可能な漁業として認められるために認証を取得するようになり、環境や社会に関してよい影響を与えながら、持続可能なサプライチェーンの構築へとつながっていくことを期待しています。」

西オーストラリア州アワビ漁業協会の会長兼臨時執行役員のピーター・リカビー氏は次のように述べました。
「科学的根拠に基づいたMSC認証を取得したことにより、私たちは持続可能で適切に管理された漁業であることを実証することができました。MSCの認証制度は、MSC『海のエコラベル』が付いた水産物が持続可能な漁業まで遡って追跡できることを保証するものです。海外のお客様はトレーサビリティを重視しており、トレーサビリティの証であるMSC『海のエコラベル』は、中国やシンガポールをはじめ、多くの国々で高い認知度を誇っています。」

浅瀬に生息するアワビは、水上に設置したタンクより酸素を供給する「フーカ」と呼ばれる潜水装置をつけたスキューバダイバーによって収穫されます。その際、ダイバーは「アイアン」という漁具を使ってアワビを岩から引き剥がします。ウスヒラアワビとビクトリアアワビは、主に西オーストラリア州の南海岸で漁獲されますが、オーストラリアトコブシは南西海岸の方が豊富です。

SCSグローバル・サービスのオーストラリア地域代表のサビーヌ・ドーメ氏は次のように述べました。
「世界のアワビ漁業はIUU(違法、無報告、無規則)漁業の脅威に晒されています。西オーストラリア州のアワビ漁業はこの認証取得によって、持続可能な漁業としての原則を守り、その実践のための管理に対して真摯に取り組んでいることを実証しました。エコラベル付き製品を求める声が高まるアジア市場において、持続可能性の原則を順守し、実践している漁業から供給されたアワビであることを実証できるようになりました。」

西オーストラリア州政府は、州内の漁業が独立した第三者によるMSC認証審査を受けられるよう1,450万豪ドルの予算を組んでいます。西オーストラリア州アワビ漁業協会は、この制度を利用して審査費用の助成を受けた5番目の漁業となります。西オーストラリア州政府と漁業が協働して、最優良事例および科学的根拠に基づいた持続可能な漁業管理を推奨していることが、改めて実証されました。

西オーストラリア州のアワビ漁業は、天然水産物の世界総水揚げ量の12%を占める314のMSC認証漁業の仲間入りを果しました。オーストラリアでは15番目の認証漁業で、アワビはオーストラリアで25番目となる認証魚種です。

漁業審査は独立した第三者の認証機関によって行われ、MSC規準の3原則である、資源の持続可能性、漁業が生態系に与える影響、そして漁業の管理システムが審査されます。漁業はMSC認証を取得した後も継続的なモニタリングと年次監査を受けるとともに、5年毎に再認証審査を受けなければなりません。2000年以降、漁獲方法および環境管理に関する1,200を超える改善が、MSC認証漁業によって実施されています。