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設立20年で400以上の漁業がMSCプログラムに参加:MSC年次報告書2016年度版を発表

MSCは20周年の年次報告書を発表し、その中で400以上の漁業がMSCの認証を取得、あるいは審査を受けたことでMSCプログラムに参加したとし、また世界の天然漁獲量に占めるMSCプログラム参加漁業による水揚分の割合が14%であることを明確にしました。昨年の会計年度中に42,320の組織がCoC認証を取得し、消費者が購入したMSCラベル付き製品は730,860トン、消費者がMSC認証水産物に費やした金額は56億米ドルにのぼりました。また、2020年までに世界の天然漁獲量に占めるMSC認証漁業による漁獲の割合を20%にまで引き上げるという意欲的な目標や、MSC「海のエコラベル」に対する消費者の意識向上をはかり、持続可能な漁業の価値向上を図った新たなイニシアチブなどの、MSCの今後の計画についても、この年次報告書の中で詳説しています。

MSCの最高責任者であるルパート・ハウズは次のように述べています。
「MSCのプログラムに参加した漁業による取り組みは、水産資源に現実的かつ永続的な変化をもたらします。MSCのパートナーの取組みとリーダーシップ、ならびに資金援助者の理解があったからこそ、成し遂げられたと考えています。MSCは持続可能な海の利用に貢献し、国連の持続可能な開発目標に即した食糧安全保障と生計を支援するために、漁業管理の改善のための主要な触媒となりつづけます。」

漁業と未来

世界34ヵ国で315のMSC認証漁業が存在しています。北東部太平洋では、天然漁獲量の80%がMSCの認証漁業によるものです。サケ、エビ、カレイ、白身魚などの主要魚種については、MSCプログラムに参加している天然漁獲の40〜70%が認証されています。2016年度には、最初にフィンランド漁業、バルト海ニシンとヨーロピアンスプラットが本審査を終えて認証を取得しました。また商業漁業と遊漁漁業の協業であるピールハーヴェイのワタリガニ漁業が認証を取得しました。MSCは世界最大の魚介類生産者による北極の生息地、カツオ・マグロ類の追跡可能性および海洋管理を保護するための国際的な取り組みを支援することにも、積極的に関与しています。

MSC認証漁業による改善は、1,200件以上記録されています。この改善はより安定した資源量をもたらし、漁獲対象ではない魚種の混獲を減らし、よりよい科学的理解によって漁業管理を改善してきました。海洋保全と水産資源の持続可能な利用を目標に掲げる、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の目標14の達成を目指すMSCは、定期的な見直しによりMSC規準の厳格性と堅固性を維持し、世界の漁業が改善を続けるようなインセンティブの付与に取り組んでいます。

ハウズは次のように続けています。「海洋環境は逼迫した状態にあります。一度にすべてを解決できる特効薬はありませんが、MSCに代表される信頼性の高い市場ベースの認証制度の効果は実証されており、MSCは今後、ますます重要な役割を担うことになると確信しています。今後を見据え、MSCのプログラムに未参加の漁業の中で、MSCにとって優先順位の高い魚種や海洋生態系に関わりの深い開発途上国の漁業による参加を、大幅に増やす計画を立てています。MSCでは、世界の天然漁獲量におけるMSC認証取得もしくは審査中漁業の割合を、2020年までに20%に引き上げ、2030年までには少なくとも1/3にすることを目指しています。MSCは、主要漁業により深く関与することによるパートナーとの協働と、海洋の変化を促進する最大のインセンティブを提供する市場における持続可能な水産物に対する需要の構築を通じて、これらの目標を達成していきます。」

小売業者と消費者

ますます多くの企業が、MSC認証の水産物を調達することで、持続可能性への取り組みを表明しています。世界中で、少なくとも77の主要な小売業者、14のブランド、そして17の食品関係企業が、現在までにMSC認証水産物を供給することを公約として掲げてきました。20年間のMSCの功績と一般認知度の向上ならびに水産物へのサポートを続けるために、そして海に変化をもたらす重要な存在として、MSCは、2017年9月から2018年4月にかけて、21ヵ国で大がかりな消費者キャンペーンを新たに展開します。

MSCマーケティング責任者のリチャード・ストバートは、次のようにコメントしています。「第三者の調査によると、消費者は水産物を購入する際に、他の食品分野よりも持続可能性を重視しています。しかしこの結果は、よい意味で十分とはいえません。消費者の皆さんには、水産物を楽しく調理する中で、その魚がどのように獲られているのかを想像し、さらにMSC「海のエコラベル」が次の世代に確実に残していけるものは何かについて考えていただければと思います。」

このキャンペーンでは、消費者に、漁業者、シェフ、小売業者、アスリート、そして持続可能性と水産物に強い関心を持つ人々の物語をまとめた「認証漁業ストーリー(Wild Ones)」を提供していきます。これに加えて、MSC認証水産物を使用したレシピと、MSC認証を取得した漁業者のエピソードを、消費者一般を対象としたウェブサイト 20.msc.org(英語のみ)で紹介していきます。

MSCのグローバル・コミュニケーションズ&マーケティング・ディレクターのサラ・ブレイデンは次のように述べました。「海から食卓に至るまで工程において持続可能性に関わる人々を紹介することにより、MSCは水産物の消費者に対し、MSC『海のエコラベル』を選ぶことは、海の健全性を確保し、漁業者を応援し、それを次世代に伝えていくことであると、呼びかけていきます。このキャンペーンは、パートナーが取り組む姿を紹介し、消費者が果たす重要な役割を認識し、認証された持続可能な水産物を促進するための魅力的な資料を提供することを目的としています。これは、企業や団体を対象としていたB2Bプログラムから、持続可能な水産物への消費者の需要を喚起するためのMSCの変容を表しています。」

2016年度MSC年次報告書の英語版はこちらからご覧いただけます。
日本語版はこちらからご覧いただけます。