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MSCエコラベル製品が、世界で10,000に到達。

2011年5月に、MSCエコラベル付きの水産物製品数(以下、MSCエコラベル製品)の世界での総計が10,000アイテムに到達しました。MSCエコラベルは、持続可能で適切に管理されていると認証された漁業で獲られた水産物に付けることができるもので、「海のエコラベル」とも呼ばれています。

10,000品目になったのは、独のストラック(Stuhrk)社のディル・クリーム風味カクテル・シュリンプです。最初のエコラベル製品の西オーストラリア・ロック・ロブスターが、2000年3月に販売されてから、MSC製品の数は2007年に1,000品目に達しました。その後、毎年倍増し、2010年の5月に5,000に到達しました。また、今年4月に9,000件を達成してから、1ヶ月で10,000品目に到達しました。

MSCは、漁業の在り方に変化をもたらすことによる魚種資源の保全、漁業者の生計維持、世界の海洋環境の保全を主な目的にとして、環境NGOのWWF(世界自然保護基金)とユニリーバ社との協力によって、1997年に設立されました。

そのきっかけは、16世紀から続いてきたタラの世界3大漁場の一つ、カナダ東部大西洋グランドバンク海域の資源が1997年に崩壊したことです。この海域で全盛期に年間150万トンあったマダラの漁獲高が、乱獲によってわずか5万トンにまで落ち込んでしまったのです。そのため、この海域のマダラを原料として加工食品を製造していたユニリーバは、持続可能な漁業からのみの水産物の調達のために、持続可能なマーケットシステムを探っていたWWFと協力し、MSCが生まれました。その後1999年より、MSCは独立した国際非営利団体として運営されています。

MSCの認証制度には、持続可能な漁業に対する「漁業認証」と、その漁業から漁獲された水産物が流通、加工、販売される過程において他の水産物と混じらないことを確実にする「Chain of Custody (CoC) 認証」の2つがあります。消費者がMSCエコラベルのついた製品を手にするには、漁業が持続可能であり、さらに製品のトレーサビリティが確保された流通を経由して販売されていることが条件となります。現在、106漁業がMSC認証を取得しています。これらの漁業は、持続可能な漁業のためのMSCの「持続可能な漁業のための原則と基準」に則って審査され、規準を満たしていることが実証されています。

MSCエコラベル製品に関する認識は、欧米で確実に高まっています。KLMオランダ航空は、2009年よりワールドビジネスクラスの機内食でMSC認証の水産物を提供しています。オランダでは、2011年以降、すべての小売企業が天然水産物の100パーセントをMSC認証漁業から調達することを、2007年に決定しました。

イギリスの高級スーパーマーケット・チェーンのマークス&スペンサーは、すでにMSCの認証を有する魚を優先的に扱っていますが、2012年までにはMSCあるいは同等の認証を受けた魚だけを扱うことを決めています。

また、アメリカの世界最大のスーパーマーケット・チェーンのウォルマート社は、2006年に、取り扱っている北米産のシーフードを将来的にすべてMSCエコラベル付のものにすると宣言し、達成度の見直しを経て、2012年6月までの達成を目指しています。

ほかにも、フランスのカルフール、ドイツのMETROグループ、イギリスのTESCOやSainsbury’s、カナダのLoblawなど、多くの大手小売企業がMSCエコラベル製品の取り扱いを拡大しており、最近ではSodexoやCompass Groupなど国際的な外食企業グループへもその動きが広がっています。

また、国連は、会議等で提供する料理に使用する水産物にMSC認証製品を使用することを、「Sustainable Procurement Guideline(持続可能な調達のためのガイドライン)」で定めています。

日本では、2006年に東京のナショナル麻布スーパーマーケットで、株式会社亀和商店が加工したアラスカ産サーモン切り身が初のMSCエコラベル付き製品として発売されました。現在までに、日本での製品数は300アイテムを超えています。

イオン株式会社は、2006年にはじめてMSCエコラベルのついた製品を販売しました。2010 年3 月には「イオン生物多様性方針」を策定し、「持続可能性に配慮した生物資源の認証(MSC、FSCなど)された商品を積極的に取り扱い、情報を発信すること」を明言しています。また、2010年の生物多様性の日(5月22日)より全国の総合スーパー、食品スーパーなど約1,200店舗で、MSCエコラベル付き製品の取扱いを、さらに拡大しています。

また、日本生協連(CO・OP)は、2007年10月にMSCエコラベル製品の販売を開始しました。2010年5月に発表した「2020年に向けた生協の新たな環境政策」において、MSCなどの社会的に認知された外部基準を日本生協連CO・OP商品の環境配慮商品基準として導入することを定め、MSCエコラベル付製品の普及を進め、現在30近い品目を販売しています。

日本の大手小売業では、ほかにも西友、ダイエーやイズミなどでMSCエコラベル製品が販売されており、着実に広がりつつあります。

2010年7月に、アメリカ、カナダ、イギリス、ドイツ、フランス、日本で行った調査では、4人に1人に近い23パーセントの成人が、MSCエコラベルを知っていると答えており、2008年に行われた同様の調査から2.5倍以上の伸びを見せています。この調査は、消費者が持続可能なライフスタイルを選択するに際し、エコラベル、特にMSCエコラベル製品が、大きな影響力を有していることを示しています。認知度は各国により異なりますが、ドイツが36パーセント(2008年は10%)と一番高く、日本は16パーセントながら、前回の8パーセントから2倍になりました。

MSC日本事務所ディレクターの石井幸造は、「MSCエコラベル製品の数が短期間で世界で10,000に達したということは、環境と社会の持続可能性に配慮した水産物に対する消費者と企業の需要が、世界で急激に高まっていることを表しています。過剰な漁獲は、水産資源の枯渇や生態系の悪化につながるだけでなく、過当な価格競争による経済や流通への負の影響を生み出す可能性が高いのです。一方、持続可能な漁業は、世界のどの地域においても、長期的に経済面でも環境面でも安定した利益をもたらします。消費者は、MSCエコラベルを目印に、厳格な基準で評価された持続可能な漁業で漁獲された水産物を選ぶことができます。今後、日本でのMSCエコラベルへの認知度の高まりを期待しています」と述べています。

<参考リンク>
 「イオン生物多様性方針」
http://www.aeon.info/environment/biodiversity.html

「2020年に向けた生協の新たな環境政策」
http://jccu.coop/eco/torikumi/pdf/2020seisaku.pdf

AMR Marketing Research 社が2010年7月に行った調査結果(計3,600人対象)
大きく上昇したMSCエコラベルの認知度(2010年10月4日)

国連「Sustainable Procurement Guideline(持続可能な調達のためのガイドライン)」
http://www.greeningtheblue.org/resources/procurement

WWFジャパン・報告書『日本の水産物市場におけるシーフードエコラベルの潜在需要分析』
http://www.wwf.or.jp/activities/upfiles/20100210_wwf_ecolabelreport.pdf