海洋管理協議会（MSC）は、60を超える国々におけるサプライチェーンの更なる信頼性を実現するための新たなトレーサビリティ・システムについて、関係者から意見を募ります。
世界をリードするMSCの持続可能な水産物認証プログラムでは、サプライチェーンにおける水産物取り扱い上での不正行為防止のための新しい手法を開発中です。過去2年間、MSCは新規のトレーサビリティツールであるMSCオンライン取引ソリューション（MOTS）の試験運用を行ってきましたが、その継続的な開発のために、ステークホルダーからの意見を募集します。
世界的規模の水産物サプライチェーン取引に関する情報を安全に取り扱い、検証するオンラインのシステムが存在しない中、このツールは草分け的なツールであり、世界を行き交う複雑なサプライチェーンにおいて取引される水産物の加工、仲卸、小売を行う企業が、その販売と購入を検証するためのツールです。
このオンライン検証ツールは、2012年の開発当初より、ヨーロッパの７つの企業と中国の１５の企業において試行運用されてきました。現在の計画では、世界で認証製品を取り扱っている3,000超のサプライチェーン企業の34,000を超える現場にて、このツールの運用を拡大していく予定です。
ツール開発へのご協力のお願い
現在と将来の業界のニーズに応えられる効果的なツールとするために、パートナーの皆様の専門的意見を募るのは今回が2回目となりますが、これが最後の機会となります。
参加方法
MSCの日本語ウェブサイト上に、日本のステークホルダーの皆様からのご意見を募集するページを開設しました（９月中旬まで）。 https://www.msc.org/about-us-ja/xribzi
また、8月17日～9月18日までパブリックコンサルテーション（公開での協議）が行われます。水産物業界の方は、 オンライン協議 にご参加いただくことでご意見を共有していただけます。
水産物業界の方は、9月2日と3日に行われるオンライン・インタラクティブ・ワークショップにもご参加頂けます。本ワークショップは、サプライチェーン企業が水産物の取引及び検証の実践的なソリューションを提供できるようにするためのものです。参加者数の制限がございます。参加ご希望の方は、こちらまでメールでお申込みください（[email protected]）。
業界のニーズに応え、世界の最優良事例を目指す
MSCのシニアプロダクトインテグリティマネージャーであるティティア・シェニツアーは、次のようにコメントしました。「MSCの分別およびトレーサビリティプログラムは、サプライチェーンにおける認証水産物を追跡するための最も効果的なシステムのひとつとして広く認められています。しかしながら、水産業界は動的なものです。持続可能な認証水産物への需要は高まり続け、水産養殖管理協議会（ASC）のような他の認証でもMSCと協働し、MSCのCoC規準を適用しています。このような理由から、MSCのシステムが効率的で効果的であり続けるためには、さらなる測定を可能にする監視メカニズムが必要となるのです」。
現在、世界の60を超える国々で3,000以上の事業者がMSCのCoC認証を保有しており、これらの事業者が運営する現場は34,000を超えています。これらの事業者が世界の100の国々で取り扱っているMSCエコラベル製品は18,000以上に上ります。DNA検査によると、MSCラベル製品の99％においては正しいラベル表示がなされており、現在のシステムの信頼性が実証されています。しかし、MSCのCoC規準が水産物サプライチェーンにおけるトレーサビリティを確実なものとし、引き続き業界を主導していくために、MSCはツールとシステムを発展させていかねばなりません。
本ツールは既存のMSC CoCシステムを置換えるものではなく、最先端の技術を用いてそれを補完するものです。
デンマークのMSC認証取得加工企業A. Espersen 社 のアレックス・オルセン氏は次のように述べました。「私たちはMSCオンライン取引ソリューションの試行運用に参加させて頂きましたが、これは私たちのビジネスにとってたいへん重要なツールだと感じました。このツールによって、私たちのブランドと製品は、認証水産物のみを取り扱う安全で完全なサプライチェーンで取引されていることを、強く確信することができました」。
試験運用が成功すれば、この新しいツールは2018年までにすべてのプログラムに適用されることになります。このツールは水産物の販売及び購入取引に関する情報（数量、魚種、インボイス番号、取引日等）を検証し、持続可能ではない製品が認証製品として表示されて販売されるリスクを軽減するものです。
MSCがどのようにしてエコラベル付き水産物のトレーサビリティを確実なものとしているのかについての詳細はこちらをご覧ください（英語のみ）。
http://blog.msc.org/articles/can-trust-msc-sustainable-seafood-inside-view