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MSCが認証による環境面の影響を評価するための調査を実施

海洋管理協議会(MSC)は、漁業認証制度開始後10年間に生じた環境面への影響に関する詳細な分析の実施について、多くの入札者の中から、水産専門コンサルタント会社のMRAG Ltdを選定し、業務を委託しました。また、Poseidon Aquatic Resource Management LtdとMeridian Prime Ltdが、専門的知見を補足することになります[1]。9月半ばに開始されたこの調査は、2011年5月に完了予定で、環境面へのMSC制度の影響について、これまでで最も徹底的かつ厳格な分析結果がもたらされるはずです[2]。

この調査で注力する領域は以下の3つです。

漁業がMSC予備審査とその後の本審査に入るまでの間に行った変更点についての調査に基づく、認証取得前の漁業における影響についての評価

MSC予備審査では、漁業がMSC規準に照らして検討され、規準を満たすために変更や改善を施す必要のある領域が特定されます。この調査によって、認証過程へと入る前に環境的改善が漁業によりもたらされたか、どこでもたらされたか、その改善は予備審査報告書での検証結果によりもたらされたか、という点が明らかにされます。

漁業の認証にとって通常不可欠な行動計画の実施に基づく、認証取得後の漁業における影響についての評価

これまでのところ、ほぼすべての認証取得漁業が、MSC審査プロセスの一部として、操業におけるさまざまな面で、さらなる改善を行うことに合意しています。この調査では、そうした合意を受けた改善点を満たすことによって、直接的にどのような環境上の影響が生じたかに加えて、そうした改善点とは必ずしも関連のない変更点による影響についても評価されます。

漁業管理と海洋生態系に対するMSC認証制度のより広範な影響についての評価

現在、MSCプログラムに参加していない漁業や管理者、または、漁業管理におけるMSC以外の持続可能性に関する認証制度や管理当局その他の主要な機関によって採用されている、自主的行動規範などの解決策や取り組みに対して、MSC制度が与える影響の有無、およびその程度を評価するための方法論を設けることが、この調査領域での目的です。この調査項目は、将来、これらの問題へのより系統的な調査へとつながることも考えられます。

 

MSC最高責任者ルパート・ハウズは、「MSC認証取得漁業の中で、望ましい環境的な変化が次々と生じてきています。混獲の低減、より選択的な漁具への変更、有効な資源回復戦略への合意、データ入手や研究へのさらなる投資などです。この独立した調査は、環境におけるこうした影響を調査し、その因果関係を特定するもので、MSC認証取得漁業の包括的で科学的に厳格な検証となります。さらに、この調査は今後、私たちの活動を評価する綿密な分析の骨格となるはずです」と述べています。 

この調査では、最終報告書が作成され、専門家による査読が行われるジャーナルへも掲載する予定です。 

調査を指揮するのは、ロンドン、インペリアル・カレッジ所属、MRAG Ltdの漁業ディレクターであるDavid Agnew博士です。Agnew博士は、MSC技術諮問委員会議長を2007年から2010年まで務め、現在は、南極の海洋生物資源の保存に関する委員会(CCAMLR)の科学委員会議長を務めています。 

以上

1. MRAG (UK) Ltdは、水生資源の持続可能な利用の推進を専門とする国際コンサルタント会社です。設立は1986年で、現在はイギリス本社を拠点とする30名の専門家を中心に、相当の技術的、職業的な専門知識と経験をこの調査に注いでいます。MSC規格と審査方法についての豊富な知識を有しており、これまで、MSCの規格設定の支援や、漁業のMSC認証取得能力を判定する審査レビューを行なったりしています。Poseiden Aquatic Resource Managementは漁業専門のコンサルタント会社で、MSC認証取得漁業の審査実施経験があります。Meridian Primeは、海洋問題と漁業関連問題に特化した、持続可能な開発コンサルタント会社です。

2. MSC制度の環境への影響を評価するこれまでの著作物として、Net Benefits(2009年)があります。これは、MSC制度の最初の10年間に認証を取得した42漁業による、認証参加の効果についての漁業者の視点からの語りを基調とした定性的報告書です。また、2006年には、Agnew博士他によって、認証取得した10漁業の詳細な分析が行なわれ、認証の結果として期待し得る潜在的な環境上の便益についての検証が成されました。