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MSCと養殖漁業


2006年の11月、海洋管理協議会(MSC)の役員会は、既存の天然漁業認証/ラベル制度の適用範囲を、 養殖による水産物にまで広げないことを決定した。

世界の水産物業界における養殖漁業の全般的な寄与が、顕著に重要性を増していることを十分認識した 上で、この問題については慎重に対処することとし、長時間に亘る綿密な審議の結果、この決定を下す に至ったものである。

この審議においては、世界の大手小売企業や加工業者、自然保護団体や水産業界の一部を含む複数のMSC のステークホルダーが、MSCは養殖漁業に取り組むべきだと強く信じており、その数年前からそうした見 解を主張していた。この見解はしかしながら、全体からの支持を得ることができず、複数の漁業クライ アントは、養殖漁業を対象とすることは天然漁業に対するMSC 認証の価値を損ないかねないものとして、 同等に強い反対意見を表明したのである。

この役員会の決定は、MSCにはその限られた資源、時間、力のすべてを、本来の使命と目的の達成に注ぐ べきだというものであった。MSCは当時、個々の漁業審査やMSCサプライチェーンの質と一貫性を保つシ ステムやプロセスに対する大幅な見直し作業の途上にあり、2008年後半に予定されている、この戦略上 重要なプロジェクトの完了および遂行から注意を逸らしたくなかったためである。この取り組みにより、 審査プロセスを簡略化し時間を短縮するための標準的審査体系と評価指標、および抜き取り検査による 製品追跡やDNA鑑定といった方策、そして、COC認証をより堅牢なものにすることを目的とした、全COC 認証所有者に対する独立COC年次審査などが立ち上がることになる。

しかしながらその後、MSCは成長し、MSCの天然漁業プログラムに対する業界からの大きな支持を獲得し、 MSCラベル製品が市場へ浸透するに伴い、養殖漁業への取り組みを望む声が数多く寄せられるようになっ た。

2006年以降、養殖漁業に適用し得る基準の策定は大きく進み、業界紙で広く報道されている通り、今や WWFなどいくつかの組織が積極的に養殖漁業基準の検討と設定に取り組んでいることは理解している。

このような展開と、高まり続ける養殖漁業認証への要望を受けて、MSCの役員会は、2006年の決定の見 直しを行ない、MSCが養殖漁業認証への取り組みに参画すべきかどうかを検討するため、綿密で包括的な 分析をステークホルダーに委任することに同意した。

天然漁業と養殖漁業には顕著な違いがあることから、この調査では養殖漁業認証プログラムがどうすれ ば実施可能となるかの検証も行なわれる。すなわち、そうしたプログラムをMSCが自ら運営するのか、 合弁事業とするのか、あるいはそのために特定の業務のみを提供するにとどめるか、といったことであ る。

この作業は今後数ヶ月にわたって行なわれ、次のMSCステークホルダー協議会における主要な議題とな る。MSCでは、この問題が、4月に開かれる世界漁業クライアントグループ(Global Fishery Client Group)の会合で論じられるものと期待している。すべての主要MSCステークホルダーならびにMSC役員 会との数多くの追加討論と協議を経た上で決定が下されることになる。
 
以上