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MSCアシュアランス(信頼性の付与)・モデルの強化および認証要求事項の改訂に向けてMSCが本格的に始動

MSC(海洋管理協議会)では、漁業およびCoC認証に関する要求事項について多岐にわたるステークホルダー協議を重ねてきた結果、2018年に要求事項の改訂版を発行することにしました。また、MSCの提供するアシュアランス・モデルを強化するための新たなイニシアチブを開始し、漁業認証規準の見直しに向けたプロセスをスタートさせます。

世界の海が生命にあふれ、現在と将来の世代にわたって水産物の供給が確保されること、これがMSCのビジョンであり、その実現に向け、MSCは世界有数の認証プログラムを進めてまいりました。設立から20年、MSCは世界各国で責任ある漁業を促進し、海の健全性を支持する各方面の企業や団体とパートナーシップを築き、北極からインド洋に至る海洋で実質的な変化をもたらすことに貢献してまいりました。

その道程はけっして楽なことばかりではありません。漁業科学は複雑で、常に進化しています。持続可能なレベルについては、多岐にわたるステークホルダーの間で激しい議論が交わされることも少なくありません。MSCはそういった意見を真摯に受け止め、持続可能性についての理解を深め、刻々と変わる持続可能な漁業への期待に応えるよう尽力しながらも、その規模に関係なく、多くの漁業に参加していただけるような、現実的で科学的根拠に則ったプログラムを維持することに努めてまいりました。

MSCプログラムのような信頼性の高い、市場ベースのメカニズムは海洋への負荷を軽減するための重要な解決策の1つです。MSCは、適切な漁業管理を促進するための起爆剤としての役割を果し、国連の持続可能な開発目標 (SDGs) に沿った持続可能な海洋の利用により、食糧安全保障の確保および生計の安定を図るためにいっそう励んでまいります。

MSCによるアシュアランス・モデルの強化

MSCにとって、信頼性と独立性は極めて重要です。すべてのステークホルダーから信頼されるアシュアランス・プログラムを提供できなければなりません。MSCが漁業を認証するのではなく、審査はあくまでも認定された独立した第三者認証機関(適合性評価機関)によって行われますが、そうした第三者アシュアランス・システムにおいて問題がないかどうか、あるいは懸念事項がないかどうかをMSCの方で徹底的に調査します。

確実なアシュアランスを提供するための取り組みの一環として、MSCは2017年6月にガバナンス・レベルの作業グループを立ち上げ、MSC規準に則った認証の堅牢性、独立性および公平性に対するハイレベルの信頼性を提供するためにどのような取り組みがされているか、モニタリングを開始しました。同作業グループは2017年10月に提言をまとめ、MSC評議員会に報告し、その結果、2018年にMSCのアシュアランス・システムにおける複数の項目を見直すこととなりました。

MSCの提供するアシュアランス・モデルの見直し:MSCは2018年前半に円卓会議を開催し、MSCの第三者アシュアランス・システムの見直しを行います。この公開協議を通じて、MSCは積極的に他の規準策定機関やステークホルダーと経験を共有し、改善できるエリアを探ってまいります。このイニシアチブの目的は、公平で堅固な漁業認証審査を確保するために認証機関側でどのような対策が講じられているのかを深く理解し、改善の余地が見られるエリアを究明し、他のアシュアランス・モデルの可能性を探ることにあります。MSCはこれに加え、既存のアシュアランス・システムを強化するために以下を含む取り組みにも着手します。

認証に付与される条件:MSC認証を維持するためには認証取得後に年次監査を受ける必要があり、認証の際に条件が付けられた場合には、定められた期限内に条件を満たさなくてはなりません。MSCは認定機関であるASI (Accreditation Services International) に各漁業による条件の克服についての詳細な分析を依頼し、MSCの要求事項を改訂する必要があると認められた場合にはその提言もお願いしました。

漁業審査結果の外部査読:MSCは審査の査読プロセスを強化するために2017年8月、独立した第三者の科学者からなる専門の外部査読パネルを設立しました。現在、およそ50名の海洋科学や漁業管理の専門家が登録されており、第三者認証機関による漁業審査の堅牢性に対する信頼性をいっそう高めるために査読を行っています。MSCは、査読制度の実績によっては、科学的に不確実な課題を解決するためにも査読パネルに関与してもらうことも検討しています。

MSC認証に対する要求事項の主な改訂項目

MSCは、漁業およびサプライチェーンの認証規準の要求事項を定めており、認証機関はそれに則ってMSC規準への適合審査を行います。要求事項に関する主な改訂項目には以下が含まれています。

労働に関する要求事項の強化:グローバルな水産物サプライチェーンにおける労働問題への懸念が高まる中、MSCは、漁業およびサプライチェーン内の企業における強制労働の問題に対処するための既存の要求事項を、さらに強化することにしました。現行の要求事項では、過去2年間に強制労働の罪で有罪判決を受けた漁業やサプライチェーン企業ならびに請負業者は、MSCプログラムに参加する資格がありません。MSCはサプライチェーン内においてリスクが高い企業に対し、SEDEXやBSCI、SA8000といった信頼性の高い第三者の社会関連規準の強制労働や児童労働に関する条項に則った監査をクリアすることを要求事項として加える予定です。漁業および船上でのCoC認証取得業者は、強制労働および児童労働を確実に防ぐためにどういった措置、方策を講じ、どういった慣行があるのかを自ら開示しなければなりません。漁業およびサプライチェーン企業は、2019年より新要求事項に適合しなければなりません。リスクが高い漁業に対しては、海上業務に対する適切な第三者の社会関連規準が策定された段階で、そうした規準に則った監査を要求事項として追加する予定です。

審査単位に対する新たな要求事項:対象種を獲るために出漁した際には、認証適用範囲にある漁業活動に限定されなければなりません。現行規定では、1回の漁で、認証された漁具・漁法と非認証の漁具・漁法とで同じ魚種を獲ることが可能である、という懸念が提起されたため、2017年初頭に審査単位(UoA)の要求事項の見直しに入りました。2018年8月に発行される新たな要求事項により、こうした懸念は払拭されます。認証水産物としてMSC認証のサプライチェーンに流すことができるのは、出漁中の漁業活動がすべて認証範囲にある場合のみとなります。FAOのガイドラインに則り、2019年2月以降に初めて審査入りする漁業は、新たなUoA要求事項を順守しなければなりません。審査中および認証取得済みの漁業については、新しい要求事項に適合するまでに2018年8月から3年間の猶予が認められています。要求事項への適合審査は、MSCの第三者認証機関(適合性評価機関)が実施します。

漁業認証プロセスの効率化:18ヶ月にわたる多方面のステークホルダーとの協議と実証実験の結果、MSCは2018年8月より効率のよい審査プロセスを新たに導入することにしました。新規プロセスでは、ステークホルダーからの意見を重要視し、ステークホルダーが意義ある議論を行える機会を増やし、第三者審査チームが現場において適切な質問を行えるようにすることで、より堅固な審査報告書の発行を目指します。

MSC漁業認証規準の多岐にわたる協議と査読

最初のMSC漁業認証規準は、NGOや政府機関、小売企業、漁業および科学者を含む300 もの団体や個人との協議を経て、1997年に策定されました。第1版が発行されてから、漁業科学および最優良事例は著しく進歩し、海洋への理解が深まると同時に、市場からの需要および消費者からの期待も高まりを見せています。そのため、MSCでは国際的に認知された堅固で透明な方法により、5年毎に規準の見直しを行っています。

2014年には重要な規準改訂が行われ、対象種を管理する際の新たな漁獲方策の検討、漁業による海底生息域への影響、特に脆弱な生態系への負荷を軽減するための要求事項の導入、複数の認証漁業によるETP種 (絶滅危惧種・保護種)を含む混獲種への累積的な影響に対処するための要求事項の強化などが実施されました。

2018年後半に正式に開始される2019年度の見直しの一環として、MSCは漁業認証審査の効率化および効果を改善するための方法を検討し、科学的理解および漁業管理の最優良事例の進捗状況を反映させるために規準をどのように進化させるべきかを検討します。漁業規準の見直しの範囲については、2018年の中頃までにMSC評議員会が決定します。

絶滅危惧種・保護種に焦点

今回の漁業認証規準の見直しで重要な項目の1つが、ETP種(絶滅危惧種・保護種)への漁業の影響を評価するためのMSC要求事項の見直しです。MSCは、ETP種を確実に保護することの重要性、そして漁業による累積的な影響に対処する必要性を認識しています。2014年の規準改定では、ETP種への影響を最小限に抑え、不要な漁獲を軽減するための要求事項が強化されました。MSCは、さらなる改訂が必要な領域を見極めるために、該当する要求事項の徹底的な見直しを開始しました。

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MSC日本事務所 広報担当マネージャー 牧野 
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