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MSC認証による環境の改善が科学的調査により明らかになりました

MSC認証プログラムに参加している漁業(以下、MSC認証漁業)は、予備審査から本審査、認証からその取得後を通じて、環境への貢献において目覚ましい改善を示しているという第三者による分析結果が、本日発表されました。

 MSC認証漁業は、漁業資源の改善や混獲の減少などの環境への定量化できる改善に加え、生態系への影響に関する知識や確信も向上させました。この改善の軌跡は、主要な環境業績指標における変化を、予備審査から認証取得またその後にまで継続して記録したものです。 

 

この研究調査「MSC認証プログラムの環境影響に関する調査(Researching the Environmental Impacts of the MSC Certification Programme)」は、一連のMSC審査プロセスのすべてにおける漁業の業績を調べた初めてのものです。調査は、MSC審査プロセスで測られ、時間経過を追って調べられる主要な8つの結果業績指標-資源状況、個体数基準点、資源回復、非対象種、混獲種、ETP種(絶滅危惧種、保護種)、生息環境、エコシステム(生態系)、に焦点を絞り、その改善を調べました。

MSC最高責任者のルパート・ハウズは、「MSCは、この結果を大変嬉しく思います。MSCプログラムの若さから言って、分析に適した漁業の数は限られていますが、今回の調査は、認証のもたらす利益に関する以前の探究(*)を基に、大変効果的に行われました。得点の向上と環境への利益という相互の関係は、より永続的な環境影響モニタリングと評価システムへとつながりました。我々は、全ての認証漁業に対してこれらの業績指標を追跡し、MSCプログラムの環境年次報告書を作成します」と述べています。

(*)10種の認証漁業を対象とする「持続可能な漁業に関するMSCの原則と規準に照らし合わせた認証による環境的利益」(2006年)および調査時に認証を取得していた42漁業についての社会・環境に関する発刊「ネット・ベネフィット‐MSC認証のもたらしたもの」(2009)

MSCプログラムは現実的な改善の枠組みを提供

全てのMSC認証漁業は、認証の段階において持続可能な漁業を行っていなければなりません。この調査は、認証取得から5年間にわたり、90%以上の業績指標において、漁業管理での世界規模での最良事例となる80点以上を達成していていることが示されています。一方、予備審査の段階においては、50-70パーセントの業績指標がそのレベルにありました。

調査は、これらのMSC指標における変化と、公開されている資源状況や混獲など、MSCのプログラムとは関連のない業績データと比較しました。この分析は、MSCの業績指標での得点における変化は、対象種や混獲種の潜在的指標における実際の変化を反映していることを示しています。

MSCの技術諮問委員会の議長クリス・ジマーマン氏は、分析におけるこの点について以下のようにコメントしています。「得点における変化と潜在的資源のける変化との間に統計的に有意な関連が存在するということは、重要な結果です。このことは、MSC規準が主要な環境測定基準に連動しており、さまざまな漁業を判別することが可能であることを実証しています。得点面での変化が資源面での変化を意味する透明性のある測定システムは、サプライチェーンに対して、MSC認証漁業が約束通りの働きをしていることを明確に伝えます。」

資源の状況及び回復に加え、この調査は、非対象種や海鳥の混獲の削減、網を引く回数の削減、また保護区の拡大などエコシステムへの影響に関連する結果において海洋環境の改善を明らかにしました。MSC認証漁業は、さらに、調査やより効果的な管理システムへの多大な努力を通して、漁業の実践によるエコシステムへの影響に関する理解と確証の向上によって、より広範囲のエコシステムの影響に関連する特定の得点を高めました。

新しい予備審査データは、持続可能性を実証しようとする実践する漁業の規模を示しています

この調査によって、さらに予備審査中の漁業に関する新たなデータが判明しました。2011年2月までに、447漁業がMSCの予備審査に入りました。そのうち、追加作業を行わずに本審査に進むことが可能だと勧められたのは17パーセントだけで、ほぼ半数の48パーセントが本審査に進む前に、何らかの改善を行うように指摘されています。また、三分の一以上(35パーセント)は、本審査に進むことを奨められませんでした。この調査の時点では、447漁業のうち、実際には35パーセントの漁業だけが、本審査に進みました。

MSCの評議員副議長のキース・セインズベリ氏は、これらの結果について次のように述べています。「これらの結果により、MSCプログラムが漁業に対し、国際的に認知されている持続可能性の規準を提供し、すでに認証取得の達成に近い漁業だけでなく、この水準に到達するまでやるべきことがまだある漁業によっても使用されていることがわかりました。後者の漁業は、特定の「改善プロジェクト」を開始しますが、このようなプロジェクトは近年非常に増えました。非公開で行われる予備審査の多さは、以前には知られていなかったこのような一面の指標であり、MSCプログラムの便益の一つです。

ステークホルダーは、MSC認証は業務を変えるポジティブな影響であると報告しています

この報告書は、さらにMSC認証と漁業における改善および漁業がもたらした環境への影響の関連に関するステークホルダーの見解を調べました。全般的に、環境の改善の半分は、MSCプログラムに参加したことにより直接的にもたらされ、また、半数は、マネジメント面での行動などの他の要素によると回答しています。これらの変化のほとんどは、特に、資源状況、混獲、ETP種への影響管理に関連する新たな調査と情報によるものです。ほとんどの改善点は認証取得後に、漁業の達成指標における得点を改善するための行動によってもたらされています。

調査報告書の主要執筆者の一人トレーシー・ケンブリッジ氏は、「インタビューを受けたステークホルダーは概して、MSCはより広い変化に影響をもたらす要素だと感じています」と言います。「さまざまな利害関係グループや漁業からの多くのステークホルダーが、MSCは、調査への関心向上、仕事上の協力関係の改善、意思決定へのより多くの参加など、より良い漁業管理につながる全ての要素において、効果的に促進する役割を果たしていると言っています」と述べました。