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カナダ初の大西洋マダラ漁業がMSC認証を取得、マダラ資源に改善のあらわれ

カナダ・ニューファンドランドの排他的経済水域内の3P区画のマダラ漁業が、大西洋マダラ漁業としてカナダ初となるMSC認証を取得し、持続可能で適切に管理された漁業として認められました。

これにより、カナダのマダラ漁業は新たな歴史への第一歩を歩み始めたことになります。これは、漁業と水産業界、政府およびNGOが協働で取り組めば、魚種の資源状態を改善し、漁業を生業とする地域社会に希望をもたらすことができるということを世界に知らしめた画期的な偉業だと言えます。

世界で最も認知されている基準を満たし、持続可能性を証明

MSC認証を取得するために、3P区画のマダラ漁業は持続可能性に関する厳格なMSC漁業規準を満たしていることを実証しなければなりませんでした。持続可能な漁業規準として最も信頼性の高い厳格な規準として世界的に認められているMSC規準は、魚種の健全な資源状態、周辺海洋生態系の保全、および適切な漁業管理という3つの原則に基づいています。

今回認証を取得したグループに属するアイスウォーター・シーフーズ社のCEO、アルベルト・ウェアハム氏は次のように述べました。「3P区画のマダラ漁業が認証を取得するまでの道のりを共に歩んできた仲間のことを大変誇りに思っています。私の家ではこれまでずっとマダラを獲ってきました。私の代で7代目になります。それだけに持続可能性というものが、漁業者だけでなく、魚を買って下さる方々にとってもいかに大切なことであるかを身にしみて感じています。MSC認証を取得できたことは、持続可能で適切に管理された資源を対象にした漁業である証しであり、お客様も安心して私たちの魚を買って頂けるものと確信しています。沿岸沖の生態系の自然な変化に対応し、持続可能な漁業を続けていくためにも認証は大いに意義があります」。

継続的な改善への全体的な取り組み

豊富な資源量を誇っていた大西洋マダラは1990年代に入り、生態系の変化や漁業管理の失策により激減してしまいました。これを受け管理当局は、大西洋マダラ漁業の多くに対し、全面的禁漁を言い渡しました。なかなか回復しない水域もあるものの、北西大西洋漁業機関、NAFOの3P区画のマダラ資源量は改善しています。2010年から2014年にかけて、この水域のマダラ資源を対象とした漁業改善プロジェクトがWWFカナダの主導で実施され、アイスウォーター・シーフーズやオーシャン・チョイス・インターナショナル (OCI)、水産食品関連産業労働組合もこれに参加しました。

カナダの水産海洋省の支援に加え、ニューファンドランド州およびラブラドール州の水産養殖省、リソース・レガシー・ファンドおよびハイライナー・フーズの持続可能な漁業基金による助成を受け、すべての水産業関連のステークホルダーが協働して取り組んだこの漁業改善プロジェクトによって、MSC審査に向けた準備が進められました。管理の改善については、漁業管理基準値の明確化、漁業管理方策の採用、および漁具による影響や混獲に関する調査を中心に進められました。

クライアント・グループのメンバーであるOCIのCEO、マーティン・サリバン氏は次のように述べています。「OCIが扱っている主な魚種のほとんどが既にMSC認証を取得しており、このたび、地元の漁業にとって重要な魚種であるマダラをMSC認証魚種に加えることができたことを大変嬉しく思っています。ニューファンドランド・ラブラドール州の近隣海域のマダラ資源が継続的に回復していくことを切に願っています」。

市場の需要により生活が安定

ニューファンドランドの南岸においては、何百人もの漁業者や水産加工労働者がマダラで生計を立てています。3P区画で水揚げされたマダラの主な出荷先はヨーロッパと北米です。イギリスの消費者の間ではマダラおよびMSCエコラベル製品への需要が高いため、アイスウォーター・シーフーズ社はイギリスの小売業者と密接な連携を図っています。

MSCカナダのディレクター、ジェイ・ルガーはカナダのマダラ漁業が認証を取得したことについて次のようにコメントしています。「長い歴史を誇る漁業の新たな歴史の始まりに立ち会うことができ、大変嬉しく思っています。カナダの重要な漁業の持続可能性と適切な管理を促進するための場をすべてのステークホルダーにMSCが提供できたことを光栄に思っています。3P区画のマダラ漁業の関係者の皆様に心からお祝い申し上げます」。

継続的な改善

MSCの掲げる「変革の理論」を推進するため、MSCでは、認証取得後も継続して規準を順守し、持続可能性を更に高めるための改善を求めており、そのために独立認証機関による年次監査を義務づけています。

3Pのマダラ資源の継続的な回復のために、MSC認証漁業の仲間入りを果した漁業は更なる改善目標を設定し、目標の達成に向けて今後5年間取り組むことになります。

審査プロセス

審査は独立第三者認証機関として認定されたアコーラ・マリンによって行われました。MSC漁業規準を満たす漁業であるかどうかを見極めるため、漁業関係者にとどまらず、すべてのステークホルダーから得たあらゆる情報を考慮し、厳格で透明な科学的根拠に則ったプロセスを経て審査が行われました。

資源の回復の早い3P区画のマダラ

3Pの認証マダラはニューファンドランドから南の狭い海域に限定されており、地理的条件によって近隣の資源とは別に管理されています。ニューファンドランドやラブラドールの2J3KLマダラ資源(通称北マダラ)やグランドバンクスの3NOマダラ資源は1992年以降禁漁となっています。

資源調査の結果、南ニューファンドランドの3P区画の資源は他の水域よりも回復が早く、健全なレベルまで戻りつつあります。今回認証を取得した3Pマダラ漁業は、厳格な管理の下、健全な資源量と考えられる最大持続生産量まで回復させるために、今後も継続的な是正措置を図っていくことになります。

(了)