Danish Fishermen’s Association (DFA、デンマーク漁業者協会) [1]は、2012年末までに、デンマークのすべての漁業を海洋管理協議会（MSC）のエコラベル認証を取得した持続可能なものとする計画を発表しました。
本日、デンマークのタウロフにて開かれた会合で、デンマーク漁業者協会の北海のプレイス、イトヨリダラ、そして東バルト海の大西洋タラのMSC認証審査が開始となりました。これは、この会合で同時に発表された、すべてのデンマーク漁業が2012年末までに認証を取得するという計画の第一歩となります。
デンマーク漁業者協会の会長、Svend-Erik Andersen氏は次のように説明しました。「デンマークは風車の生産で世界に知られています。この国の漁業がMSC認証を取得することで、漁業も風車と同じような存在となることを期待しています。すなわち、環境面への便益とともに経済的な効果も得られる、ということです」。
デンマークは金額ベースで世界第5位の水産物輸出国です。国際水産物貿易においてデンマークが中心的立場にあることがその大きな理由ですが、デンマークの漁船団の強みは、要求の厳しいヨーロッパの市場に向けた様々な上質の冷蔵魚介類の輸出とEU最大のフィッシュミール漁業です。Andersen氏は、「こうした顧客に恵まれていますが、デンマークの魚が決して厳しい状況にあるのではないということを、顧客に知ってほしいのです」と述べました。
すべてが順調に進めば、1年後にはMSCの青いラベルを付けたプレイス、シロイトダラ、タラの3つの漁業による魚がヨーロッパ中で販売されることになるでしょう。プロジェクトマネージャーのJonathan Broch Jacobsen氏は、「MSCの認証取得は実に綿密なプロセスです。それぞれの漁業は、認定された第三者認証機関であるFood Certification International (FCI)の独立した専門チームによって何重もの審査を受けることになります。次にその結果が公の協議にかけられ、その後、認証が取得できるかどうかの最終決定がなされます。その基準は厳格で、漁業が長期にわたって真に持続可能であり、生態系に悪影響を及ぼさず他の魚種や海の植物も生息できるのだということを、専門家に示さなければなりません。これは形式だけの認証などからは程遠いものです。だからこそ、私たちの他の漁業についても、MSCの要求に合致するための対応を進めながら、3年をかけて段階的に認証を取得していかなければならないのです。」と述べています。
東バルト海のタラ漁業は、順調に進めばEU初のMSCの青いラベルを付けたタラとなります。これは、数年前には資源が枯渇したと考えられていた魚種の復活劇となることでしょう。
MSC、北ヨーロッパマネージャーのCamiel Derichsは次のように述べました。
「今回の公約は、世界の水産業界において象徴的なものです。このプロジェクトには、総水揚量がおよそ100万トンにおよぶ約50もの漁業が参画します。これだけの数の漁業と魚種が関わる大規模なプロジェクトは前例がありません。アプローチの方法も際立ったものです。MSC認証審査の成功のためには、関係者との連携と優れたプロジェクト管理が不可欠の要素です。このプロジェクトの準備段階において、MSCは素晴らしいプロジェクトマネージャーたちと作業に取り組み、また、デンマークの主な関係者との連携はすでに開始されていました。MSCは、この壮大なプロジェクトを歓迎するとともに、北海のプレイス、シロイトダラ、そして東バルト海の大西洋タラをはじめとするすべての漁業が認証を取得できることを祈っています」。
認証機関FCI のManaging Director、Martin Gill氏は、デンマークの漁業のこの決断をサポートする姿勢を表明して次のように述べています。「デンマークの漁業者の方々およびすべてのステークホルダーの方々と審査プロセスを通じてご協力できることを大変うれしく思っています。これまでの経験から判断して、MSCの基準に合致するシステムを実施することによって、長期にわたる健全な魚種資源と広大な海の環境が、デンマークの水産業界全体を支えていくことができることでしょう」。
以上
編集の方への注釈
[1] Danish Fishermen’s Association（デンマーク漁業者協会）は、デンマークのすべての漁師と50の地域組合のための国の組織です。船舶の所有者や雇用漁師もメンバーとなることができます。地域、国、国際レベルでのメンバーの利益を代弁する目的で1994年に設立されました。詳細については、ホームページwww.fiskeriforening.dkをご覧ください。