ナウル協定加盟国（PNA）の中西部太平洋における自然の魚群を漁獲対象としたカツオ漁業 (以下PNAカツオ漁業)が、適切に管理された持続可能な漁業としてMSC認証を取得しました。
PNAカツオ漁業は、2010年半ばに審査に入り、多くの関係者の積極的な関与のもとでインターテック・ムーディー・マリン社によりMSC規準に対して厳格で透明性がある第三者審査を受け、対象とする魚種資源が健全であることと、自然の魚群を漁獲対象とした漁業が海洋エコシステムに最小限の負荷しかもたらしていないこと、総合的に自然魚群を対象とした本漁業が持続可能に管理されていることが示されました。
自然魚群漁業の認証取得の結果、PNA漁業で漁獲される30％のカツオと中西部太平洋協定地域で漁獲される16％のカツオにMSCのエコラベル表示が認められます。
漁業について
PNAグループとは、ナウル協定に加盟する国々のことを指しています。ナウル協定は、オセアニアの地域にある8カ国が加盟する、排他的経済水域（EEZ）とその隣接する公海におけるマグロ類の漁業に関する協定です。
今回の認証は、PNAにより許可を受けた巻き網船に対するもので、その操業範囲は、パプアニューギニア、キリバス、ミクロネシア連邦、マーシャル諸島、ナウル、パラオ、ソロモン諸島とツバルのEEZに渡ります。
この認証は、自然に形成されたマグロの群（free swimming school）のみが対象で、この漁業の2009年の水揚げは、267,087トンでした。この漁獲物は、ヨーロッパや北アメリカに販売され、主に缶詰に加工され、サラダやサンドイッチの人気ある食材となります。
PNAは、ライセンス取得に必要な最小限の基準の設定や、詳細な報告の仕組み、漁船の検閲、漁船の登録、等を含む、拘束力のある協定により漁業を管理しています。協定ではさらに、100%の乗船オブザーバー率、漁獲物の保持の方策の導入、またライセンス漁船の公海での操業の禁止を規定しています。またこれらの規定では、操業する漁船の数に関わらず、操業日の合計による管理を行うVDS (Vessel Day Scheme)方式によっても、巻き網漁業を制限しています。
漁業認証に付随する改善条件
この認証には、漁業の管理と環境における改善を確実なものとするために、認証要件の一部としていくつもの条件（または管理行動）が明示されています。これらの改善にはPNAも同意しており、クライアントとしての行動計画に組み込んでいます。条件は、以下の項目に関連しています。限界基準点（limit reference point）と標的基準点（target reference point）の設定と採用、PNAまたは/もしくは、WCPFC(中西部太平洋まぐろ類委員会)による有効な漁獲制限規則の設定、混獲を減らすための追加的な管理方策の施行,と漁業の保護種に対する影響に関する情報のさらなる収集。
漁業者のコメント
PNAのディレクター、アコラウ・トランスフォーム氏は、「長年にわたり、保全と漁業管理に努め、世界の先駆的な役割を果たしてきた結果、PNAは、きょう、世界最大の単独に認証された自然魚群対象カツオ漁業になるという大きな目標を達成しました」と述べました。
「PNAカツオ漁業のMSC認証取得によって、我々の顧客は、我々の水域で漁獲されたカツオが、適切に管理された管理と持続可能な漁業のためのもっとも厳しい基準を満たしていると自負することができます。我々のMSC認証カツオは、「パシフィカル（Pacifical）」というブランド名で取引され、我々のマグロ類、我々の海、我々の太平洋式の生き方を守ろうと努力する我々をサポートしてくれる消費者の関心を集めるはずです。」
MSCのコメント
MSCの太平洋漁業マネージャーのビル・ホールデンは、このカツオ漁業の認証取得を祝し、次のように述べています。「PNAの各国が国民の利益のためにマグロ資源を守る先進的な管理は、高く評価されています。天然カツオ漁業の認証取得に取り組み、科学的で厳格な評価に適合したことは素晴らしいことです」
「マグロ類は、世界で最も需要があり広く食されている水産物であり、世界中のマグロ漁業に対する、PNAカツオ漁業が成し遂げたような持続可能性達成や実践への要求は高まっています」
「より多くの消費者や水産サプライチェーンが、持続可能な漁業で獲られたものであることを裏付けることのできるマグロ製品を求めています。MSC認証を取得したことによって、PNAカツオ漁業は、この動きに乗るための格好のポジションを取りました。認証カツオ製品への需要が高まることを期待しています。」
＊＊＊
註：この漁業は、中西部太平洋における自然の魚群を漁獲対象とした、魚を集める人工集魚装置（FAD）を使用しないカツオ漁業です。