ニュージーランドで水揚げされるオレンジラフィ (学名：Hoplostethus atlanticus) のおよそ60%が、持続可能な漁法によって獲られていることが認められ、MSC認証の取得に成功しました。これにより、本漁業のオレンジラフィはMSCの「海のエコラベル」を付けて出荷できることになりました。
今回、MSC認証を取得したことによって、ニュージーランドのオレンジラフィ漁業はMSCの厳格な漁業認証基準を満たす持続可能な漁業であることが実証されました。持続可能な漁業に対する世界で最も権威ある厳格な規準として広く認知されているMSC規準は、3つの原則に基づいており、認証を取得するためには、漁業資源が健全な状態にあり、海洋環境に及ぼす影響を最小限にとどめ、適切に管理された漁業であることを、実証できなければなりません。
20年におよぶ管理の改善
オレンジラフィ漁業として、世界初のMSC認証を取得したことは、ニュージーランドのオレンジラフィ漁業の、20年以上にわたる管理改善と科学に則った技術革新が認められたことになります。
MSC アジア太平洋地域ディレクターのパトリック・カレオは次のようにコメントしました。「今回の認証では、水産業界、マオリ族の指導者、政府、科学者をはじめとするステークホルダーらが協働することによって、漁業資源の状態を改善し、持続可能性を確保できることを世界に示すことができました。健全な海を維持していくためには、MSCの認証プログラムとエコラベルを通して、ポジティブな変化を報奨していくことが不可欠であると、確信しています。」
ニュージーランドの漁業は、同国の第一次産業省と協働し、時に漁獲量をゼロに設定するなど、漁獲量の削減と包括的な研究計画に基づく漁獲方策による、オレンジラフィ資源の再建に重点を置いた取り組みを行ってきました。
ニュージーランドの主要な深海漁獲割当所有者を代表する非営利団体、ディープウォーターグループのチーフ・エグゼクティブ、ジョージ・クレメント氏は次のように述べました。「我々の管理アプローチは設立当初から大幅に改善され、現在では予防的措置に力を入れるようになりました。ニュージーランドのオレンジラフィ漁業の長期的な生産性を確保し、健全な資源量を持続させるため、成魚100匹あたりの漁獲量を毎年5匹未満に抑え、少なくとも残りの95匹を残すようにしています。」
クレメント氏は続けて次のように述べています。「我々が行っている科学的根拠に則った管理は、健全な漁業資源と海洋環境を確保するための取り組みを示すものです。MSC認証を取得したことによって、バイヤーと消費者に対し、持続可能かつ責任ある形で漁獲されている水産物であるという、独立した第三者機関による保証を提供できるようになりました。」
認証に付けられた条件
今回認証された3つのオレンジラフィ資源には、条件が付けられています。1つの資源に対して、個体数が管理目標の範囲内にあるという追加証拠の提示、2つの資源に対して、オレンジラフィ漁業による直接的影響が、サンゴに許容不可能な影響を及ぼしていないという追加証拠の提示、そして3つの資源すべてについて、管理システムの外部レビューを受けるという条件が付けられたうえでの認証です。
これについてクレメント氏は次のようにコメントしています。「我々は、これら3つの資源が再建され、持続可能な漁獲を実現できる管理目標の範囲内にまで達していることを確信しています。外部査読は既に委託・完了しており、資源評価を更新する合意に達しました。またサンゴについても、更なる情報を提供する計画を実施しています。」
審査プロセス
ニュージーランドのオレンジラフィ漁業は、独立認証機関であるMRAGアメリカが採用した専門家チームによって、2年以上に及ぶ独立審査とレビューを受けています。そのプロセスの一環として、MSCは認証機関に対し、すべてのステークホルダーからの意見を求め、それを検討するよう求めています。これは、徹底的かつ信頼できる漁業評価を行う上で不可欠なものです。審査チームの審査結果については、2名の独立した専門家によって外部査読も行われました。
本漁業は今後、年次監査と5年毎の再認証審査を受けることになります。年次監査においては、漁業の持続可能性に関する新たな情報がすべて検討されるため、認証取得後も漁業の持続可能性は保証されます。