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フランスの伝統クロマグロ漁業がMSCの本審査入り

延縄および手釣りによる、東部大西洋および地中海の大西洋クロマグロ(学名:Thunnus thynnusの漁獲を行うフランスの伝統漁業が本日、MSC漁業認証規準に則った審査に入りました。この漁業は「Thon rouge de ligne – pêche artisanale(伝統漁業のクロマグロ)」というブランドの下、複数の漁船で構成されています。

この漁業は、大西洋クロマグロを対象としてMSCの本審査に入る2番目の漁業となります。MSCの国際的なプログラムに参加している他の漁業と同様、MSCの漁業認証規準に則って審査されます。科学とエビデンスに基づいた審査では、多様なステークホルダーからのフィードバックも反映されます。本審査が完了するまでは、持続可能な漁業かどうかの判断はなされません。審査は、認定されている独立第三者機関であるControl Union Pesca社によって行われます。

 

貴重なクロマグロ

大西洋クロマグロは、北大西洋全域および地中海、そしてブラジルから北ノルウェーに分布する浮魚です。表層から水深500~1000メートルまでの深さに生息し、餌場である冷水域から、産卵のために遠くの暖水域まで回遊します。

地中海の大西洋クロマグロは、およそ20カ国が漁獲しています。1990年代、2000年代には過剰漁獲されており、環境団体、漁業者、ビジネスおよび一般社会から懸念が提起されたことで、クロマグロ漁業は大西洋マグロ類保存国際委員会(ICCAT)により厳しく管理されています。2007年に講じられた15ヵ年回復計画により、資源保護および漁業活動のモニタリングと規制に関する約50の措置が設けられました。

 

クロマグロ漁業の持続可能性を審査

クロマグロには、太平洋クロマグロと大西洋クロマグロの2種があります。大西洋クロマグロは、西大西洋系群と東大西洋系群という二つの系統群がおりますが、この二つの系統群は大西洋で交雑していると考えられています。

*注:クロマグロは英語でbluefin tunaと表記し、Atlantic Bluefin tuna, Pacific Bluefin tuna, Southern Bluefin tunaの3種類が存在します。日本語ではSouthern Bluefin tunaは「ミナミマグロ」と呼ぶため、「クロマグロ 」は2種類となります。

今回MSCの審査に入ったフランスの漁業は、大西洋クロマグロの東大西洋系群を対象としています。船団は長さ18メートル以下の漁船で構成され、リヨン湾およびオート=コルス(コルシカ島の北)を中心とする西地中海(フランスの排他的経済水域)で操業しています。

この漁業は伝統漁業であり、4月から12月までの操業期間の総水揚げ量はおよそ200トンで、高級レストランをはじめとした地元のマーケットがその主な出荷先です。

MSC漁業認証を取得するためには、対象資源が健全な状態にあり、持続可能な資源レベルを維持するために適切な管理方策が講じられていることが実証できなければなりません。そのため、審査チームおよび科学の専門家らは、MSC審査対象の漁業だけでなく、同じ資源を対象としているすべての漁業者および漁業によるインパクトについても検討することになります。資源の健全性に加え、講じられる管理方策の効果、対応性および、混獲による影響の軽減についても検証します。