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ポルトガルの漁業が初めてMSC漁業認証を取得

ポルトガルの巻き網イワシ漁業が、持続可能で適切に管理された漁業として同国の漁業として初の海洋管理協議会(MSC)の認証を取得しました。

Portuguese Association of Purse Seine Producer Organisations(ANOPCERCO)[1]は、同国のイワシ生産量の95%(年間50,000トン超)を占めるイワシに、今後、国際的に認知されたMSCの青いエコラベルを付して販売することができます。認証は、主に巻き網漁に従事するこの協会の大型沿岸漁船(長さ9m超)のすべてを対象としています。

 ANOPCERTOのHumberto Jorge理事長のコメントは、「この17ヶ月にわたる経験は、非常に前向きなものでした。MSCの審査プロセスを通じて、私たちは漁業資源の持続可能な管理についての議論を、水産業界内外で再開することができたのです。漁業者と商業パートナーが、全プロセスを通して強い関心を示し、何が問題であるか、また、MSC認証を通じてどのように便益を得ることができるかを理解しました。これは私たち全員に有利となる状況です。MSCを通じて、私たちは持続可能性への真摯な取り組みを世界に示すことができます。漁業に対する信頼は今回の認証取得により高まることでしょう。それはまた、市場での自らの選択が世界の海の将来に影響を及ぼすという意識を、ポルトガルの消費者の間に目覚めさせてくれるものと期待しています。」とコメントしています。Jorge氏はさらに、「MSC認証審査は、管理システムの欠点と長所を見極め、見直しを図る絶好の機会を与えてくれました。それにより私たちは、認証を取得できただけでなく、私たちの漁業の将来を再考し、ポルトガルの漁業界内部および利害関係者との協力関係向上に向けた目標を定めることができたのです」と述べています。

 このイワシ漁業は、イベリア半島最古の漁業の1つです。ポルトガルの漁業はローマ時代にまで遡ることができ、少なくとも14世紀から継続して行なわれてきました。操業は、ポルトガル本土沖、内部大陸棚の範囲内(通常水深15~70メートル)で行なわれます。三大漁港――マトジニョス、ペニシェ、フィゲイラ・ダ・フォス――は、いずれもリスボンの北に位置しています。

イワシの年間水揚量は、1世紀以上にわたって50,000トン超を記録しており、最盛期の1960年代には、300隻を超える漁船により150,000トンを超える水揚げがありました。その後水揚量は低下し、1998年~2007年の平均は64,600トンでした。近年は、漁獲努力量の制限が導入されたことにより、船団の規模が徐々に縮小され、現在は巻き網漁船約130隻となっています。17ヶ月の独立した厳格な審査の結果、この漁業は十分に生物学的限界内にあることが示されました。審査チームは、資源の生産性を維持する方法で漁獲が行なわれ、より広範囲な海洋生態系に対するこの漁業の影響が最小限であることを確認しました。

MSCの最高責任者、ルパート・ハウズは、「ポルトガルの巻き網漁業による今回の認証取得をお祝い申し上げます。これは、持続可能性に対するこの漁業の先見性と真摯な取り組みを証するものです。イワシは、ポルトガルの人たちにとって文化的に極めて重要な象徴的な魚であり、今日のイワシ漁師は、この貴重な資源の1世紀にわたる優れた伝統的管理を継承しています。持続可能な漁獲へのこの取り組みは、将来にわたる長期的な利益をこの漁業に確約するものであり、私は、MSCのエコラベルと持続可能な水産物に対する需要の高まりが、この魚に新たな市場をもたらすに違いないと思っています。」と述べています。

以上

編集の方への注釈

[1] ANOPCERCO(Associação Nacional das Organizações dos Produtores da Pesca do Cerco):Portuguese Association of Purse Seine Producer Organisationsは、1997年に設立されました。対象とする自然資源を確実に持続可能な状態に管理することを主目的としています。