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メキシコ、カリフォルニア湾のマイワシ漁業がMSC認証を取得

メキシコにおける漁獲高で最大の漁業であるカリフォルニア湾のマイワシ(Sardinops sagax)漁業は、このたび、MSC規準に則った独立認証機関による審査を経て、持続可能で適切に管理された漁業として認証されました。認証に対する正式な異議申し立てがありましたが、関係者協議により解決され、認証取得に至りました。この手続きは、MSC制度の強みである透明性のある公開された関係者の参加を実証しています。

認証漁業について

この漁業審査の申請者は全国漁業商工会議所・ソノラ州事務所(Cámara Nacional de la Industria Pesquera, Delegación Sonora) で、今回の漁業認証にはカリフォルニア湾でイワシ漁に従事する漁船の90%が含まれています。この漁業は、イワシの大きな群れを巻網で漁獲し、主にフィッシュポンプを使って水揚げされます。2009年/2010年の漁期中、25万6千トンのマイワシがカリフォルニア湾で水揚げされました。全漁獲高の85%は魚粉にされ、他は缶詰に加工され国内外に出荷されます。

ソノラ州事務所代表のレオン・ティソット氏は、次のようにコメントしました。「我々 メンバーたちは、認証に必要なMSCのすべての原則を満たすことができたことをうれしく思うと同時に誇りに感じています。MSC認証は、FAOのガイドラインに則った漁業を行うことが可能であることを示することができる大変意義深いもので、認証取得漁業は持続可能で環境に配慮した責任ある漁業として操業していくこと表明したことになります。今回の認証取得は、カリフォルニア湾における環境を守りながら、持続可能な漁業に従事するという我々の表明です。

ステークホルダー協議により異議を解決

メキシコの海洋保護団体である「コミュニティーと生物多様性」(Comunidad y Biodiversidad (COBI) A.C. )は、地域の複数のNGOや科学者を代表して、認証に対する異議申し立てを行いました。認証機関であるサイエンティフィック・サーティフィケーション・システムズ(SCS: Scientific Certification Systems) とステークホルダー、漁業認証申請者間の数回にわたる協議の結果、申請者の行動計画を全ての関係者にとって満足のいくものに改訂するために必要なプロセスや変更点について合意に達しました。行動計画の修正点の中には、認証に付随する改善条件を満たすための企画や実施に異議申し立て側が参加できる機会を提供することが含まれます。さらに、モニタリングや報告のシステムをより綿密にすることや、混獲やETP種(絶滅危惧種、保護種等)との遭遇について記録するための乗船オブザーバーを増員するといった条件も盛り込まれました。

COBI, A.C.のメソアメリカ礁ディレクターであるルイス・ボリロン博士は、「メキシコの海洋保護団体や科学者のグループが認証審査のプロセスを慎重に見守り、審査の最終段階において、漁業との協働への合意に達しました。我々は、全国漁業商工会議所・ソノラ州事務所からのより深い参加と協働への招待を歓迎しています。メキシコ最大の漁業がこの先もずっと持続可能な漁業であり続けるための、新たな協力体制の始まりです」と述べました。
 
メキシコ、ソノラ州の漁業・養殖担当次官であるプリシリアノ・メレンデス氏 は、「カリフォルニア湾のイワシ漁業がMSC認証を取得したことは、水産加工業のみならず地域社会にとっても大いなる業績です。これにより、ソノラ州はメキシコの水産業のみならず、現在の行政における目標である持続可能性においても国の指導者的立場にいることが再確認されました。ソノラ州政府は引き続き、持続可能な漁業を目指す漁業をサポートし、COBIをはじめとするNGOと協力して参ります。現在、ソノラ州の他の漁業の認証取得を支援するために協議しているところです」と述べました。
 
国立水産養殖漁業委員会(CONAPESCA)の委員、ラモン・コラル・アヴィラ氏は、次のように述べました。「マイワシ漁業の認証取得はメキシコにとって朗報です。長年にわたって技術情報の提供や協力において漁業を支えて来た水産業、研究者そして行政の共同努力が認められたことになります。これは、責任ある漁業の発展における水産業界と漁業者、企業、専門家、行政、及びNGOの協力を示しています。漁業、特にカリフォルニア湾における漁業における持続可能性に向けた重要な貢献です。認証を取得したことにより、メキシコの漁業は自然、そして漁業者や消費者を含む社会のため、海洋の健全性の改善に貢献したことになります」。
 
MSCアメリカ地域ディレクターのケリー・コフリンは、「今回のMSC規準に則った審査と認証取得は、水産業と自然保全団体、その他のステークホルダーが透明性のある協議プロセスを経て持続可能性に向けての課題を解決していった素晴らしい結果です。これは地域のみならず世界の漁業にとって一つの節目であり、協力に向けてのモデルケースです。MSCはメキシコ、カリフォルニア湾マイワシ漁業やCOBIを含む全ての関係者に心からお祝いを申し上げます」と述べました。

認証機関について

今回の審査にあたった認証機関、サイエンティフィック・サーティフィケーション・システムズは、MSC規準の3原則に則り、漁業資源の状況、海洋性生態系への影響、そして管理システムに対して詳しい審査を行いました。メキシコ、カリフォルニア湾マイワシ漁業やMSC規準に基づいた審査の得点、ステークホルダーとの合意に関する詳細を記した公開用認証報告書についてはMSCのウェブサイトwww.msc.org/track-a-fishery/certifiedにてご確認いただけます。