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北海道のサケ定置網漁業が国際的な「海のエコラベル」取得を目指し、MSC認証の本審査へ

北海道漁業協同組合連合会(以下、北海道ぎょれん)北見管区のシロサケ(Chum Salmon)定置網漁業が、MSCの漁業認証取得に向け、第三者認証機関による本審査に入りました。日本の漁業としては本審査に入った5番目の漁業(註1)となります。認証を取得することができれば、この漁業で漁獲されたシロサケに、MSC認証の「海のエコラベル」を付けることができます。日本の漁業からのエコラベル付きの製品が、世界の市場からの持続可能な水産物への需要に応えることが期待されています。

この審査では、MSCの持続可能で適切に管理された漁業のための原則と基準(MSC規準)に則り、対象魚種資源の持続可能性、漁業が環境に及ぼす影響、そして管理システムが評価されます。

シロサケは、日本で獲れるサケのほとんどを占めています。他に、秋に漁獲されることから、「秋サケ」「アキアジ」とも呼ばれます。北太平洋、オホーツク海、アラスカ湾、ベーリング海を回遊する魚で、平均体長68.5センチ、体重1.8-6キログラム に成長し、3-5年後に、産卵のため生まれた川に遡上します。

北海道のサケ漁業

北海道の漁業生産量は日本全体の約31パーセントを占めています。そのうち、シロサケは水揚量の10.38パーセント(平成22年度農林水産統計)を占める主要な魚種です。北海道のサケ資源は、1900年代初頭に乱獲や密漁によって生産量が激減してしまいましたが、その後、サケ資源回復のための努力が続けられ、1970年代後半以降には資源量が増大し、現在は、高水準かつ安定した状態にあります。

2010年の北海道全体のシロサケ漁獲量は、12万3,021トンです。うち北見管区の定置網による漁獲量は、5万8386トンで、ここ10年間では、2003年の6万2943トンに次ぐ量でした。

「持続可能な水産物への世界的なニーズに応えたい」

北海道のサケ定置網漁業は、資源や生態系への影響に配慮しつつ、計画的な資源づくりと管理体制により発展を遂げてきました。今回の審査は、北海道全域でなく、野生シロサケ資源の管理体制など諸条件の整った北見地区で先行して行うこととなりました。

北海道ぎょれんの三好敏博参事は、「持続可能で適切に管理された漁業による水産物に対する世界的なニーズの高まりに応えるべく、MSC認証の本審査に取組むことをシロサケ定置漁業者の総意として決めました」と話しています。

さらに、「無事審査を終え、認証取得後には北海道のシロサケ資源が持続可能に管理され、またMSC認証の海のエコラベルが貼られた我々のシロサケ製品が国内はもとより、世界の市場で評価されることに大きな期待をしています。」と述べています。

MSCは、日本からの審査への参加を歓迎します

MSCの最高責任者ルパート・ハウズは、「今回の北海道サケ定置網漁業がMSC認証を受けるために本審査に入ることを歓迎いたします。この日本有数の漁業が、持続可能な水産物であることを示すMSCの青いエコラベルを付けることになれば、世界的に影響力のある日本の消費者がMSCエコラベルを手にする機会が大きく増え、持続可能な漁業と健全な海洋環境への関心が高まることが期待できます」と述べています。

また、「日本の人々が本年3月11日に発生した東日本大震災と大津波による被害から漁業を再建しようとしている気持ちや努力を表しているともいえ、大きな復興への一歩です。MSCは、被災された方々の生活の再建と、壊滅的な打撃を受けた日本の漁業の一日も早い回復をお祈りしております」と付け加えました。

MSC日本事務所の石井幸造プログラム・ディレクターは、「まず、東日本大震災により被災された方々には心からのお見舞いを申し上げます。また、一日も早く復旧され、事業が継続・再開されることを祈念しております。まだまだ大変な状況下、本審査に進むことを決断された北海道ぎょれんに対し敬意を表します。

日本の水産物の市場は世界有数であり、日本の消費者は水産物資源の持続可能性に対する大きな役割を担っています。MSC認証取得に向け審査中の北海道のホタテガイ漁業同様、国内でも需要が非常に大きいシロサケ漁業が審査に入ったことで、近い将来、MSCエコラベルの付いた製品が日本でも大きく増えることが期待されます。これらの製品を通じて、水産資源の現状・将来について考える機会が提供され、持続可能な漁業の重要性に対する日本の消費者の理解の向上につながることを期待しています。」と述べています。

審査

当審査は、独立認証機関のサイエンティフィック・サーティフィケーション・システムズ(Scientific Certification Systems)が行います。審査への関与をご希望される本漁業のステークホルダーの方は、Adrienne Vincent氏([email protected])までお問い合わせください。

***

註1:今回の本審査入りは、すでに2010年4月に本審査に入った北海道ぎょれんの北海道ホタテガイ漁業に続くものです。日本では、京都府機船底曳網漁業連合会のズワイガニとアカガレイ漁業および土佐鰹水産グループのカツオ一本釣り漁業の3件が、すでにMSC認証を取得しています。

備考:
1.北海道漁業協同組合連合会(北海道ぎょれん)は、1949年に全道の漁業協同組合(漁協)がまとまって組織した経済連合会です。日本一の長い海岸線ときれいな海に囲まれ、全国の約1/4の生産量を誇る水産王国北海道。その豊富で新鮮・安全な北海道の水産物を適正な価格で安定して供給することにより、生産者には魅力ある漁村づくりを、消費者には信頼とおいしさを提供する社会的使命を果たしてゆきたいと考えています。詳細は、 http://www.gyoren.or.jp/index.htmlをご覧下さい。

2.MSC(Marine Stewardship Council, 海洋管理協議会)は、1997年に設立された国際的な非営利団体です。本部はロンドン。シアトル、東京、シドニー、ハーグ、パリ、エジンバラ、グラスゴー、ベルリン、ケープタウン、マドリッド、ストックホルムに事務所があります。

3.MSCは、水産物市場を持続可能なものへと転換するために、天然魚種を対象とした漁業認証とエコラベル制度を運営しています。また、国際社会環境認定表示連合 (ISEAL Alliance: International Social and Environmental Accreditation and Labelling Alliance)の「ISEAL社会環境基準設定のための適正実施規範 (ISEAL Code of Good Practice for Setting Social and Environmental Standards)」と国連食糧農業機関(FAO)の「海面漁業からの魚類と水産物のエコラベリングのためのガイドライン (Guidelines for the Ecolabelling of Fish and Fishery Products from Marine Capture Fisheries, FAO 2005)」に準拠した唯一の水産エコラベルです。FAOのガイドラインでは、信頼できる漁業認証とエコラベリングの制度として以下が要求されています。
・科学的根拠に基づく、客観的な第三者による漁業審査
・利害関係者との協議と異議申し立ての手順が組み込まれた透明性の高いプロセス
・対象魚種の持続可能性、生態系、管理システムに関する基準

4.MSC認証を取得している漁業は135で、審査中の漁業は130以上、非公開の予備審査中の漁業が40-50あります。これら漁業の年間漁獲総量は900万トンを超えています。また、本日までに、世界で12,000以上の水産製品にMSCの青いエコラベルが付けられています。

お問い合わせ
MSC日本事務所
TEL 03-6861-7515
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