Skip to main content

MSCの最新ニュースをご紹介するプレスリリースです。

MSCジャパンのプレスリリースをメールで受け取りたい方は、 こちらの登録フォームよりお手続きください。

持続可能なマグロ資源のためのパシフィック・アライアンス(PAST)がMSC認証を取得

独立した第三者認証機関による入念な審査の結果、メキシコの4大水産企業であるグルポマール、エルデス・デル・フエルテ、ペスカ・アステカ、およびプロセサからなる持続可能なマグロ資源のためのパシフィック・アライアンス(PAST)が、MSC認証を取得することに成功しました。詳細なステークホルダー協議、認証機関の決定に対する異議申し立てついての独立裁定人による最終決定判断等を含む審査の結果、36隻の巻き網漁船からなるPASTの船団は、持続可能性に対するMSCの厳格な漁業規準に準拠しているとして認証されました。

MSC漁業規準は、天然漁業の持続可能性審査において、世界で最も厳格で信頼性の高い規準として広く認知されており、漁業資源の健全性、広範囲な海洋生態系に対する漁業の最小限の影響、適切な漁業管理の3原則に基づいています。

北東太平洋のキハダおよびカツオを対象とした巻き網漁業の持続可能性に対する詳細な審査を実施したのは、認定された独立した第三者認証機関であるSCSグローバル・サービスです。審査には、科学者による広範囲にわたる精査、外部査読、およびステークホルダー協議も含まれています。

MSCアメリカ地域担当ディレクターのブライアン・パーキンズは次のように述べました。「北東熱帯太平洋のキハダおよびカツオ漁業は、海洋生態系への影響を最小限に抑えるために30年に及ぶ努力を続けてきました。今回のMSC認証の審査によって、ようやくそれが認められました。厳しい環境課題に対するPASTの大胆な取り組みのおかげで、変革が起きています。そうした変革の促進こそが、MSCの存在理由であると我々は信じています。」

持続可能な操業

PASTは、東部熱帯太平洋の地域漁業管理機関である全米熱帯マグロ類委員会(IATTC)の要求事項にすべて準拠しながら、操業を行っています。特筆すべきことは、PASTの船団が、海洋生態系の保全を目指すIATTCメンバー国間の法的拘束力のある多国間協定である、国際イルカ保護プログラム (AIDCP)協定に準拠しているということです。プログラムへの確実な準拠をモニタリングするため、PASTの漁船には独立オブザーバーが必ず乗船することになっています。またPASTは、2015年6月より7年間、過剰漁獲されている太平洋クロマグロについても自主的に漁獲を自粛することにしました。

各漁船では、海洋生態系への影響を最小限に抑える取り組みが実践されており、非対象種についてはすべて、生きたままリリースすることを目標としています。その対策の1つとして、「メディナ・パネル」と呼ばれる微細メッシュ安全パネルを施した特殊漁網を使用し、カツオ・マグロ類以外の魚種の漁獲を防いでいます。他にも、特殊技能を身につけた熟練ダイバーたちが、網にかかってしまったイルカを、網を引き揚げる前に逃がす手助けをしています。

PASTの執行役員であるマリアナ・ラモス氏は次のように述べています。「PASTを構成するグルポマール、エルデス・デル・フエルテ、ペスカ・アステカ、およびプロセサは持続可能性を推進しており、持続可能なカツオ・マグロ類資源をお客様に供給できるよう、海洋環境の改善に努めています。MSC認証を取得したことで、我々の提供するカツオ・マグロ類資源が持続可能な方法によって水揚げされていることをお客様に実証できる方法を更に増やすことができました。」

環境と暮らしを守るための取り組み

MSC認証を取得するにあたり、PASTは、持続可能性のための包括的行動計画を公約に掲げています。具体的には、更なるイルカの保護に努め、イルカが網にかかってしまうリスクを軽減するために定期的に網の配置を調整すること、船団全体での混獲防止のための最優良事例研修の実施、東部熱帯太平洋のイルカ個体数を増やすための国際研究プログラムへの大々的な資金援助、すべてのサメおよびエイ類の捕獲率をゼロにし、可能な限り生きたままリリースするためのプログラムを実施し、メキシコ全土の漁業の透明性を高めるためにステークホルダーと積極的に関わる、といった内容です。

PASTは、アメリカの多くのコミュニティで、あわせて3万以上の人たちを直接雇用したり、間接的な経済的機会を提供しており、その7.5億米ドルを超える生産性によってメキシコ経済に貢献しています。

30年におよぶたゆまぬ努力

1980年代より、東部熱帯太平洋(EPO)における巻き網漁業の環境への影響に対する懸念の高まりを受けて、各国政府やNGOの間で、持続可能性に焦点を当てた環境保護合意が次々と交わされてきました。中でも重要なのが、科学的根拠に則った規制、漁法改善に向けた協調、そして独立した第三者の科学者をオブザーバーとして乗船させ、モニタリングを行うことでEPOでの持続可能な漁業を推進し、イルカ個体群を保護するために交わされた、1999年の国際イルカ保護プログラム(AIDCP)に関する協定でした。

2005年には、EPO内のイルカ保護および持続可能な漁業の推進に関する「無条件の成功」が認められ、国連食糧農業機関(FAO)よりマルガリータ・リザラガ勲章がAIDCPに授与されました。本協定ではプログラムへの準拠をモニタリングするため、科学者がオブザーバーとしてすべての漁船に必ず乗船し、イルカをはじめとするカツオ・マグロ類以外の種が生きたまま、確実にリリースされるよう、漁業者が積極的に取り組むことが求められています。その結果、1985年から1997年までのEPOでの巻き網漁業によるイルカの死亡率は99%激減したというデータがあります。

異議申し立てプロセス

審査の最終段階で認証機関が発行する最終報告書についてWWFドイツより懸念が提起されましたが、独立裁定人による精査の結果、PASTがMSC漁業規準に準拠しているという認証機関の決定が支持されました。

ファクトシートをダウンロード

審査書類をmsc.orgからダウンロード(英語のみ)

国際イルカ保護プログラム (AIDCP)の動画を見る(英語とスペイン語のみ)