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海洋管理協議会(MSC)の認証漁業、環境の改善をもたらす ~2013年MSC認証の環境インパクト報告書発表~

ツナ缶ひとつの購入でも、ミシュランの星付きレストランでの食事でも、MSCエコラベル表示の水産物を選択することにより、消費者は世界中で持続可能な漁業の拡大に貢献しているという内容の報告書が、海洋管理協議会(MSC)より発行されました。

「2013年MSC認証の環境インパクト報告書」の中で、環境学者のデビッド・アグニューとニコラス・グティエレスの両博士は、MSC認証漁業による環境問題の改善件数は400にも及んでおり、各漁業がそれぞれの行動計画で成果を出すまでの平均年数はわずか3年であることを明らかにしました。

報告書で取り上げられている主な改善点は:

・北海ニシンを含む13の漁業が資源量の改善を達成し、最良水準とされるBMSYレベルにまで到達したこと

・22の漁業が用具の改良、研究への追加投資、新たな禁漁区の設定を含む生息域および生態系の改善を完了したこと

・64の漁業が、規定への準拠を強化するなどの漁業管理の改善を完了したこと

などが盛り込まれています。

また、改善に向けた取り組みとして:

・27%、約4分の1の漁業が2016年までに海底生息域への影響を軽減すること

・35%、約3分の1の漁業が2016年までにETP種(絶滅危惧種・保護種)への影響に関する情報を提供すること

・41% の漁業が将来への資源保護のために2016年までに確固たる漁獲管理規定を打ち出すことに取り組むこと

などが紹介されています。

 独自のリサーチ

MSCが海洋や水産物市場に関する業績およびインパクトについて定量的に評価した正式な報告書を発行するのは、これが初めてです。現在、こうした業績評価を行っている持続可能な水産物認証プログラムはMSCだけです。

 大きな期待に応えるために

MSCのスタンダード・ディレクター、アグニュー博士は報告書について次のように説明しています。「MSCプログラムに携わることによって、海洋環境への改善に貢献しているのだという大きな期待は、当然のことながら関係者、特に消費者や小売業者の中にあります。この報告書はMSCプログラムの環境へのインパクトを定量的に評価し、持続可能な水産物市場の開拓に向けたMSCの貢献、そして世界中の持続可能な漁業についての事例をあげています。」 

本報告書は、既存の漁業認証から得たデータを基にした進行中の研究プロジェクトの一環です。こうしたデータにより、認証漁業による環境状況の改善に向けた取り組みに対し、MSCプログラムがどのような支援を行なっているのか、その業績について一貫した分析を行うことができます。業績指標として、MSCのCoC認証やロゴ・ライセンスプログラムに関する科学的に実証されたデータも含まれています。こうしたプログラムを通じて、MSCは先進国、発展途上国に関わらず、持続可能な水産物への消費者の需要に応え、MSCサプライチェーンの完全性を確保しています。

さらにアグニュー博士は次のように述べました。「今回の報告書は、世界の漁業へのMSCの影響を継続的に調査した結果を初めてまとめたものです。MSCプログラムに参加している漁業の大半は過去5年間で認証を取得しています。次の5年間でそうした漁業がもたらすインパクトについての理解を深めていくつもりです。こうした環境インパクト報告書を定期的に発行することは、MSCの活動に興味を持たれている方に貴重な情報を提供し、MSCが持つ海洋へのビジョンを実現するためのプログラム作りに役立つことでしょう。」

第三者も認めるMSCの取り組み

生物多様性条約の事務総長で生物多様性指標パートナーシップの議長を務めるブラウリオ・フェレイラ・デ・ソウザ氏は、MSCについて次のようにコメントしています。「気候変動に加え、持続可能でない漁業の操業が、海の生息域や資源に対する深刻な脅威となっています。2011年から2020年までの生物多様性戦略計画は、緊急に変革を起こす必要性を認め、国際コミュニティーに生物多様性の損失を軽減するために必要な措置をとることを呼びかけています。 消費パターンを変えることにより、誰もがそうした変革に貢献することができます。海洋管理協議会の活動により、消費者ひとりひとりが水産物に関する正しい選択をすることができます。MSCはまた、『2013年MSC認証の環境インパクト報告書』により、生物多様性指標パートナーシップに対しても貢献しています。生物多様性戦略計画の中間見直しを行うにあたって、愛知ターゲットに向けての進展を測定する際、私達はこの報告書を活用するからです。」

ISEALでモニタリングおよび監査のシニア・マネージャーを務めるクリスティン・コミヴス博士は次のように語っています。「MSCは、自己のシステムを観察・評価し、その結果を『2013年MSC認証の環境インパクト報告書』を発表することにより公開しました。これによりMSCは、漁業環境基準としての指導的立場を確立したことになります。」

日本語の要旨抜粋はこちらをご覧ください。