- エクスマウス湾とシャーク湾のエビ漁業が持続可能な漁業のためのMSC認証を取得
- この地域にはカメ、ジンベイザメ、海鳥などが生息
- 西オーストラリア州の、1450万豪ドル(約12.4億円)のプロジェクトによる初の認証漁業
- オーストラリアの天然漁獲エビの50%以上がMSC認証のエビ
西オーストラリア州のエクスマウス湾とシャーク湾のエビ漁業が海洋管理協議会(MSC)の持続可能な漁業のための認証を取得しました。審査の対象となったのはフトミゾエビ(英語名:Western king prawns、学名:Penaeus latisulcatus) と、 オーストラリアタイガーエビ(英語名:Brown tiger prawns、学名:Penaeus esculentus) の2種類のエビです。
この二つの漁業は、保護種となっている渡り鳥、絶滅危機種のタイマイとヒラタウミガメ、危急種(絶滅危惧II類)のジンベイザメをはじめとする様々な貴重な動物が生息するガスコイン地方で操業を行っています。
またこの地方には、藻場やサンゴ礁もあり、多様な魚類や海洋生物が生息しています。MSC認証を取得したことによって、これらの漁業は持続可能な漁業が行なっており、重要な生物やその生息域に負の影響を及ぼしていないということが証明されました。
エクスマウス湾とシャーク湾の漁業は、西オーストラリア州政府の1,450万豪ドル(約12.4億円)のプロジェクトによる初の認証漁業となります。このプロジェクトは、同州の漁業がMSC認証を取得するため、州政府が西オーストラリア漁業者協議会(Western Australia Fishing Industry Council: WAFIC)に対し1,450万豪ドルの財政支援を行うものです。
MSCの最高責任者、ルパート・ハウズはオーストラリア、フリーマントルでのシーフード・ディレクションズ会議において、このふたつの漁業の認証取得を祝して次のようにコメントしました。
「西オーストラリア州の漁業はその持続可能性の推進において、すばらしい先導役となりました」
「MSC認証を取得したことにより、シャーク湾とエクスマウス湾の漁業は、世界で最も科学的で厳密な天然漁業のための規準を満たし、持続可能なレベルで操業を行っていることを実証したのです」。
シャーク湾とエクスマウス湾のエビ漁業がMSC規準に則った独立した第三者認証を完了したことで、オーストラリアの天然エビ漁業の50%以上が持続可能なMSC認証のエビとなります。これらの二つの漁業では、西オーストラリア州の鮮魚店やレストラン、そしてオーストラリア国内と世界に向けてエビを出荷しています。
WWFオーストラリアの広報担当のジョアン・マクリーは、エクスマウス湾とシャーク湾の漁業による今回の認証取得は地域にとっての朗報だとして次のように述べました。
「網からカメが逃げられるようにする器具を装着してカメの混獲の大幅な削減に成功した例に見られるように、MSC認証は既存の漁業の上に構築していくものなのです」
「MSC認証などの独立した認証を推進する西オーストラリア州政府のリーダーシップに対し、WWFよりお祝い申し上げます。独立した第三者認証によって漁業、養殖業の持続可能性を実証しようとする取り組みを推進する西オーストラリア州政府が、他の政府のモデルとなることを期待します」。
MSC規準では、水産資源の状態、漁業が生態系に及ぼす影響、そして漁業の管理システムの3つの原則に基づいて審査が行われます。MSC認証を取得した漁業については、継続的なモニタリングが行われると共に、毎年監査が行われ、5年毎に再認証審査が実施されます。2000年以降、MSC認証漁業の操業や環境管理において615を超える改善がもたらされています。
(了)