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魚介類を食べる理由

食料を生産・採取し、食べるという食料システムの仕組みは、人々の健康と地球環境に大きな影響を及ぼしています。科学者や政策立案者は、私たちの食料生産と消費のあり方を変えて、人と地球環境の双方にとってよりよい食事へと移行する必要性を訴えています。魚介類はそうした移行を進めるにあたり重要な役割を担っていますが、持続可能な供給源から調達されたものでなければなりません。

魚介類を推奨する研究

以下の3つの主要な研究において、魚介類や海藻といった水産食品は人々の健康と地球環境に不可欠であると結論が一致しています。

EATランセット(EAT-Lancet)委員会報告書(2025年)

16カ国70人の専門家が、影響力のある2019年の報告書をさらに発展させて、医学誌『ランセット』に発表した報告書。

国連食糧農業機関(FAO)の「ブルー・トランスフォーメーション」(2022年)

漁業管理、持続可能な養殖、廃棄削減を組み合わせた、水産食品システムを拡大するための国連のロードマップ。

「ブルーフード・アセスメント」(2021年)

25大学の100人以上の研究者らによる、水産食品に関するこれまでで最も包括的なアセスメント。

人間と環境のニーズをいかにして両立させるかという課題が、EATランセット委員会設立のきっかけとなりました。それは、地球環境への負荷を最小限に抑えながら、すべての人々に十分な食料を提供できる食事のあり方を模索する取り組みです。2025年に発表された報告書では、植物性食品に加えて魚を取り入れ、肉類の摂取量を減らす食事が推奨されています。

水産物を推奨する理由

なぜ植物性食品のみの食事が、人と地球にとって最も有益とは言えないのでしょうか?

優れた栄養価

水産物は人間にとって重要なタンパク質の供給源であるだけでなく、ほかの食品にはない栄養上のメリットがあります。

魚はオメガ3脂肪酸(DHA、EPA)の主要な供給源です。オメガ3を十分に摂取すれば、心臓病のリスクを低減させることができます。一方、オメガ3の摂取量が少ないと、子どもの神経発達の遅れや、成人の認知機能低下リスクを高める可能性があります。

オメガ3脂肪酸は人の体内では作ることができず、私たちが日常的に食べている、陸地で生産されている肉類にもほとんど含まれていません。オメガ3を摂取するには魚を食べることが最も確実な方法です。

また、魚にはビタミンB12、ビタミンA、ヨウ素、鉄、亜鉛、カルシウムが豊富に含まれています。水産物に含まれる栄養素は、野菜やサプリメントよりも体に吸収されやすく、1度の食事で多くの栄養を摂ることができます。

環境面でのメリット

あらゆる食料生産は自然環境に影響を及ぼしますが、水産物はほかの動物性タンパク質に比べて二酸化炭素排出量を少なく抑えることができます。

水産物の生産においては、必要な土地も少なくてすみます。天然水産物の場合は陸地をまったく必要とせず、淡水も肥料も飼料も不要です。漁業によるカーボンフットプリントは、赤身肉の生産に比べてほんのわずかにすぎません。

地球への圧力が高まる中、これは非常に重要なことです。

タンパク源のCO2換算値(タンパク質1グラムあたりのCO2換算後単位)
タンパク源の土地利用(タンパク質1gあたりの平方メートル)

私たちはもっと魚を食べるべきか

必ずしもそうではありません。「プラネタリーヘルスダイエット」という食事法では、1日に30g以上、または週に約2回(100g程度)魚を食べることが推奨されています。これは多くの国の政府がすでに推奨していることと合致しています。MSCが各国の栄養摂取ガイドラインを調査したところ、週2食が最も多く推奨されている量でした。

しかしながら、現状では多くの人々が十分に水産物を食べることができていません。MSCが調査分析機関であるグローブスキャンと実施した調査では、「週2回」の目標を達成できていると答えた消費者は23カ国の調査国平均でわずか19%でした。国によっては7%と低いところもありました。

水産物の生産量は増加するか

EATランセット委員会は、同委員会の推奨する食生活が実施された場合、人口増加に対応するために、2050年までに世界の水産物の生産量を2020年と比較して46%増やす必要があるとしています。そして環境への負荷がはるかに大きい牛肉、羊肉、豚肉、乳製品、鶏肉などの生産量は減らさなければなりません。

EATランセット委員会とFAOは、増加する魚の生産量の多くは持続可能な養殖業(養殖魚)が担うことになると推測しています。しかし、現在世界の消費量のおよそ半分を占めている天然水産物は、特に開発途上国や沿岸のコミュニティにとって、引き続き栄養価が高く環境にやさしい食料の重要な供給源であり続けます。

また、養殖魚の飼料の相当部分が天然由来のため、養殖と漁業の関係も、慎重に管理する必要があります。

食料生産と食生活におけるこの転換はどのように機能するか

EATランセットの科学者たちの見解が正しく、水産物が人と地球にとってよりよい食事に不可欠であるとすれば、持続可能な漁業の重要性はこれまで以上に高まることになります。

水産資源は、適切に管理されれば健全な状態を保ち、長期にわたって水産物を提供し続けることができます。

かつて過剰漁獲されていた多くの水産資源が、科学的根拠に基づいた漁業管理によって回復しています。これらの水産資源を漁獲対象としている漁業は現在MSC漁業認証を取得しているものもあります。

国連は、適切な漁業管理を行うことで、現在過剰漁獲されている水産資源の98%が今世紀半ばまでに回復できるとしています。

MSCの試算では、すべての漁業が持続可能になれば、これまでより年間1,600万トン多くの水産物を漁獲できると推定されます。

この増加分は、世界の栄養問題に大きく改善をもたらす可能性があります。この増加分によって400万人分の鉄分不足および2,400万人のカルシウム不足を補い、オメガ3脂肪酸の1日に必要な摂取量を3,800万人に供給できます。

全体として、持続可能な漁業によって、年間新たに7,200万人分の栄養素の供給が可能になるといえます。

私たちにできること

持続可能な漁業は、実現可能な目標です。それには、政府、産業界、漁業者が協働する取り組みが必要で、消費者意識の高まりがこれを後押しします。

政府・政策立案者

国の栄養摂取計画、食料安全保障、気候変動、生物多様性戦略の中に、水産資源の持続可能な管理を組み込む。

水産業界

MSC漁業認証規格など、信頼性の高い科学的根拠に基づいたツールを活用し、持続可能な水産物の調達に取り組む。

漁業と養殖場

MSCやASCといった持続可能な漁業や養殖のための第三者認証規格への適合を目指す。

消費者

信頼できる科学的根拠に基づいた認証制度や評価システムを活用し、持続可能な漁業で獲られた水産物を選択する。


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食料システムにおけるサステナブル・シーフードの役割について示したレポートです。
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