MSC認証漁業は、認証取得後も改善を続け、世界水準の最優良事例を維持できるよう、持続可能な漁業に長期的に取り組んでいます。
MSC漁業認証規格の3原則は資源の持続可能性、漁業が生態系に与える影響、漁業の管理システムに関するものです。漁業が認証を取得するためには、各原則の平均点が100点満点中80点以上でなければなりません。
漁業は、MSC認証を長く継続するほど、大きく改善していきます。
下のグラフは、現在認証されているすべての漁業のうち、MSC漁業認証規格にのっとって少なくとも2回の審査を終えた漁業の得点分布を示したもので、おおよそ5年間での業績の推移を表しています。3つの原則すべてにおいて、初めて認証を取得した初回審査の平均点(中央値)と、1回目の認証期間終了時に行った更新審査得点との間に、統計的に有意な改善が見られます。
持続可能な漁業を促進するMSCプログラムの仕組み
MSC漁業認証規格の原則は、28の業績評価指標によって評価されます。100点満点中80点に満たない業績指標が一つでもあった場合、第三者の審査員の判断による条件付きの認証取得となり、漁業は、世界水準の最優良事例に近づけるための改善計画を実施しなければなりません。認証の有効期間中(通常5年間)に条件が満たされない場合、その漁業の認証は一時停止となります。
認証漁業の95%以上は、少なくとも1つの条件を達成しています。こうした条件があることによって、漁業は、持続可能な漁業における世界水準の最優良事例に向けて継続的な改善に取り組むのです。
改善措置の実施
条件を達成するためにさまざまな改善措置が行われます。2021年3月までにMSC認証漁業は1,958の改善措置を実施しました。
1つの改善措置によって複数の効果がもたらされることもあります。例えば、漁具を改変することで、さまざまな種の混獲を削減することができます。
MSC認証漁業は、過去3年間で以下の372件の改善を実施しました。
![]() | 134 絶滅危惧種・保護種の保護、混獲削減に向けた改善 |
![]() | 101 資源状態および漁獲方策の改善 |
![]() | 71 漁業管理、ガバナンスおよび政策の改善 |
![]() | 66 生態系および生息域の改善 |
改善事例
![]() マグロ・カツオ類漁業の混獲削減への取り組み島国フィジーは、マグロ・カツオ類はえ縄漁業での偶発的なサメの漁獲を減らす取り組みを先導しています。 |
![]() オレゴンピンクエビ漁業が魚網にLEDライトを導入オレゴン州、ワシントン州のアメリカ西海岸沖のオレゴンピンクエビ漁業では、絶滅危惧種の魚を保護するための取り組みを実施しています。 |
![]() コシオリエビ漁業が科学的な調査を促進チリのコシオリエビ漁業は、深海の生息域や生態系に与える影響についての理解を深めるために、研究者と協働で漁場の海底環境を調べ、地図を作成しました。 |
![]() 協働により、バレンツ海のマダラ資源を保全バレンツ海のタイセイヨウマダラとハドックの資源が、適切な管理と各国政府の協働によって増加しました。 |