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MSCが過剰漁獲の根絶に向け基金の規模を拡大

MSC(海洋管理協議会)は、今後10年にわたって、海洋の保護および持続可能な水産物の供給を支援するために、1億米ドルの助成金を準備するという野心的な目標を発表しました。これにより、過剰漁獲の根絶を目指すMSCの海洋管理基金が大幅に拡充されることになります。

MSCでは、慈善団体、事業者、政府に対して、この基金への拠出を呼びかけています。海洋管理基金からは既に100件を超す助成金が授与されており、そのうちの40件近くが新興経済国における取り組みに充てられています。これらの助成金は、さまざまな漁業を支援し、漁業のあり方を改善するための調査・研究やイノベーションに活用されています。

これまでに助成金が授与されたのは、気候変動によるタイワンガザミ資源への影響に対応するインドネシアの漁業、海鳥の混獲の軽減に取り組む南アフリカの漁業、エイの保護のための新技術を試みる地中海の伝統漁業などです。また、気候変動が漁業に与えるリスクを評価し、漁業の将来に向けた適応を支援する新しいプロジェクトにも助成金が授与されています。

海は非常に深刻な問題に直面しています。水産物の消費が急増する中で、世界の水産資源の3分の1以上が持続可能ではない水準で漁獲されています。増大する世界人口の食を賄うための圧力と、気候変動がもたらす悪影響が重なったことで、さらに強力で迅速な行動が求められています。海洋管理基金の拡大はそのために行われるものです。

MSCは、持続可能な漁業に関する知見と専門性で世界を主導しています。25年にわたって持続可能な漁業を世界的に推進し、600を超える漁業がMSCの認証プログラムに参加しています。非営利団体であるMSCは2018年から、MSCラベルの付いた持続可能な水産物の販売を通じていただいているラベル使用料の5%を海洋管理基金に充ててきました。2022年からは、第三者からの寄付も募っています。

MSCの最高責任者、ルパート・ハウズは次のように述べています。「海洋管理基金はその創設から5年間で、漁業者と科学者による革新的なコラボレーションをはじめ、多くのすばらしいプロジェクトを支援してきました。健全で生命にあふれる海というMSCのビジョンを共有する資金提供者、パートナー、支援者の皆様に深く感謝いたします。現在、そして将来にわたって海の恵みを享受するためには、海が直面しているさまざまな課題に対応していかねばなりません。10年間で1億米ドルの助成金を準備することによって、食料の確保や生計を海に依存している世界のより多くのコミュニティや企業を支援することができるのです」

MSCは、すでにMAVA財団、ハンス・ウィルスドルフ財団から基金に対する多額の寄付を受け、ウォルトン・ファミリー財団からは融資保証制度による支援を得ました。拡充される海洋管理基金によって、MSCは環境投資顧問会社のクラーモンディアルとの協力を通じて、より多くの漁業、特に小規模漁業や新興経済国の漁業の持続可能性の実現に向けた取り組みを支援することができます。