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カナダ・プリンスエドワード島のロブスターかご漁業がMSC認証を取得

カナダのプリンスエドワード島(PEI)のロブスターかご漁業がこのたび、科学的根拠に基づくMSC規準に則った持続可能で適切に管理された漁業として認証されました。審査を行ったのは独立認証機関のSAI グローバルです。認証を取得したことにより、本漁業のロブスター(学名:Homarus americanus)には、MSCの青いエコラベルが表示できるようになります。

PEIロブスター漁業について

PEIロブスター漁業はプリンスエドワード島の経済にとって重要な役割を担っています。1,200を超えるロブスター漁業者による年間漁獲量は2,800万ポンド(約12,700トン)にも上り、プリンスエドワード島の漁業の総売上高の3分2の~4分の3を占めています。プリンスエドワード島州政府機関の漁業、水産養殖、地域開発省(Department of Fisheries, Aquaculture and Rural Development)によると、ロブスター漁業には5,000人以上が従事しており、州の水産業に多いに貢献しているということです。2012年度水産業総売上高のうちの約3億6,200万ドルがロブスター漁業によるものでした。

今回のPEIロブスターかご漁業のMSC認証取得はPEI漁業者協会(PEI Fisherman’s Association)、およびPEI水産加工業者協会(PEI Seafood Processors Association)、同島の先住民であるアベグウェイト・ファースト・ネーション、およびレノックス島ファースト・ネーションが協力して取り組んだ成果です。本漁業の管理においては、PEIロブスター漁業とカナダ漁業海洋省の湾岸海域管轄部門が協力して取り組んでおり、MSCのグローバル規準に則った適切な管理が行われていることが実証されました。審査においては州政府のDepartment of Fisheries, Aquaculture and Rural Development (漁業および水産養殖、地域開発省)が漁業および加工業者に対して一貫した支援を行いました。

カナダ漁業水産省の湾岸海域管轄部門では、南部セントローレンス湾におけるロブスター漁業を3つの漁域、すなわちロブスター漁域(LFA)24、25 および 26Aに分けて管理しています。2012年におけるそれぞれの水揚げ量は7,100トン、4,900トン、そして4,800トンでした。プリンスエドワード島を拠点にしている漁業者のここ数年の年間総水揚げ量は14,000 トン、約2,800万ポンドでした。

PEIロブスター漁業では、捕獲かごを使い、限られた季節のみ漁を行い、漁獲できるロブスターのサイズを決め、そのサイズ以下のロブスターが逃げられるように捕獲かごに工夫をし、生分解性の網糸を使用しています。またこの他にも資源量が損なわれないための管理措置を行なっています。捕獲されたロブスターの殆どは生および調理加工され、世界各国の市場に輸出されます。一部は活魚のままで地元および各国の市場に出荷されます。PEIロブスターの主な輸出先はアメリカ、ヨーロッパですが、アジア向けの輸出も増えています。

優れた恊働の成果

PEI漁業協会のクレイグ・エイヴリ会長は次のように述べました。「このたびの認証は大いなる成果であり、漁業者および加工業者、ファースト・ネーション(先住民)、そして政府が一致団結した結果です。プリンスエドワード島の漁業および水産加工業者協会は、優れた資源保護および管理体制を確立していると自負しております。MSC認証を取得したことにより、持続可能で適切に管理されている漁業であることを実証することができ、大変うれしく思っています」。

PEI水産物加工業者協会のジェフ・マロイ会長は次のようにコメントしました。「MSC認証を取得したことにより、PEIロブスター資源の持続可能性を多くのクライアントに証明することができました。ロブスター漁業は1世紀以上も前から、プリンスエドワード島の代表的な漁業として栄えてきました。これからも州の漁業の礎として発展していくことでしょう。認証審査を通して、多くの加工業者や漁業者、連邦政府ならびに州政府の管理当局と力を合わせることができたことは、大変光栄なことでした」。

アベグウェイト・ファースト・ネーションのブライアン・フランシス代表とレノックス島ファースト・ネーションのマチルダ.ラムジャタン代表は次のようにコメントしました。「このたびのMSC認証のクライントグループに加わることができて光栄に思っております。我々先住民族にとって、資源の持続可能性は何よりも大切なことです。認証取得はPEIのロブスター漁業にとって大きな一歩です。漁業および加工業に従事する私たちファースト・ネーションズは、持続可能な天然漁獲ロブスターを世界市場に安定して供給することにより、経済的な恩恵を享受できるものと期待しています」。

MSCアメリカの漁業アウトリーチ・マネージャーであるジェイ・ルガーは次のように述べました。「今回のPEIロブスター漁業の認証取得に対し、MSCよりお祝い申し上げます。科学的な根拠に基づいたMSC規準に則った漁業の持続可能性を実証するために、多種多様なセクターが協力して取り組んだ素晴らしい成果だと思います」。

PEIロブスターについて

PEIロブスターはラブラドールとニューファンドランドを隔てるベルアイル海峡から、遠く南のアメリカ、ノースカロライナ州のハッテラス岬までの広い海域に分布しているアメリカン・ロブスターの部類に入ります。PEI周辺のセントローレンス湾南部、およびノバスコシア南西部、メイン湾に最も多く生息しています。

PEIロブスター漁業で漁獲される成長したロブスターは、サイズによって二つに分類されます。小さめのロブスターは缶詰用、大きめのものはそのままで市場に出荷されます。小さめのロブスターはPEIの特産物で、グローバル市場で取引されているものの大半がPEI産です。過去10年間のPEIロブスター漁業の水揚げ量の65%超をこの小さめのロブスターが占めています。PEIロブスターのおよそ8%は活魚のまま、小売業者や活魚専門業者の手で、主にカナダ国内の市場に出荷されます。

審査および認証について

今回のMSC規準に則った審査は、独立認証機関のSAI グローバルによって行われました。PEI漁業のMSC 規準の3原則への適合、すなわち、資源状態、海洋生態系へのインパクト、ならびに漁業の管理システムに関する要求事項の順守について、詳細にわたって審査が行われた結果、認証取得となりました。