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まき網で獲られた魚介類は持続可能なのでしょうか? この漁法と、漁法が海に及す影響を軽減する方法について詳しく見てみましょう。

まき網漁業とは?

大型のまき網漁業は外洋で行われ、マグロ・カツオ類やサバなどの単一種の浮魚(中層)の群れを狙って、まき網という大きな網が使われます。

まき網漁業の仕組み

カーテンのように垂直に垂らしたまき網の上端には浮子が並び、下端には重りのついたロープが通されます。

魚の群れを見つけたら、小型船で網を引っ張って、魚群をカーテンのように網で取り囲み、網の底のロープを巾着袋の紐のように締めて、魚が逃げられないようにします。このため、まき網は巾着網とも呼ばれています。

まき網は長さ2,000メートル以上、深さ200メートルにもなることがあります。網の大きさは、投網する船や網目の大きさ、対象となる魚種によって異なります。

Purse Seine fishing gear illustration

まき網漁業の対象魚種は?

まき網は、さまざまな大きさの浮魚の群れに使用されます。浮魚とは、海の表層から中層を泳ぐ魚のことです。

まき網漁業の対象となる魚種は、カタクチイワシ、マイワシ、サバ類、イカ類、マグロ・カツオ類などです。2022年には、世界の熱帯マグロ・カツオ類(カツオ、メバチマグロ、キハダマグロ)の約67.5%がまき網漁船によって漁獲されました。

集魚装置(FADs)

まき網漁業では、魚群を見つけるためにFADsを使用することがあります。

FADsは、魚を引き付けるための人工の浮遊物で、漂流させるものと固定するものがあります。FADsには、対象種を見つけるための測位装置とソナー(音波探知機)が装備されています。FADsを使用することで漁業の効率を高め、漁獲量の不確実性を減少させることができます。

まき網漁業が環境に及ぼす影響は?

まき網に限らず、どのような漁具でも海洋環境に影響を及ぼす可能性があり、持続可能な管理を行わなければ、環境に重大な影響を与える恐れがあります。

混獲

まき網は大きいため、網で囲まれたものがすべて漁獲され、混獲されてしまう可能性があります。混獲には、規定より小さい個体、非対象種、絶滅危惧種・保護種(ETP種)が含まれます。

FADsが使用されている場合、まき網漁業での混獲のリスクが高まる可能性があります。FADsの中には、付属部分が最大50メートルに及ぶものがあり、それに非対象種が絡まってしまうことがあるからです。

混獲される種とその捕獲量は、まき網が何もないところで群れるマグロ・カツオ類素群れを狙って投網されるのか、漂流型FADsまたは固定型FADsの周りに投網されるのかによって変わります。

生息域

まき網は海底と接触せずに投網されるため、海底の生息域への直接的な影響は概して低いとされています。

しかし、FADsは生物分解性のない素材でできていることが多く、海中に流出してしまうこともよくあります。紛失または投棄されたFADsは、海を汚染し、ゴミを撒き散らす「ゴーストギア」となり、放棄された後も海洋生物を捕獲し続けることになります。

まき網漁業はどのようにして過剰漁獲を防ぐのか

MSC漁業認証規格に照らして認証された持続可能な漁業は、科学的検証によって豊富であることが証明された資源、つまり、繁殖、加入に十分な成熟個体のある資源が漁獲対象でなければなりません。

持続可能なまき網漁業は、過剰漁獲を防ぐために網の深さや大きさ、仕掛け方に工夫をこらしています。こうした改善措置は、混獲や投棄の軽減にも役立っています。

まき網漁業はどのようにして混獲を防ぐのか

持続可能な漁業では往々にして、非対象種との遭遇を減らして混獲を最小限に抑えるために、漁業慣行を改善し、漁具を改良することが求められます。

FADsを使用する持続可能なまき網漁業は、網状のFADsを使用しません。このことは、FADsに絡まって偶然に捕獲されるETP種の軽減に寄与しています。

改善には、サメが排出されていくための傾斜台の設置など、船上の改造も含まれます。さらに、持続可能なまき網漁業には、自主的にタグ&リリース・プログラムに取り組んでいるところもあります。こうしてETP種の生活史と移動に関する科学的データを収集することで、将来的な遭遇を最小限に抑えようとしているのです。

改善し続けるMSC認証取得漁業

漁業は、十分な資源がある漁獲対象の魚を漁獲する際、生息域やほかの海洋生物への影響を最小限に抑えていることを示す必要があります。

改善し続けるMSC認証取得漁業

まき網漁業は、どのようにして環境への影響を軽減できるのか

MSC認証取得漁業は、海洋生態系、生息域、ETP種への影響を最小限に抑えていることを実証しなければなりません。

FADsを使ったまき網漁業の場合は、生物分解性がより高い、絡まない部品を用いたFADsを使用することも含まれます。もし紛失したり廃棄されたりしても、生物分解性のFADsであればやがて自然に分解され、プラスチック汚染を引き起こしたり、ゴーストギアとなったりすることはありません。

日本のMSC認証漁業:まき網

伊藤忠商事株式会社(1例目)

伊藤忠商事株式会社(1例目)

カツオ・キハダマグロまき網漁業

伊藤忠商事株式会社(2例目)

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カツオ・キハダマグロまき網漁業

 

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持続可能な漁業とは?

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海に十分な水産資源を残し、生息域や生態系への影響を最小限に抑えながら漁獲を行っている漁業が持続可能な漁業です。持続可能な漁業を行うためには、漁業が適切に管理されていなければなりません。

日本のMSC認証漁業

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MSC漁業認証を取得した日本の漁業一覧です。MSCの厳格な認証規格に適合した、水産資源と環境に配慮し適切に管理された持続可能な漁業であることが認められています。