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MSCは北東大西洋の小型浮魚資源を守るための機会を逃さないよう各国政府に求めます

科学的勧告に則した漁獲枠割当てのために継続的な交渉が必要

MSC(海洋管理協議会)は、北東大西洋の各国政府に対し、主要な魚種資源の持続可能な管理について合意できる重要な機会を逸することのないよう積極的に働きかけています。長年にわたってこう着状態にあった国別割当量設定交渉に突破口が見えてきたためです。

2021年11月9日から12日まで開催された北東大西洋漁業委員会(NEAFC)の年次会合において、漁業国はタイセイヨウサバ、タイセイヨウニシン(Atlanto-Scandian)、ブルーホワイティングなどの資源について、2022年シーズンの保全・管理措置を採択しました[1]。各国は、これらの魚種について、科学的勧告に則した全体の漁獲可能量(TAC)を採択することに合意しました[2]。しかし、例年同様、このTACを各国でどのように配分するかについては何も示されていません。こうした状況が、これまで、各国の漁獲枠の合計が常に科学的勧告を上回る事態を招いていました[3]。

しかし、10月に開催された沿岸国の会合で最初に提案された前向きな提言の中で[4]、各国はタイセイヨウサバ、タイセイヨウニシン、ブルーホワイティング資源の配分についての合意の必要性を認めました[5]。沿岸国のメンバーは、2022年初めにさらなる交渉を進めることを目指して、3つの小型浮魚資源と漁獲量の分布を分析・報告するためのワーキング・グループを設置することを約束しました。

MSCは前々より、これらの重要な小型浮魚資源を将来にわたって守るために早急な対応を求めてきました。また、多くの小売業者やサプライヤーは、現在の状況が解決されない場合、これらの漁業からの調達を減らすか、あるいは停止することを公約に掲げています[6、7]。これらの漁業については、科学的な勧告に則した漁獲枠割当ての合意がなされておらず、資源の健全性が全体的に低下傾向にあることから、MSC漁業認証が一時停止となりました[8、9]。

MSCは、経済的にも生態学的にも価値のあるこれらの資源の過剰漁獲に終止符を打つための一歩としてワーキング・グループの設置を歓迎する一方で、今後の交渉で具体的な解決策が得られなければ、各国が個別に設定する漁獲枠の合計が、再び持続可能なレベルを超えてしまう可能性が高いと警告しています[10]。

MSC北欧地域ディレクターであるエリン・プリドルは次のように述べています。
「北東大西洋の経済的に豊かな国々が、現在そして将来の世代のために、共通の小型浮魚資源を保護することは必要不可欠です。MSCは、すべての締約国が3つの資源すべてについて漁獲枠の割当てに合意するという宣言を歓迎します。また、課題解決に向けたワーキング・グループの設置を約束したことに希望を抱いています。
正しい方向に一歩前進することができましたが、成功のためには、国際的合意の上で実施される長期管理計画に基づく、科学的根拠に則った漁獲枠が設定されるよう、関係者全員が最善の努力を尽くすことが必要です。北東大西洋の沿岸国と漁業国にとって、国際的な漁業管理に関する課題を解決するための設計図を描く絶好の機会であり、問題解決への機運が活かされることを期待します」

タイセイヨウサバ、タイセイヨウニシン、ブルーホワイティング資源は、欧州連合(EU)、ノルウェー、アイスランド、ロシア、フェロー諸島、グリーンランド、そして最近では2020年に「独立した沿岸国」としての漁業権を主張しているイギリスが共有しています。これらの国は北東大西洋漁業委員会(NEAFC)の締約国です。



参考文献:
[1] 第40回北東大西洋漁業委員会年次会合(英語)
[2] NEAFCプレス声明 2021年11月15日付け(英語)
[3] MSCファクトシート:北東大西洋の小型浮魚資源のために漁獲枠割当量についての早急な合意が必要(英語)
[4] 欧州委員会:北東大西洋沿岸諸国が2022年のタイセイヨウサバ、ブルーホワイティング、タイセイヨウニシンのTAC合意に達する(英語)
[5] NEAFCプレス声明 2021年11月15日付け(英語)
[6] 北大西洋における浮魚漁業の管理改善を目指すグループ(仮称)およびパートナーによる調達ステートメント(英語)
[7] ガーディアン紙:「過剰漁獲を止めなければ我々を失うことになる―イギリスのトップ企業が欧州諸国に警告」(英語)
[8] MSCプレスリリース:「北東大西洋のすべてのサバ漁業に対するMSC漁業認証が一時停止」(英語)
[9] MSCプレスリリース:「ニシンとブルーホワイティングの資源について国際的な行動が必要」(英語)
[10] 2021年9月30日、ICES(国際海洋探査委員会)が発表したデータによると、2021年のタイセイヨウサバ、タイセイヨウニシン、ブルーホワイティングの総漁獲枠が、その年の科学的勧告による上限を上回り、それぞれ41%、35%、25%増しで設定されたことが明らかになりました。