一本釣りとは? どのような点で持続可能なのでしょう?
一本釣り漁業とは?
一本釣り漁業は、釣り糸をつけた木製またはグラスファイバー製の釣り竿を使って魚を一匹ずつ釣り上げる漁法です。この漁法は通常、カツオやビンナガマグロなど小型のマグロ・カツオ類を対象としており、世界のマグロ・カツオ類の漁獲量の7%がこの漁法で獲られています。

ビンナガマグロを漁獲する南アフリカの漁業者
一本釣り漁業は、船から水を撒くと同時にイワシやカタクチイワシなどの小魚を水中に撒くことでマグロ・カツオ類を引きつけます。これは撒き餌として知られ、餌魚の群れを見つけたかのように錯覚させてマグロ・カツオ類を水面に浮上させ、釣り糸の針に食いつかせます。
漁業によっては、マグロ(大半はビンナガマグロ)がかかると、二人がかりで船上に引き揚げます。カツオ漁業では、かかった竿を振り上げるとカツオが漁業者の頭上を越えて、甲板に揚げられます。
この漁法では、集魚装置(FADs)の周りに集まる群れか、何もないところで群れる素群れのマグロ・カツオ類を狙います。
一本釣りは持続可能か
一本釣りは、海面近くで魚を一匹ずつ獲る選択性の高い漁法です。そのため、混獲が少なく、海底の生息域に漁具が接触することもありません。
持続可能な漁業のためのMSC漁業認証規格を満たすためには、一本釣り漁業は、海洋環境と水産資源に及ぼすより広範な影響についても考慮しなければなりません。
MSC漁業認証規格第3版では、FADsを使用する漁業は、紛失したFADsについても説明責任を負い、どのようにして紛失を回避・管理しているかを示さなければなりません。これには、FADsの追跡や回収、他の生き物魚の絡まりを防止する素材や、生分解素材のFADの使用などが含まれます。
MSC認証はどのように改善を進めるか
モルディブの一本釣りカツオ漁業は2012年に初めてMSC漁業認証を取得しましたが、認証の条件として、餌魚資源への影響を示す証拠の提出や、そうした資源を持続的に管理する計画の策定など、さらなる改善が求められました。これらの条件を達成するために、漁業者たちは餌魚の漁獲量、魚種、場所に関するデータを収集し、餌魚を漁獲する際に発生した絶滅危惧種との遭遇も記録しました。
2024年8月、南アフリカのビンナガマグロ一本釣り漁業は、「MSC認証漁業への移行プログラム」(現「MSC漁業認証取得に向けた改善プログラム」)への参加を経て、MSC漁業認証を取得した初の漁業となりました。
船上オブザーバーからの報告では、絶滅危惧種・保護種(ETP種)との遭遇は最小限であり、漁業者は混獲魚を安全に取り扱ってリリースするように研修を受けているとしていますが、本漁業に対してはETP種との遭遇に関するデータをさらに収集することが求められており、それによってETP種に及ぼす影響をより正確に示し、管理戦略の策定に役立てることができます。
日本のMSC認証漁業:一本釣り
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MSCがわかるリーフレット
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持続可能な漁業とは?
海に十分な水産資源を残し、生息域や生態系への影響を最小限に抑えながら漁獲を行っている漁業が持続可能な漁業です。持続可能な漁業を行うためには、漁業が適切に管理されていなければなりません。

日本のMSC認証漁業
MSC漁業認証を取得した日本の漁業一覧です。MSCの厳格な認証規格に適合した、水産資源と環境に配慮し適切に管理された持続可能な漁業であることが認められています。