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MSCが「区分化」とシャークフィニングに関する公開協議を開始

MSC漁業認証プロセスの更新に向けた提案についてステークホルダーから意見を募集

 

MSC(海洋管理協議会)は、漁業認証プロセスの見直しの一環として、さらに2項目について公開協議を開始しました。今回の協議では、同一の漁船(または審査単位)で行われる認証取得済みと非認証の漁獲の「区分化」と、シャークフィニングのMSC認証に対する適格性の問題を取り上げます。協議は30日間行われ、2019年4月3日(水)に終了します。

MSC漁業認証規準のディレクターであるロハン・カリーは次のように述べています。「MSCの認証制度の発展を特徴づけるにあたり、ステークホルダーの皆さまの意見を重視し、今後も持続可能な漁業の要求事項に世界で広く認められた最優良事例を反映させてまいります」「これらの協議は、区分化とシャークフィニングという2つの重要な問題に関してステークホルダーの皆さまから寄せられた懸念に対処することを目的としています。ステークホルダーの皆さまには、提案に対するご意見をお寄せいただくようお願いいたします」 。

「区分化」

MSCは、2017年に MSC漁業認証規準 の審査対象となる漁業活動を規定する審査単位(UoA)に関する要求事項の見直しを開始しました。現在この要求事項では、漁獲物を慎重に区別・記録し、証明するという条件の下、漁船は1回の出漁で同じ魚種に対して認証済みと非認証両方の漁獲をしてよいものとされています。

持続可能な生産物を求める市場の需要が時間とともに高まった結果、生産者が認証を受けた生産方法を選択し、事業全体が改善されることを目指して、市場を基盤とする制度の大半は「区分化」を認めています。例えば、有機栽培農家は、作物を区別し、混合させないかぎり、同一の農場で有機作物と非有機作物を栽培することができます*。しかし、1回の出漁で同じ魚種に対して認証済みと非認証両方の漁法を用いる漁業活動の総合的な持続可能性に関してステークホルダーから懸念の声が上がっています。

二度の協議、MSCのステークホルダー協議会と技術諮問委員会による審査、提案された解決策のインパクトの詳細調査とMSC評議員会による承認を経て、MSCは審査単位の規定を以下のとおり変更することを検討しています:

  • 審査単位の規定から「漁法(fishing practice)」の文言を削除する。これは、同じ漁具を用いた漁業活動(例えば、一つのまき網漁業が、素群れを対象とした操業と人工集魚装置を用いた操業を行う場合)はすべて審査単位の一部として審査の対象としなければならないことを意味する。
  • より分かりやすくするため、審査単位の地理的範囲を規定する要求事項を追加する。

実際には、これにより複数の漁業活動によるマグロのまき網漁では、素群れ魚群を対象とした操業による漁獲物単独で認証を受けることができなくなります。

MSCは、すでに認証済みの漁業に審査単位の新規定を導入する時間軸についても、3年または5年を候補として意見を募集します。

カリーは「この提案は、広範に及ぶ調査と協議を経て行っています」と述べ、また「同一の魚種・系群に対して同じ漁具を用いる漁法はすべてMSC認証を受けることが義務づけられます。そうすることで、海上での漁法による区分化の複雑さを解消します。すでに認証済みの漁業については、新たな要求事項に適合するための時間を設けます」としています。

上記提案および協議に参加する方法についての詳細は、improvements.msc.orgをご覧ください。

シャークフィニング

2011年12月、MSC評議員会は、MSC認証漁業においてシャークフィニング(サメのヒレを取り、残りの部位を海に廃棄する行為)を禁止することを決定しました。その結果、MSC漁業認証規準に新たな要求事項が追加され、シャークフィニングが行われない可能性が高い場合のみ、漁業の認証が認められることとなりました。認証済みの漁業についても、監視、管理および施行のための有効な制度を整備して、シャークフィニングが遠方の洋上で行われることがないようにすることが義務づけられています。

これらの要求事項が追加されて以降、ステークホルダーからのコメントと併せて、MSCの監視や評価では、適用における矛盾に対して警告を行ってきました。そのなかでMSCは、現在の要求事項が評議員会の意向を十分に反映しているかどうかを見直す必要があると認識しています。

この議題については、2つの個別の見直しを通じて対応します。今回の協議では、MSC認証の適格性(認証の対象)の問題としてシャークフィニングに注目し、さらに長い時間軸で継続中の漁業認証規準の見直しでは、MSC漁業認証規準の要求事項の範囲内でシャークフィニングにどのように対処するかを検討します。

今回の協議は、ステークホルダーの皆さまに以下の提案についてご意見をいただく機会とします:

  • 過去2年以内にシャークフィニングの発生で起訴された個別の法人をMSC認証の「対象外」とみなし、その漁獲物をMSC認証品として販売できないようにする新たな要求事項を追加する。
  • 漁業認証プロセスの更新の一環としてこの要求事項を追加し、2020年2月に公開、6ヶ月後に発効することを目標とする。

上記提案および協議に参加する方法についての詳細は、improvements.msc.orgをご覧ください。  

その他の見直しや協議

2月4日、MSCは条件の達成・意見相違への対処・前倒し監査の3分野で公開協議を開始しました。継続中のこちらの協議も2019年4月3日をもって終了します。

現在、MSC漁業認証規準の見直しが行われており、2021年までMSC漁業認証規準における持続可能性の基準の見直しに焦点があてられていますが、今回の協議はそれとは別に、新たに実施されるものです。

(了)

* ソイルアソシエーション「農業栽培基準2018」(farming and growing standard 2018)セクション4.4