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持続可能なマグロ・カツオ類、需要の増加に伴い販売量が急増

5月2日は「世界まぐろデー」です。マグロ・カツオ類の生態的、経済的重要性を認識するため、国連によって定められました。 MSC (海洋管理協議会)は「世界まぐろデー」に寄せて、持続可能なMSC認証マグロ・カツオ類の販売量が、この5年間で2倍以上増加したことを発表いたします。

世界で広く認知されているMSC「海のエコラベル」付きマグロ・カツオ類の2018年度の販売量は、2015年度の21,500トンから54,000トンに急増しました。2019年度には更なる伸びを示すと予想されます(注1)。

MSC「海のエコラベル」付きマグロ・カツオ類の販売量が世界的に急増しているのは、漁業における変革が進められた結果だと言えます。MSC認証を取得した持続可能な漁業によるマグロ・カツオ類の漁獲量は、2014年度は世界のマグロ・カツオ類の総漁獲量の14%であったのに対し、現在では28%にまで増加しています。小売事業者や消費者からの需要の拡大によって、こうした変化が起きているのです。

新型コロナウイルスの世界的大流行によって、ツナ缶の需要が急増する中(注2)、MSCは生産者と消費者の双方に持続可能なマグロ・カツオ類への取り組みを継続するよう強く促しています。5月2日の「世界まぐろデー」を記念して発行された『MSC サステナブルなマグロ・カツオ類ハンドブック』(英語)は、持続可能なマグロ・カツオ類を調達するための包括的なガイドです。

世界のマグロ・カツオ類の専門家であるMSCのビル・ホールデンは次のように述べています。「海は私たちに感動と驚きを与えてくれますが、ここ数カ月のあいだ、多くの地域では、海を見たり、海辺まで出かけたりすることがままならないような日々が続いています。しかし、こうした厳しい状況にあっても、消費者は持続可能な漁業から調達された水産物を選ぶことによって、変化を起こし続けることができます。マグロ・カツオ類は世界で最も多くの地域で消費され、人気のある魚種ですが、その資源の約3分の1は脆弱な状態にあります。青いMSCエコラベル付きのマグロ・カツオ類を選択・購入することで、この資源を将来の世代まで残していくことに一役買うことができるのです。」


世界のマグロ・カツオ類漁獲量の推移

世界で広く認知されているMSCの持続可能な漁業認証規格に則って漁獲されたマグロ・カツオ類の漁獲量は、2014年度の70万トンから2倍以上増加し、2019年9月には140万トンにまで達しました。マグロ・カツオ類の認証漁業は2014年9月にはわずか8件だったのに対し、現在では29件にまで増えています。

これらの認証漁業は、環境への影響を最小限に抑えながら、世界的に認められている持続可能な漁業のための最優良事例に則って操業を行っています。さらに、マグロ・カツオ類資源を保護し、サメやエイ、ウミガメといった重要な海洋種を守るための改善に日々取り組んでいます。

こうした変化の背景には、世界41カ国で販売されている持続可能なMSC認証マグロ・カツオ類を扱う200社を超える企業の取り組みがあります。世界有数のツナ缶ブランドを所有する多国籍企業もその中に含まれています。例えば、シンプロット社がオーストラリアで展開しているJohn West、タイ・ユニオン社のPetit Navire、Chicken of the Sea、Genova、そしてボルトン・フード社のRio Mareが挙げられます。また、持続可能なマグロ・カツオ類の扱いを牽引する小売事業者として、Sainsbury’s、MIGROS、Albert Heijn、Lidl、Aldi、日本のイオン等があります。

最近出版された“Tuna Wars(マグロ戦争)”の著者、スティーブン・アドルフ氏は、次のように述べています。「20世紀の末にマグロの寿司やツナ缶の人気が急上昇したことによって、世界のマグロ・カツオ類の総漁獲量が急激に増加し、それに伴って持続可能ではない漁業慣行や違法漁業も急増しました。新型コロナウイルスがもたらした危機的な状況の中で、健康的で安全なタンパク質の需要は増加の一途をたどり、世界のマグロ・カツオ類資源への漁獲圧は増すばかりです。課題は山積しているものの、幸いなことにMSC認証の取得を目指して取り組む漁業者、小売業者、ブランドが増えてきています。この前向きな動きを止めてはなりません。」


人類にとって重要な持続可能なマグロ・カツオ類

健康な食生活を営む上で、高タンパク、低脂肪、そして幅広い調理が可能なマグロ・カツオ類は社会的にも経済的にも大きな価値があります。世界のマグロ・カツオ類の市場規模は年間で420億米ドル以上です(注3)。アジア太平洋地域だけでも、600万を超える人々がマグロ・カツオ類に関わる事業に従事しています(注4)。

世界のマグロ・カツオ類資源の65%は健全な状態にあるとされていますが、17.5%が過剰漁獲されており、残りの17.5%は健全な状態と過剰漁獲の間の状態にあります(注5)。


注記

注1: MSCは、MSCエコラベル付き水産物の四半期ごとの売上に関するデータを、通常1〜3ヶ月後に入手しています。したがって、2019年度のデータはまだ入手できていません。とはいえ、現時点での四半期ごとのデータは2018年度よりも高い値を示しています。

注2:新型コロナウイルスの世界的大流行によるツナ缶需要の急騰は、イギリス、イタリア、ドイツ、スペイン等、世界中で報告されています。「ツナ缶」のGoogle検索数は、2019年4月と比較して50%増加しており、「ツナ缶を使ったレシピ」等の検索トピックは前年比で300%増加しています。

注3:出典 https://www.pewtrusts.org/en/projects/archived-projects/global-tuna-conservation

注4:出典 https://www.adb.org/features/sustainable-tuna-fisheries-asia-and-pacific-numbers

注5:出典 https://iss-foundation.org/knowledge-tools/technical-and-meeting-reports/download-info/issf-2020-12-status-of-the-world-fisheries-for-tuna-march-2020/