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水産物を購入する消費者は、価格やブランドよりも持続可能性を重視

~水産物購入時の動機付けとなるのは?独立機関による最新のグローバル調査の結果~
•海洋保護に最も貢献しているのはNGOと科学研究機関であるという消費者の認識
•独立した機関による認証により、ブランドに対する消費者の信頼度が向上
•全体で消費者の37%がMSCの青いエコラベルを認知(日本は18%)
•MSCの取り組みを認識している消費者は、非認証製品よりも+11%までのプレミアム価格でMSCラベル製品を購入する意思を表示

独立機関が行った、世界の消費者を対象にした最新調査の結果、水産物を購入する際の大きな決め手となるのが持続可能性であることが明らかになりました。世界21カ国の消費者は概して、価格やブランドよりも持続可能性を重視しており、7割以上の(72%)消費者は、海を守るためには持続可能な水産物のみを購入すべきだと考えています。
他の日用品を購入する際には持続可能性よりも価格やブランドを重視する傾向があるのに対し、水産物に関しては持続可能性が、購入の決め手となることが明らかになりました。(注1)
水産物に関してこれほど大規模な消費者行動調査が行われたのは前例がありません。海洋管理協議会(MSC)の依頼を受けて調査を実施したのは、独立調査分析機関のグローブスキャンです。世界21カ国において、水産物を定期的に購入する16,000名以上の消費者に調査への参加を呼びかけ、各国における代表標本を抽出することができました。

持続可能性は、あらゆる年齢層の消費者行動にも影響

水産物を定期的に購入する世帯は全体の8割(85%)を超えており、海洋環境の持続可能性への懸念は消費者行動に影響を及ぼすようになってきています。より持続可能な水産物を選択すべきと回答した消費者は、68%に達しました。
世代があがるにつれて消費者の方が持続可能性への懸念を示しており、55歳以上の消費者の75%が持続可能な水産物のみを購入すべきであると答えているのに対し、同様の回答をした18~34歳の消費者は67%に留まりました。

MSCのCEO、ルパート・ハウズは調査結果について次のようにコメントしました。「分析結果からは、消費者は水産物を購入する際に持続可能性について意識しており、海を守るために消費行動を変える意志があることが伺えます。持続可能な水産物を購入することで、海洋環境の持続可能性を支援しようとしているのです。」

独立した機関による認証がブランドの信頼を高める

回答者の7割近く(68%)は、持続可能性に関する各ブランドやスーパーの主張は独立した機関によって検証されるべきであると考えており、エコラベル表示の水産物を購入することで、これからの世代のために豊富な水産資源を残すための手助けをしている、と答えた人が62%いました。同じく62%の人が、エコラベルが表示されていれば、その水産ブランドに対する信用と信頼が高まるとしています。

世界の天然漁獲水産物の10%はMSC認証漁業によって供給されており、全消費者の37%がMSCエコラベルを見かけたことがあると答えています。認知度は調査が行われた21カ国によって差異があり、カナダでは13%、スイスでは71%でした。MSCラベルを見た記憶があると答えた人は18~34歳の消費者に多く(41%)、それより上の年齢層の消費者を上回っており、55歳以上の人で見た記憶があると答えた人は30%でした。MSCの青いエコラベルを見たことがあると答えた人のうち6/10以上(64%)が、彼らの知人にも紹介すると思う、と答えています。なお、日本では、MSCのエコラベルを見たことがある人は全体の18%で、若年層ほど認知度が高まる傾向が見受けられました。

水産物を購入する消費者の半数以上(54%)は、多少値段が高くとも持続可能な認証水産物を購入する意志がある、と答えており、各国でMSCエコラベルを見たことがあると答えた人たちは、MSCラベルのプレミアム価格を平均11%としています。

MSCへの肯定的なイメージ

海洋保護に最も貢献している機関は?という質問に対して、回答者は、NGO(41%)と科学研究機関(36%)をトップに挙げており、政府機関および企業に対する評価が最も低いことがわかりました。
これはMSCに対する消費者の認識と合致しており、MSCのエコラベルを見たことがある消費者の86%はエコラベルを信頼し、MSCの取り組みによる影響を肯定的に捉えていると答えました。
MSCについて消費者は、世界で最も認知されている水産物のエコラベルおよび認証プログラムであると認識しており、MSCとそのプログラムに賛同する漁業者、小売業者およびブランドによる健全な海洋環境のための取り組みを肯定的に捉えています。エコラベルを見たことがあると答えた消費者の8割以上(81%)は持続可能な漁業を認知し、報奨するためのMSCの取り組みを支援しています。同じく81%の人たちがMSCの影響で、買い物をする際に、より持続可能な選択をする人々が増えていると答えています。

肯定的な選択を消費者に提供

MSCのCEO、 ルパート・ハウズは先のコメントに加えて、次のように述べました。「科学者、NGO、小売業者および水産漁業の協働により、海洋環境をめぐる状況は改善されつつあります。しかし、持続可能でない漁業による影響はまだまだ深刻です。MSCの青いエコラベルを認知している消費者の方々はMSCを信頼してくださっていますが、持続可能な水産物への需要を満たし、海洋環境を支えたいと考えている消費者の方々を力づけるためにMSCができることはまだあるのです。MSCの青いエコラベルの認知度をより向上させるために、MSCはパートナーおよび水産業界全体とさらに協働を進めています。」
グローブスキャンのディレクター、キャロライン・ホルム氏は今回の調査結果について次のように述べています。「水産物を購入する際の消費者の行動が、他の日用品の場合といかに異なっているかが、今回の調査結果の分析からわかります。水産物は他の日用消費材に比べ、信頼できるブランドが比較的少ないため、持続可能性およびトレーサビリティに関する独立した第三者機関の認証は、消費者の選択に大きな影響を及ぼすことができます。海洋環境の持続可能性は、私たちが考えていた以上に、水産物を購入する際の大きな決め手となっていることが明らかになりました。」
2015年にニールセンが行った企業の持続可能性への取り組みに関するグローバル調査では、この1年の売上げにおいて、持続可能性を謳うブランドは世界全体で4%以上の成長を見せているのに対し、そうではないブランドは1%未満の成長に留まっているという結果が発表されましたが(注2)、今回のグローブスキャンの調査も、消費者の持続可能性への関心の高さを裏付けるものとなりました。

この調査について

水産物の購入についての今年の消費行動調査は、グローブスキャンによって行われました。市場調査および戦略コンサルティングを行う独立機関のグローブスキャンは、独自に開発した最新の調査方法、標本抽出および質問形式を用いた調査を実施し、水産物を購入する際に海洋環境の持続可能性を重視する傾向が世界各国の消費者の間で広まっていることを裏付ける証拠を得ることに成功しました。
調査は2016年の1月から2月にかけて行われました。信頼性の高い、大規模な全国消費者調査オンラインパネルから回答者を募り、水産物を定期的に購入している消費者を各国最低600名を確保して、調査が行われました。
以下の国々の消費者が調査に参加しました:オーストラリア、オーストリア、ベルギー、カナダ、中国、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、イタリア、日本、オランダ、ノルウェー、ポーランド、シンガポール、南アフリカ、スペイン、スウェーデン、スイス、英国、米国。中国は今年初めて調査に参加しました。
計21,877名の消費者に調査への参加を呼びかけ、そのうち、家族の誰かがこの2ヶ月の間に魚などの水産物を購入したことがあると回答した16,876名を調査対象としました。その際に各国の標準サンプルが得られるよう、性別、年齢、地域、教育レベルの重み付けをした上で回答者が選ばれました。

注1) http://uk.kantar.com/consumer/shoppers/2014/understanding-behaviour-of-british-shoppers/
注2) http://www.nielsen.com/us/en/press-room/2015/consumer-goods-brands-that-demonstrate-commitment-to-sustainability-outperform.html