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日本のカツオ漁業がMSC認証の本審査へ

東京-土佐鰹水産株式会社のカツオ一本釣り漁業グループが、海洋管理協議会(MSC)の漁業認証取得に向け、本審査に入りました。カツオ漁業としては世界で初めて本審査に入った漁業であり、また、日本の漁業としては本審査に入った2つ目の漁業となります。認証を取得することができれば、この漁業グループで漁獲されたカツオにMSCの海のエコラベルを付けることができます。

日本の遠洋一本釣り漁業は1950年代に始まり、現在、43隻ある遠洋一本釣り漁船のうち28隻が操業しています。遠洋カツオ一本釣りによる総漁獲量は年間6万~7万トンで、土佐鰹水産株式会社グループの船は、その約7%に相当する約4,000トンを漁獲しています。同漁業は、11月から翌5月にかけては主に中部太平洋で操業し、9月~10月は北へ移動し日本の東沖漁場で操業を行います。漁師の一本釣り技術により漁獲されたカツオは高品質のカツオとして市場に出されます。

土佐鰹水産株式会社の明神宏幸社長は、「弊社は、高知県が土佐藩と言われた頃より櫓を漕ぐ和船で土佐沖に来遊する鰹を一本釣りしていました。3年前にMSCの活動を知り、MSC漁業認証は、まさに我々の先祖代々からの漁法を認める取り組みだと思いました。これこそ危機に瀕している日本のカツオ一本釣り漁業を守り育てる最後の拠り所と認識し、本審査に進むことを決めました。このカツオ一本釣漁業がMSC認証を取得した後は、CoC認証も取得し、カツオ一本釣り漁船が漁獲したカツオをさらに普及していきたいと思っています。この漁法の漁師の子に生まれたことを誇りに思います。」と述べています。

MSC日本事務所の石井幸造プログラム・ディレクターは「カツオは、日本人にとってなくてはならない魚です。土佐鰹水産株式会社の漁業グループのMSC認証取得に向けての取り組みは、このカツオ資源の持続可能な漁獲・利用につながるものです。馴染みの深いカツオ製品を通じて、水産資源の現状・将来について考える機会が提供され、持続可能な漁業の重要性に対する日本の消費者の認識向上につながることを期待しています。土佐鰹水産株式会社とその漁業グループの重大な決断が実を結ぶことを願っています。」とコメントしています。

また、MSCの最高責任者ルパート・ハウズは、「大変喜ばしい進展です。信頼できる国際的に認知された認証を取得した持続可能なマグロ・カツオ類に対するヨーロッパ、北米、日本のバイヤーの需要は非常に大きく供給は全く追いついていません。昨年の米国西海岸のビンナガマグロ漁の認証取得に続く土佐鰹水産株式会社のカツオ漁業の本審査の開始は、マグロのような回遊魚種の持続可能性の審査についてのMSCのプロセスの適用性と妥当性を実証するものです。独立した認証機関による審査結果が良好であれば、土佐鰹水産株式会社には、日本および世界において非常に大きな新たなマーケットの機会が広がります。認証に向けての取り組みがすべて成功することを願っています。日本においては、先月、京都府機船底曳網漁業連合会がズワイガニとアカガレイ漁で認証を取得したばかりであり、それに続く今回の本審査の開始は我々としても大きな励みになるものです。」とコメントしています。

以上

編集の方への注釈:

詳細につきましては、MSC日本事務所の石井幸造までお問い合わせください。TEL: 03-6861-7515もしくは070 6669 9014, email: [email protected].

[1] 土佐鰹水産株式会社の設立は1996年9月。一本釣りで漁獲されたカツオ(B1冷凍カツオ)のみを原料に藁焼きかつおたたきを製造しています(藁焼きタタキ製造法に関する特許取得)。2008年2月には静岡の新工場で原漁入庫から製品出荷までの一貫生産を開始しました。土佐鰹水産株式会社の詳細につきましては、 http://www.tosakatu.jp/ をご覧下さい。

[2] 海洋管理協議会(MSC)は、乱獲等に係る問題の解決を目的に、1997年に設立された国際的な非営利団体です。MSCは天然魚漁獲漁業を対象とした唯一広く認知された環境認証とエコラベリングの制度を運営しています。また、国際社会環境認定表示連合 (ISEAL Alliance: International Social and Environmental Accreditation and Labelling Alliance)の「ISEAL社会環境基準設定のための適正実施規範 (ISEAL Code of Good Practice for Setting Social and Environmental Standards)」と国連食糧農業機関(FAO)の漁業認証ガイドラインに準拠した唯一の水産エコラベルです。FAOの「海面漁業からの魚類と水産物のエコラベリングのためのガイドライン (Guidelines for the Ecolabelling of Fish and Fishery Products from Marine Capture Fisheries, FAO 2005)」では、信頼できる漁業認証とエコラベリングの制度として以下が要求されています。
・    科学的根拠に基づく、客観的な第三者による漁業審査
・    利害関係者との協議と異議申し立ての手順が組み込まれた透明性の高いプロセス
・    対象魚種の持続可能性、生態系、管理システムに関する基準
MSCは、ロンドン、シアトル、東京、シドニー、ハーグ、エジンバラ、ベルリンに事務所があります。認証取得漁業が35、審査中の漁業が79、非公開の予備審査中の漁業が20~30あり、計120以上の漁業がMSCプログラムに携わっています。これら漁業の年間漁獲総量は500万トンを超えており、世界の天然サケ漁獲量の42%以上、主要な白身魚漁獲量の40%以上、そしてロブスター漁獲量の18%がMSC認証に関与しています。また、世界で1,800以上の水産物にMSCの青いエコラベルが付けられています。より詳細な情報はwww.msc.orgあるいはhttp://msc-jp.matinee.co.uk/をご覧下さい。尚、MSC日本事務所では、現在、スタッフを1名募集しています。詳しくはhttp://www.msc.org/about-us/jobs/japan-fisheries-managerをご覧下さい。