イギリス初のヘイク漁業が持続可能で適切に管理された漁業として海洋管理協議会（MSC）の認証を取得しました。この認証により、厳格なトレーサビリティ要求事項に則って、コーンウォール州のヘイクは世界的に知られたエコラベルを表示して販売することができます。
持続可能な功績
コーンウォールのヘイクは長い間人々に親しまれている魚ですが、1990年代後半に僅かながら資源の減少が起こりました。しかし、漁師らによる尽力と2001年に策定された新しい管理計画により、現在では最低時の資源量の倍にまで資源は回復しています。
この漁業の強みのひとつとして、法的要求事項よりも大きなメッシュサイズの網を使用していることが挙げられます。この網のおかげで、サイズの大きなヘイクだけを漁獲し、サイズが小さい幼魚を逃がすことによってその生産力が高められるのです。
コーンウォールの漁業は15隻の漁船でケルト海からイングランド島の西およびアイルランドの南にかけて操業しています。この漁業によるヨーロピアン・ヘイク（学名：Merluccius merluccius）の水揚げ量は年間1,000トン近くにのぼり、12メートル～23メートルの大きさの漁船からコーンウォールのニューリンに水揚げされます。
地域の持続可能な魚種への英国の要求に応える
水産物の専門ケータリング会社、ダイレクト・シーフーズ（Direct Seafoods）の持続可能性ディレクター、ラキー・ゼルブダチ氏は認証取得を歓迎し、次のように述べました。「ダイレクト・シーフーズではコーンウォールのヘイク漁業のMSC認証取得を大変喜んでいます。かなりの量が漁獲される美味しい地元のイギリスの魚を広める大きなチャンスです。この漁業のヘイクは容易に調達できる地元の魚であり、全国のシェフから人気の魚でもあるため、今回の認証取得により、MSCの認知度を高めるために多大な貢献ができるものと思います」。
MSCイギリスの漁業アウトリーチマネージャーのクレア・ペスコッドは次のようにコメントしました。「コーンウォールのヘイク漁業がMSC認証を取得したことは大変素晴らしいニュースです。彼らの長年にわたる努力が認められたことを喜ばしく思います。持続可能な水産物を求める消費者の声に応えられるイギリスの魚がまたひとつ増えたことを嬉しく思います。既にMSCのヘイクをメニューに追加したいという声も上がってきています」。
小売業による支援
イギリスの生協The Co-operative Groupは、漁業のMSC認証取得を支援するために、2010年に20万ポンドの基金を設立しました。コーンウォールのヘイク刺網漁業は審査プロセスにおいてこの支援を受けた南西部で4番目の漁業でしたが、その中で最初にMSC認証を取得した漁業となりました。
The Co-operative Foodのテクニカルマネージャー、スチュアート・スミス氏は次のように述べました。「コーンウォールのヘイク漁業がMSC認証を取得できたことを大変喜んでおります。これからMSC認証のコーンウォールのヘイクを使った水産物製品の品揃えを検討していきたいと考えております」。
「私たちの基本方針はMSC認証に支えられています。完全に追跡可能な水産物サプライチェーン、独立した審査、国際的に認められた規準、将来的な要求事項に合致するための継続的な改善、そして科学的知見による助言への柔軟な対応です」。
課題に対する業界の取り組み
認証への動きを主導しているコーンウォール漁業生産組織 （Cornish Fish Producers Organisation： CFPO）の代表、ポール・トレビルコック氏は次のように述べました。「魚種資源の状況やその改善のための措置に関する理解を深めるために科学者らと協働し、それに応えてきた漁業の取り組みを誇りに思います。このようなことを実証するためにはMSCの審査は最適なものだと思います」。
コーンウォール漁業生産組織（CFPO）について
CFPOは非営利の共同組合として1976年に設立され、現在、コーンウォールの210の漁船所有者から構成されています。CFPOはコーンウォールの漁師らの地域的、全国的、国際的な見解を代表しています。
ヨーロピアン・ヘイク
ヨーロピアン・ヘイクは、ノルウェー北部とアイスランドから南はモーリタニアまでの北東大西洋の大陸棚、大陸棚斜面に沿って生息しています。通常はアイルランドからジブラルタル、そして地中海の100～300メートルの水域に生息しています。
コーンウォールのヘイクの主な市場はスペイン、フランスとイギリスをはじめとするヨーロッパで、鮮魚、丸物、フィレ、ステーキの形態で小売およびレストランに販売されています。